コンテンツにジャンプ
希少がんセンター

トップページ > 希少がんグラント > Ewing肉腫の二次変異の臨床的意義に関する国際共同研究

Ewing肉腫の二次変異の臨床的意義に関する国際共同研究

更新日 : 2022年5月31日(確認)

公開日:2022年1月28日

研究代表者

小倉 浩一(おぐら こういち)
  • 小倉 浩一(おぐら こういち)
  • 国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科

希少がんグラント

共同研究者



  • 平田 真(ひらた まこと)
  • 国立がん研究センター中央病院 遺伝子診療部門

研究概要

Ewing肉腫は小児に好発する極めて予後不良な肉腫です。また、日本での年間発症数は100人未満と代表的な希少がんです。Ewing肉腫はその原因遺伝子であるEWS-FLI1融合遺伝子以外の遺伝子異常は極めてまれと考えられてきましたが、最近のゲノム異常解析により、TP53,CDKN2A,STAG2,ERFなどいくつかの二次変異が認められることがわかってきました。また、これらの二次変異を有する症例が予後不良であることを示唆する報告もありますが、これらの報告は欧米の少数例のデータに基づく知見であり、しかも各々の変異の頻度は全症例の5~10%程度であることから、これらの変異Ewing肉腫における予後への影響を含めた臨床的意義の解明は未だ緒についたばかりです。したがって、これらの変異の臨床的意義の解明および新規治療開発への応用の可能性の探索は今後の極めて重要な課題と考えられます。そこで、今回の研究では以下の目標達成を目指しています。
1.Ewing肉腫は発症頻度や予後に人種差があると考えられています。そのため、骨軟部腫瘍ゲノムコンソーシアム(JSGC)との連携により、Ewing肉腫における二次変異の本邦における正確な頻度を検討します。
2.これらの二次変異は希少であり、生存解析を行って臨床的意義を検討するには、より多数の症例の集積が必要です。したがって、米国のがんセンターである Memorial Sloan Kettering Cancer Center との共同研究で、日米の症例を統合し、Ewing肉腫における二次変異の予後への影響を含めた臨床的意義を解明します。
3.さらに、明らかになった予後不良と関連する二次変異を有するEwing肉腫の病態解明、新規治療開発への応用の可能性を探索するための将来的な研究の準備を開始します。

研究代表者から患者さんやご家族へのメッセージ

私は整形外科医になって15年になります。これまで東京大学大学院、国立がん研究センター中央病院、同研究所、米国ニューヨークの Memorial Sloan Kettering Cancer Center などにおいて一貫して骨軟部腫瘍の臨床と研究に取り組んできました。研究においては、主に次世代シークエンサーを用いたゲノム解析を通した骨軟部肉腫の発生、進展の分子機構の解明を目指した基礎研究、臨床に還元を目指した橋渡し研究に携わってきました。
最近、希少がんという言葉を耳にする機会が多くなりましたが、今回、研究のターゲットとしているEwing肉腫は小児に発生する代表的な希少がんであり、日本での年間発生数は100例程度です。このため、十分な症例・検体を収集して解析を進めることは困難を極め、エビデンスの構築や標準治療の開発、患者個々の特性に応じた個別化治療の導入などの点において、他のがんと比較して大きく遅れをとっています。一方、近年、多くのがんにおいて分子遺伝学的背景が解明され、分子遺伝学的背景に基づいた個別化治療の開発と臨床現場への導入が積極的に行われています。Ewing肉腫のような希少がんにおいては分子背景などの病態解明、バイオマーカーの同定、新規治療薬の開発などは十分になされておらず、これらを他のがんと同様に行っていくことは今後の極めて重要な課題であると考えています。 本研究はこのような背景を念頭に国内はもちろんのこと、国際レベルでの連携を通じてEwing肉腫の二次変異についての臨床的意義を解明すべく計画したものです。本研究が実現すれば、Ewing肉腫の希少変異も含めた変異プロファイルが明らかになり、最終的には本研究で明らかになった予後不良と関連する二次変異を有するEwing肉腫の病態解明、新規治療開発への応用へとつながればと考えています。希少がんグラント受賞者であることを誇りに、また感謝の気持ちを忘れずに、より一層希少がんであるEwing肉腫の撲滅にむけて努力していく所存です。

研究の成果

準備中