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平成30年度がん対策情報センター「患者・市民パネル」秋の検討会

開催日時

 

開催日:2018年12月2日(日曜日)

開催時間:13:00~16:30

 

会場

国立がん研究センター新研究棟セミナールーム

 

プログラム

  • がん対策情報センター長開会のあいさつ
  • 「事前アンケート」の集計結果について
  • 「がんの臨床試験とは~JCOGの活動について~」
  • 「欧米における臨床研究への患者参画」
  • 本日のテーマとディスカッションの進め方
  • 情報共有/グループディスカッション
  • 各グループの結果報告/全体討議
  • がん対策情報センター長閉会のあいさつ

 

概要

12月2日に「臨床研究への患者・市民参画について」をテーマとして、平成30年度がん対策情報センター「患者・市民パネル」検討会が行われました。

 

国際的な流れとして、臨床研究の計画、研究費の申請や採択、研究結果の評価などの段階で、患者が参画することが求められてきており、国内においても、臨床研究への患者参画のあり方について検討を始めるべき時期にあるといわれています。そこで、今回の検討会では、「臨床研究への患者・市民参画について」をテーマとして、臨床試験へのイメージ、日本でも患者参画が進むと思うか、どのような形で関わるとよいか、などについて、患者さん・ご家族・市民のそれぞれの立場から、ご意見をいただくこととなりました。

この日の検討会では、全国から67名の皆さまにお集まりいただきました。

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若尾文彦がん対策情報センター長からのあいさつでは、前回の患者・市民パネル検討会においてアイディアをいただいた「がん情報ギフト」プロジェクトの進捗について触れ、103館に寄贈されており、また長野県のバッジの売上の一部が「がん情報ギフト」に寄付されるといった広がりがあることが報告され、皆さまの地域でも周知をお願いしたい旨が語られました。そして、この日のテーマについては、第3期のがん対策推進基本計画で取り上げられている課題であるが、日本では道半ばであるため、参画が進むためのご意見だけではなく、心配/踏み切れないことに対する意見なども含め、活発なご議論をいただきたい旨が語られました。

 

引き続き、担当者より、本検討会に先立って皆さまにご協力をいただいた「事前アンケート」の集計結果報告がありました。まず、『臨床試験のイメージ』としては、「必要なもの」「身近ではない」「リスクを伴うもの」を含む11項目が挙げられました。つぎに、『臨床試験の計画や立案の参画』の形としては、“理解しやすい内容となっているか”といった「計画への意見」や“分かりやすいリーフレット作成”などの「情報提供」といった具体的な意見が寄せられました。最後に、『一般の方への研修会・セミナーの形』については、“臨床試験の基本的なことを伝えてほしい”といった「臨床試験について」や“実際に臨床試験を受けた方の感想を聞きたい”という「体験談」などが良いのでは、という意見が多く挙げられました。さらに、『一般の方の関わり方』については、「広報」「査読」での関わり方の提案が寄せられました。

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続いて、福田治彦センター長(国立がん研究センター中央病院/JCOGデータセンター)より、『がん臨床試験の全体像とJCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)についてイメージを持ってもらう』ことを目標のもと、臨床試験の種類、目的、誰が行うのか、どのように進んでいくものか、そしてJCOGの組織とはどのようなものか、についての概説がなされました。その内容を踏まえ、平成30年3月から患者参画小委員会が発足したことにより、参画への取り組みを進めようとしていることが話されました。そこで、臨床試験への参加を促進していくために、具体的な意見をいただきたい旨が語られました。

 

その後、「臨床試験」「患者参画」について、感想や疑問点を班ごとに話し合う形で進みました。ファシリテーターには、JCOG事務局のセンター外を含む先生方にご協力をいただきました。「臨床試験」については、「臨床試験をスタートするタイミングがわからない」「臨床試験の情報に辿り着けない」「臨床試験の説明/提示されるタイミングについて工夫が必要ではないか」、「患者参画」に関しては、「参画の意義に疑問を感じる」「参画の具体的な部分が知りたい」といった、今回のテーマの根源につながる感想、疑問、懸念点が次々と挙がり、皆さまの関心の強さがうかがえました。

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休憩をはさんで、水谷友紀研究員(国立がん研究センター中央病院/JCOG運営事務局)より、患者・市民参画の目的は、『患者・市民と「ともに」あるいは患者・市民「によって」研究が実施される体制の実現』であり、「米国・英国の患者参画の取り組み」の説明がなされた上で、このような欧米における患者参画の動きは、日本にも影響を与えつつあることが語られました。さらに、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の取り組みとして、今年度より患者参画の取り組みが開始されていることが別紙資料とともに紹介されました。

 

 続いて、10グループに分かれていただき、3つのテーマから、各班でテーマを選ぶ形で、ディスカッションが進みました。
 
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1.「日本でも臨床研究への患者参画が進むと思うか」
 
2.「参画が進むことで、患者・家族の「臨床試験」へのイメージは変わるか」
 
3.「どのような形であれば、参画に貢献することができると思うか」
 
 
ディスカッションでは、「米国のような患者参画はハードルが高いのではないか」「臨床試験の情報を得ることは難しい」という意見の一方で、「テレビCMなどで周知することが必要」「教育プログラムの策定が必要なのではないか」などの提案も挙げられました。また、「正しい知識を身に付けることが必要」「デメリットも適切に伝えるべきである」といった意見が多数寄せられ、「患者会との連携が必要」「患者の意見をうまく汲み上げられる仕組みや届けられる環境づくりが重要」といった連携・意見交換の重要性を含んだ指摘がなされました。

最後に、事務局より、春の委嘱状交付式において検討していただいた『がん情報ギフト』プロジェクト」の現状報告があり、ポスターやチラシ等に「利用者の声」を載せるために、パネルの皆さまのご協力をいただいたこと、寄贈先図書館に向けたアンケート形式のはがきの配布を開始していることが話されました。さらに、11月時点で1都1道1府31県の計103図書館に寄贈されており、今月さらに20図書館に寄贈予定であり、引き続き、ご協力をいただきたい旨が語られました。

 

限られた時間の中ではありましたが、患者・家族・市民のそれぞれの立場からの感想や疑問を含め、より内容に踏み込んだご意見をありがとうございました。福田治彦センター長からのあいさつでは、ピアサポーターとの連携といった新しいアイディアを含めた皆さまからのご意見を踏まえ、患者参画への体制構築に向けて進めていきたい旨が語られました。

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。