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国立がん研究センター

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肝がんの療養について

更新日 : 2023年10月16日

前回の動画▷肝がんの治療について

療養

肝がんの手術後の注意点として、特別な食事療法や生活の制限はありません。一般的には、1ヵ月程度はゆっくり過ごし、日常生活に身体を慣らしていきます。体力が回復し、肝機能が安定すれば、徐々に通常の生活に戻れますので、焦らず、できることから試してみましょう。

体重管理

肝硬変があって肝機能が手術前からあまりよくなかった場合や、切除範囲が大きかった場合は、手術後に肝臓が弱ってしまって、腹水が貯まったり、足がむくんできたりすることがあります。そうした場合、利尿剤を使用して、体重を毎朝測定して体調を管理する必要があります。塩分過多の食事にも注意しましょう。

食事のこと

食事は、手術後、3日ほどでとれるようになります。肝切除の範囲が小さければ、肝機能の回復は早く、栄養管理にも特に注意する必要はありませんが、切除範囲が大きかった場合は、食事がとれるようになるまで時間がかかることもあります。点滴で栄養補給を行う場合もありますが、肝臓の機能を回復させるためにも、少しずつ口から栄養をとることが大切です。

肝硬変などの肝機能が低下した状態では、栄養管理が重要になります。肝再生のために、良質のたんぱく質やビタミン、ミネラルを含む十分な栄養補給を行いましょう。

治療後の食生活について、医師や栄養士に相談してみるとよいでしょう。

飲酒のこと

肝がんは、術後の肝機能が正常でも再発リスクが高く、飲酒によって再発時の治療選択肢を狭めることにつながりますので、禁酒をお勧めします。

痛みのこと

手術後の傷の痛みには個人差がありますが、数ヵ月間は、腹部に痛みが残っていたり、ひきつれ感があったりします。創部が赤くなったり、液体がたくさん出たりするようであれば、担当医に連絡しましょう。痛み止めは、間隔を空ける、痛くないときは飲まないなど、徐々に減量していくようにします。

術後1ヵ月程度はゆっくり過ごし、体力の回復に合わせて、日常生活の軽作業や散歩などの軽い運動から始め、少しずつ運動量を増やしていきましょう。肝障害の進行を防ぐために、スクワットなどの下肢の筋力維持を目的とした運動もよいとされています。

国立がん研究センターではがん患者さん向けのホームエクササイズも紹介しています。ご参照ください。

https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/orthopedic_surgery/040/kashi.html

今後の検査のこと

治療後は、定期的に通院して検査を受けます。
肝がんは再発リスクが高いがんでもあるため、3~6ヵ月ごとに長期的な通院が必要になります。

再発・転移

肝がんは、慢性肝炎や肝硬変などを起こした肝臓に発生します。したがって、治療でがんを取り除いても、残った肝臓からがんが再発することも少なくありません。

肝臓がんの再発は、肝臓内に起こる肝内転移がもっとも頻度が高く、続いて、肺やリンパ節、副腎、脳、骨などに転移することがあります。肝切除による治療後に初めて再発した場合、90%以上が肝臓内での再発といわれています。これは、取り残したがんから肝臓内の血管を介して転移する肝内転移のほか、肝切除後の残存肝から新たに肝がんが発生すると考えられています。

肝臓以外の臓器に転移していない場合には、手術を行う場合は残っている肝臓の量や肝機能、薬物療法などを行う際はがんの広がりと肝機能を考慮して、治療法を検討します。
基本的には、初回の治療方針と同じで、手術で切除するか、切除が難しい場合は、ラジオ波焼灼療法や塞栓療法、薬物療法を行います。

肝がんの治療についてをご覧ください。

肝がんの治療にはたくさんの選択肢があるので、再発しても諦めずに治療を続けることが重要です。再発の治療では、(1)再発の早期発見、(2)適切な(局所)治療の適応、がポイントとなります。

肝臓は、何度も治療を繰り返すと肝機能が低下してしまうという問題点ががありますので、再発を見逃さず、早い段階で治療を行う必要があります。肝がんの治療を受けた人は、定期的に通院して、体調の変化や再発の有無を確認するようにしましょう。定期検査は3~6ヵ月ごとに行い、肝機能や腫瘍マーカーを調べるための血液検査のほか、必要に応じて、超音波(エコー)検査や造影超音波検査、造影CT検査、造影MRI検査などの画像検査を行います。PET検査、骨シンチグラフィなどを行う場合もあります。

再発について不安なことがあれば、担当医に相談してください。

また心の面での不安は、全国の「がん診療連携拠点病院」や「小児がん拠点病院」「地域がん診療病院」に設置されている、がんに関する相談窓口がん相談支援センターをご利用ください。

管理・予防

肝がん、そして肝がんの原因となる肝炎を予防するためには、肝炎ウイルスに感染しないことが重要です。B型肝炎ウイルスに対しては、現在ワクチンがあり、0歳児を対象にした定期接種も行われています。また、肝炎ウイルス感染を早期に知ることも大切です。検査を受けたことがない人は、地域の保健所や医療機関で一度は検査を受けるようにしましょう。ウイルス感染が分かったら、ウイルスの排除や増殖を抑える薬を用いた抗ウイルス療法など、肝炎の進行を遅らせる治療を行います。

そのほか、アルコールの飲み過ぎ、脂肪肝の原因となる肥満や糖尿病などにも注意が必要です。生活習慣を改善していきましょう。

肝臓は「沈黙の臓器」といわれるだけに、かなり進行しないと自覚症状はありません。したがって、早期発見・治療が何よりも重要です。肝炎ウイルス感染による肝硬変や慢性肝炎がある人、また、肝炎ウイルスを伴わない肝硬変の人は、特に肝がんになるリスクが高いため、3~6ヵ月に一度、超音波(エコー)検査などの定期検査を受けるようにしてください。また、肝炎や肝硬変がない人も、会社の健康診断などで肝機能の異常などが指摘されたら、放置せず、必ず精密検査を受けるようにしましょう。

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