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健康格差是正のための実装科学ナショナルセンターコンソーシアム (N-EQUITY)

更新日 : 2024年4月15日

 健康格差是正のための実装科学ナショナルセンターコンソーシアム(N-EQUITY, National Center Consortium in Implementation Science for Health Equity)(2019年12⽉設⽴)では、6つの国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)(注)が連携し、国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部(JH)横断的研究推進費(2019年12月~2022年3月)および JH横断的事業推進費(2022年4月~)による支援を受けて 実装科学推進のための基盤構築を行います。

注:国立がん研究センター、国立国際医療研究センター、国立循環器病研究センター、国立成育医療研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立長寿医療研究センター


研究相談窓口はこちら

国立がん研究センター がん対策研究所 行動科学研究部 N-EQUITY事務局
〒104-0045   東京都中央区築地5-1-1
nec[at]ml.res.ncc.go.jp([at]を@に置き換えてください)(メールアドレスが変わりました 2021年10月6日)

注:研究相談がある方は下記のフォームにご記入の上、事務局までお送りください。

実装研究テーマ応募フォーム

(左クリックしてもダウンロードが始まらない場合は右クリックで「名前を付けてリンク先を保存」を選択いただくか、別のブラウザ(Inernet ExplorerまたはEdge等)を使用してダウンロードをお試しください)



N-EQUITY ワークショップを開催します!

「実装研究のための研究計画ブラッシュアップワークショップ」

日時
2024年7月19日(金曜日)13時30分~17時30分
(第10回RADISHの前日です)

会場
国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 研究棟2階第14会議室


参加費
無料

詳細、お申込み方法につきましては近日中にアップいたします。

研究概要

 実装科学は、エビデンスに基づく介入(EBI)を、医療機関、医療保険者、都道府県、市町村などでの日々の活動の中に効果的、効率的に取り入れ、連続性をもって根付かせる方法を開発、検証する学問領域で、疾病予防から早期発見、治療、支持療法、サバイバーシップ、緩和ケアまで幅広いテーマを扱います。

 しかし、実装科学の方法論、重要性についてわが国ではほとんど認知されていないのが現状です。本事業では、それぞれに専門性を有する6つのナショナルセンターが連携し、予防(循環器疾患、糖尿病、がん)やサバイバーシップ、緩和ケア(心不全、慢性閉塞性肺疾患、認知症、がん)領域での研究プロジェクトを実施し、実装研究のモデルケースとして研究成果を幅広く発信し、実装科学の重要性を広めていきます。

 N-EQUITY研究の目的と計画【図1 研究の目的と計画】


N-EQUITY組織2022.4現在.jpg【図2 N-EQUITYの組織図】

 

研究の進捗・成果

1)「実装研究のための統合フレームワーク-CFIR-」日本版の刊行

 保健医療福祉における普及と実装科学研究会(RADISH)との協働により、「実装研究のための統合フレームワーク-CFIR-」日本版を2021年3月15日に発行し、公開しました。

 CFIRは、Consolidated Framework for Implementation Researchの頭文字を取ったもので、Damschroderらによって2009年に発表されたものです。これにより、実装研究を始めるときにエビデンス・プラクティスギャップがなぜ生じているかを明らかにし、実装戦略を開発する際の枠組みを提供します。

CFIIR_cover.png

『実装研究のための統合フレームワーク―CFIR―』
 監修 内富庸介
 監訳 今村晴彦、島津太一
 発行日 2021年3月15日
 発行 保健医療福祉における普及と実装科学研究会(RADISH)
 ISBN 978-4-9911-886-0-2

詳しくはRADISHホームページをご覧ください。(外部サイトにリンクします)

 

 

2)「ひと目でわかる実装科学:がん対策実践家のためのガイド」の刊行

 RADISHとの協働により、翻訳書『ひと目でわかる実装科学 がん対策実践家のためのガイド』を2021年9月30日に発行し、公開しました。

 本書は、米国国立がん研究所(National Cancer Institute, NCI)実装科学チームから出版された、がん対策実践家に向けて作成されたガイド“Implementation Science at a Glance” (https://cancercontrol.cancer.gov/sites/default/files/2020-07/NCI-ISaaG-Workbook.pdf) を翻訳したものです。本書はエビデンスに基づく介入を実装するための体系的なアプローチを、Assess 事前に確認する → Prepare 準備する →  Implement 実施する → Evaluate 評価する、という4つの段階に分けてまとめられており、それぞれの段階で考慮するべき重要なポイントが整理されています。また、巻末にはケーススタディも掲載されており、これらが実際の現場でどのように機能しているのかを具体的に理解することができます。本書には、がん分野に留まらない、さまざまな臨床現場や公衆衛生分野において共通する実装科学のエッセンスがまとめられています。

ISaaG_cover.png

「ひと目でわかる実装科学:がん対策実践家のためのガイド」
監修:内富庸介
監訳:梶有貴、島津太一
発行日:2021年9月30日
発行 保健医療福祉における普及と実装科学研究会(RADISH)
ISBN: 978-4-9911886-1-9

詳しくはRADISHホームページをご覧ください。(外部サイトにリンクします)

 

 

3)「実装科学における質的手法」の刊行

  RADISHとの協働により、翻訳書『実装科学における質的手法』を2022年3月22日に発行し、公開しました。

 「実装科学における質的手法」は、NCIの実装科学チームが招集した、実装科学、質的研究の専門家により執筆されたレポート"Qualitative Methods in Implementation Science" (https://cancercontrol.cancer.gov/sites/default/files/2020-09/nci-dccps-implementationscience-whitepaper.pdf) を翻訳したものです。下記の点について興味がある研究者を主な対象とした書籍となります。

  1. 実装研究で、どのように質的手法を有効活用し、結果を導くことができるか。
  2. 従来の質的研究法の概要を示しつつ、実装科学の分野では、どの様な目的や背景で質的手法が活用されているのか。
  3. 実装科学の研究者が、研究の一部として質的手法を取り入れる際、どの様なことに配慮すべきか。

 研究者や現場のサービス提供者にとって、本書が、質的研究の実施を促し、手法に関する理解の難しさや不明点を解消する一助となれば幸いです。また、本書が実装科学に興味を持つ質的研究者、量的研究者との交流のきっかけになることを願っています。

実装科学における質的手法_表紙.png

「実装科学における質的手法」
監修 中山健夫、内富庸介 ​
監訳 河野文子、島津太一 ​
発行日 2022年3月22日​
発行 保健医療福祉における普及と実装科学研究会(RADISH) ​
ISBN 978-4-9911886-2-6

詳しくはRADISHホームページをご覧ください。(外部サイトにリンクします)

 

 

4)実装研究の相談窓口の開設

 N-EQUITYのホームページ(本ページです)を開設し、実装研究に関するテーマの提案や相談をNCに限らずNC外からも受け付ける体制を整備しました。

 研究相談窓口情報は本サイト下部をご覧ください。

5)実装研究テーマのリスト化

 N-EQUITYメンバーにより優先すべきテーマをリスト化しました(2021年9月現在 計20テーマ)。優先すべきテーマと研究相談のあった課題とのすり合わせを丁寧に行ったうえで、メンターと研究計画のブラッシュアップを行います。

6)科学諮問委員会における実装研究プロトコル承認のプロセス

 N-EQUITYは、患者・市民を含む外部の有識者から構成される科学諮問委員会を設置し、実装研究のプロトコルの審議を行います。第1号として、実装研究のPhase 2実装試験「中小事業所における事業主および健康管理担当者による喫煙対策を支援する介入の有効性評価:クラスターランダム化比較試験」について、科学諮問委員会(令和3年1月20日)に諮りN-EQUITY2101試験として承認されました。

 図3 職域における禁煙対策Phase 2実装試験

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 図4 N-EQUITY研究支援の流れ

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図5 実装研究の位置づけ

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7) ASCO Annual Meeing 2021 (2021年6月4日~6月8日)

 ASCO Annual Meeing 2021, Clinical Science Symposiumに松岡歩 特任研究員の発表が採択されました。

 JHが支援しているN-EQUITYのサポートを受けて実施した研究であり、日本のがん診療における高齢者機能評価実装の阻害・促進要因について、実装研究のための統合フレームワーク(CFIR)を用いたインタビュー調査です。

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Title: Barriers and facilitators of geriatric assessment implementation in daily oncology practice: A qualitative study applying a theoretical implementation framework. 

First Author  : Ayumu Matsuoka
Meeting        : 2021 ASCO Annual Meeting
Session Type: Clinical Science Symposium
Session Title : Geriatric Assessments: The Quest for What Works and Why
Track           : Symptoms and Survivorship
Subtrack      : Geriatric Oncology
Abstract#     : 12012

https://meetinglibrary.asco.org/record/196692/abstract(外部サイトにリンクします)


8) 『CFIRを使った促進阻害要因の特定の手順』の公開

 RADISHとの協働により『CFIRを使った促進阻害要因の特定の手順』を作成し、公開しました。

実装研究のための統合フレームワークCFIR(Consolidated Framework for Implementation Research)は、実装研究における決定要因フレームワークの一つです。

一般的な実装研究の最初のステップは、実装したいセッティングでの文脈の理解(促進阻害要因の特定)であり、その際に使われる代表的なフレームワークがCFIRです。

https://www.radish-japan.org/resource/cfirprocedure/index.html(外部サイトにリンクします)

9)『変化を実現するための専門家の提言 ERIC』 翻訳暫定版の公開

 変化を実現するための専門家の提言 Expert recommendations for implementing change (ERIC) としてまとめられている実装戦略のリストを翻訳しました。

 詳細はこちらをご覧ください。

 

 実施体制

令和4年度 国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部(JH)横断的事業推進費「実装科学推進基盤構築支援事業」
主任研究者

国立がん研究センター がん対策研究所 研究統括(支持・サバイバーシップ)内富 庸介

分担研究者

国立がん研究センター がん対策研究所 行動科学研究部 室長 島津 太一
国立がん研究センター がん対策研究所 サバイバーシップ研究部 室長 藤森 麻衣子
国立がん研究センター がん対策研究所 行動科学研究部 研究員 齋藤 順子
国立循環器病研究センター オープンイノベーションセンター長 宮本恵宏
国立循環器病研究センター オープンイノベーションセンター情報利用促進部 上級研究員 金岡 幸嗣朗
国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 所長 金 吉晴
国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター研究開発部 部長 伊藤 正哉
国立国際医療研究センター 心療内科 診療科長 菊地 裕絵
国立成育医療研究センター 政策科学研究部 部長 竹原 健二
国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 副部長 土井 剛彦
国立長寿医療研究センター 認知症先進医療開発センター 予防科学研究部 主任研究員 黒田 佑次郎