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患者腫瘍組織移植モデル(Patient-derived xenografts)を用いた創薬研究手法の開発

がん領域創薬研究におけるin vivoモデル薬効評価の多くは、in vitro試験で効果を認めた細胞株系を免疫不全マウスに移植したCell line-derived xenograft(CDX)モデルであり、Drug deliveryや治療抵抗性に関わるヒトがん組織構造体の不均一性を反映したモデルの構築が望まれます。

当研究室では、乳癌を中心とした臨床腫瘍組織を、分画化せず直接免疫不全マウスへ移植・株化するPDXモデルを作製し、質量分析イメージングを含めた各種解析系と組み合わせることで、臨床に近似した前臨床創薬研究におけるProof of concept/ mechanism評価系の構築、Biomarker探索、がんの分子基盤解明研究を進めています。

抗がん剤の開発は極めて難しく、動物実験で有効性が示されても、実際にヒトに投与する臨床試験では有効性が示されないことがあります。実験に用いているがん細胞株は、元のがん組織の特性が失われているため、抗がん剤の正確な治療効果を予測できない可能性があります。近年、がん患者さんのがん組織を免疫不全マウスに移植し腫瘍を再現する患者腫瘍組織移植PDX(patient–derived xenograft)モデルの利用が推進されています。PDXは患者さんのがん組織の特徴を保持できるため、抗がん剤開発にパラダイムシフトを起こしています。従来の樹立細胞モデルで5%程度と言われる治療効果の予測能が、PDXモデルマウスの場合は80%以上という報告があり、新しい抗がん剤をヒトに投与する臨床試験の前に、薬剤の効果を予め確認すために利用が進んでいます。近年、国内においてもPDXモデルの創薬利用が進み、PDXモデルを活用した研究開発の実績が出始めています。しかしながら、PDXの樹立・品質保証・維持等には多額の費用が必要となり一企業での対応が困難なため、日本での産業利用を可能とする国レベルの体制整備が求められています。

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)」の採択を受けて、「がん医療推進のための日本人がん患者由来PDXライブラリー整備事業」をLSIメディエンスならびに医薬基盤・健康・栄養研究所と共同で推進しています。この事業は、日本人の特性も加味した効率的な新薬開発を目指して、日本人のがん患者さん由来のPDXを産業活用できるよう、またさらに高度な研究・医療への応用推進を目指したものです。よって、患者さんのがん組織およびマウスに移植されたPDXの解析情報(病理組織所見、がんゲノム、遺伝子発現等)を、臨床情報と併せて一元管理し、抗がん剤の効果や作用機序をマウスと人で相互比較、検討することで、ゲノム医療・創薬の実践に貢献を目指します。

がん医療推進のための日本人がん患者由来PDXライブラリー整備事業におえる当分野の目標

1     日本人のがん患者由来PDX(J-PDX)の産業利用の支援

2     5大がん(肺がん、大腸がん、乳がん、胃がん、子宮がん)、前立腺がん、膵がん等の難治性がん、臨床試験が困難とされる希少がんを含むPDXライブラリーの整備

3     PDXに関する基礎研究およびPDX樹立方法の高度化研究


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さらに、国立がん研究センター中央病院・東病院と連携し、がん患者とPDXマウスの薬剤応答性データ等を突合・解析するCo-Clinical Study(希少がんを含む)の創薬研究を推進します。


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平成27年度AMED革新的がん医療実用化研究事業課題
「患者乳癌組織移植モデルと質量分析イメージングによる空間薬物動態解析を用いた新視点からの創薬支援研究開発」研究開発代表者 林 光博)

AMED革新的がん医療実用化研究事業課題

患者組織移植モデルを用いた創薬研究手法の開発