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2025年度「患者・市民パネル」委嘱状交付式・検討会~大腸がんファクトシートの利活用について~

開催日時

開催日:2025年5月23日(金曜日) 開催時間:13:00~16:30

開催方式

現地(国立がん研究センターセミナールーム)とオンライン(Zoomミーティング)のハイブリッド

プログラム

  • 開会あいさつ
  • 委嘱状交付
  • 説明:国立がん研究センターおよびがん対策研究所について、患者・市民パネルの活動について
  • 講演:大腸がんファクトシートの利活用について
  • グループディスカッション
  • 各グループからの発表・全体共有
  • 閉会あいさつ

概要

国立がん研究センターでは、患者さんやその家族、支援者、一般市民の視点をふまえたがん対策の推進を目指し、2008年度より、約100名の立場や経験が多様ながん患者・家族・自民のみなさまからなる「患者・市民パネル」にご意見をいただきながら、取り組みを進めています。患者・市民パネルの任期は2年間で、毎年公募により約半数ずつが入れ替わります。患者・市民パネルを務められた方の数はこれまでに700名を超えており、2025年度は41名が新たに加わりました。

5月23日(金曜日)に委嘱状の交付式および患者・市民パネルが集って意見交換する検討会を現地とオンラインのハイブリッド方式で開催し、北海道から沖縄県まで全国から77名(現地61名、オンライン16名)のパネルのメンバーが参加しました。

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開会にあたり、松岡豊・がん対策研究所長から、患者・市民パネルは日本のがん対策を進めていく上で欠かせない役割であり、検討会で得られた気づきや成果を皆様の生活圏で活かすことで、がん検診による早期発見・早期治療を促すきっかけになることを祈念するとの言葉とともに、メンバーに向け委嘱状の交付が行われました。
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続いて、八巻知香子・がん情報提供部長より当センターおよびがん対策研究所の理念・使命、組織や活動概要について、がん情報サービスとがん相談支援センターについての説明、さらには患者・市民パネルの活動内容の紹介がありました。
グループディスカッションに入る前に、小林望・中央病院 検診センター長 兼 がん対策研究所 検診開発研究部長により、検討テーマ「大腸がんファクトシートの利活用」について講演が行われました。
日本では、大腸がんは罹患数、死亡数共に上位であり、1992年の検診開始後も死亡率の減少がゆるやかです。対策が遅れている原因として、検診のルールが未統一なのに加えて国レベルのデータベースがなく、また受診率や検診に関する理解度の低さも指摘されています。そこでがん対策研究所は、大腸がん対策を更に進めるために、医療者や行政・企業担当者を主対象とした「大腸がんファクトシート」を作成し、2025年3月に公開しました。今後、同ファクトシートをもとに一般向け資材を作り、自らが検診の必要性を十分に理解して受診しようとする意識改革につなげたい旨が語られました。
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グループディスカッションは、現地9グループ、オンライン3グループに分かれて、患者・市民パネルに加えて、当センター職員もグループの議論をサポートしました。
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各グループで活発な議論が交わされ、「大腸がんファクトシートの利活用」について、どのような内容で、だれに、どうやって届けたらよいか、次のような意見が出ました。

【どのような内容で】

・検査は「恥ずかしくない、怖くない、簡易である」

・SNSの活用、QRコードの利用などで必要情報へ誘導していく

・「早期発見で9割以上は治る!」ことをイラスト入りパンフレットで伝え、検査キットと共に送付する

【だれに】

・一般的な人たちが検診に対する情報を得るにはどうしたらよいのか、という視点が必要

・ファクトシートを学校で配布し、子供から保護者に渡して、一緒に話す機会を作る

【どうやって】

・ファクトシートを改変するだけでは、専門的すぎて届かない。キャッチフレーズを作って広める

・検診をイベント化する(誕生日や成人式、結婚、出産など、人生の節目での受診を促す)

・TV番組のテーマにしてもらう

・企業に関与する社労士、税理士、経営者団体にプレゼンターになってもらい、事業者に届ける

・患者・市民パネルからがん相談支援センターや主治医に配布する

・検診活動に従事する方やメディアなど啓蒙活動に務める方に周知する
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全12グループの全体共有・発表を受けて、小林検診センター長は閉会のあいさつで「新鮮な意見をいろいろと頂戴し、気づきが多く得られる機会となった。検診受診率の向上を中心に考えていたが、その前段階として、そもそも大腸がんの現状があまり知られていないことがわかった。より多くの皆様に現状を知ってもらい、検診受診へとつなげていきたい。できれば国民全体の関心事となればよい。パネルメンバーの皆さまの声を大いに参考にさせていただき、活かしていきたい」と結びました。

検討会の終了後には、交流会が行われました。全国各地のパネルメンバーが、グループに分かれて自由に会話をする場となりました。