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国立がん研究センター

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精巣がんの病気について

最終更新日:2023年1月26日

精巣がんとは?

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精巣は男性の生殖器で、テストステロンなどの男性ホルモンを分泌する、精子をつくり生殖を可能にするといった重要な役割を担っている臓器です。下腹部の陰嚢(いんのう)という袋の中に収まっており、精巣上体と呼ばれる精子の一時貯蔵器官が付属しています。

精巣内には、男性ホルモンを産出するライディッヒ細胞、精子をつくるもととなる精母細胞などがありますが、精巣に発生するがんの多くが、精母細胞から発生するものです。このように、精巣がんは精巣内の生殖細胞から発生する胚細胞腫瘍(はいさいぼうしゅよう)*1であるため、さまざまな病理組織像がみられます。

大きく分けて、セミノーマ(精上皮腫)と非セミノーマがありますが、後者のほうが転移しやすく、悪性な経過をとりやすいといわれています。

精巣がんにかかる割合は10万人に1人程度といわれ、比較的まれながんです。しかし、20~30歳代の男性がかかる固形がん(白血病などの血液腫瘍以外のがん)としては最も多く、若年者に多いという特徴があります。

*1 胚細胞腫瘍:胎生期(胎児の時)の原始生殖細胞(精子や卵子になる前の未成熟な細胞)から発生した腫瘍の総称です。男性では精巣、女性では卵巣といった生殖器に多く発生します。腫瘍がどこから発生したかによって、さまざまな症状があらわれますが、腫瘤は外からは目立たないことも多く、症状がないケースもあります。
(参考)国立がん研究センターがん情報サービス「胚細胞腫瘍」「胚細胞腫瘍〈小児〉

原因

精巣がんの原因はまだ解明されていませんが、次のような人は、精巣がんになりやすいといわれています。

  • 停留精巣(精巣が陰嚢内にない状態)がある
  • 家族に精巣がんになった人がいる
  • 過去に精巣がんになったことがある

よく知られているのは停留精巣で、停留精巣がある男性が精巣がんになるリスクは、ない男性より2~10倍高くなるといわれています。また、父親や兄弟に精巣がんの人がいる場合は4~8倍、片側の精巣ががんになった人が場合に反対側もがんを発症するリスクは20倍以上との報告もあります。そのほか、不妊症や精液検査異常もリスクになると考えられています。

症状

初期症状はほとんどなく、精巣に無痛性のしこりができたり、精巣が腫れたりして、発見されることがほとんどです。痛みや発熱などの自覚症状に乏しいといわれていますが、下腹部の重圧感や鈍痛(30~40%)、急性の精巣痛(10%)がみられることもあります。

精巣がんは進行が早く、比較的早い時期に転移するため、転移による症状(腹痛、腰痛、呼吸困難、首のリンパ節の腫れなど)で気づく場合もあります。また、ホルモンの影響により、乳首の痛みや腫れが起こることもあります。

こうした症状はかなり進行してからでないとあらわれないため、青・壮年期の男性は、ふだんから入浴時に自分で触ってしこりがないか確認するなど、自己検診をおすすめします。

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