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認知症に関する研究

「循環型の仕組みの構築に資する一般病院での身体合併症管理と認知症対応力の向上を目指した多職種協働による認知症対応プログラムの開発」

概要・目的

認知症をもつ患者の入院に関する問題

日本は超高齢社会となり、認知症をもつ身体疾患の患者さんが入院する機会も増えています。身体科の一般病院においても、入院患者のうち約2割が認知症と言われています。

認知症をもつ患者さんが一般病院に入院をした場合、下記のようなリスクが考えられます。

  1. 症状をうまく伝えられないことによる、苦痛や合併症の重症化
  2. せん妄を合併しやすいことによる治療面での障害や、転倒など入院管理面での問題
  3. 日常生活機能低下が生じやすいことによる、施設入所やご家族の介護負担の増加
  4. 入院期間が長くなることに伴う経済的負担の増加
  5. 環境変化や治療に伴う身体的苦痛による、行動・心理症状(BPSD)

これらの問題に関しては、次のような事柄が重要であると言われています。

  1. 痛みのコントロール
  2. 環境調整と患者さんが理解しやすいコミュニケーション
  3. 栄養管理と食事摂取への働きかけ
  4. せん妄の予防
  5. 情報の共有体制の構築

本研究の目的

本研究では一般病院における看護師の認知症対応力を向上させるための認知症対応プログラムを開発することを目的としています。

まずケアの現状を把握することを目的として一般病院を対象に身体拘束の実態調査を実施しました。この調査を踏まえ、老年看護専門看護師や老年精神医学の専門家を交えた多職種協働でプログラムを開発しています。

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認知症対応教育プログラム

認知症対応教育プログラムは以下のような流れで行っています。

  1. 講義:認知症の一般的な知識および身体治療への影響とその対応の解説
  2. 認知症対応シートの使用方法の紹介
  3. グループワーク:認知症が疑われる患者さんが身体治療のため入院した場合の、認知症対応シートを利用した退院後の問題の予測と対応方法の検討
  4. ロールプレイ:認知症対応シートを利用し、入院中に起こりやすい認知症の周辺症状の様に見える身体症状への気づき・対応のロールプレイ

図:講義内容の例

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認知症アセスメントシート(2015年10月31日版)

注:教育のため自由にご利用いただいて構いませんが、再配布、ネット上への転載はご遠慮ください。お問い合わせは精神腫瘍学開発分野までお願いいたします。