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Cancer predisposition syndromeにおける原因遺伝子および遺伝性腫瘍のゲノム解析

TP53変異を原因とするLi-Fraumeni 症候群に代表される生殖細胞系列(胚細胞性)の遺伝子異常により遺伝的に高発癌性を呈する疾患はCancer predisposition syndromeと呼ばれますが、これまで当研究室では、Fanconi貧血やDiamond-Blackfan貧血など高頻度に白血病などの悪性腫瘍を合併する先天性骨髄不全症の原因遺伝子の同定に貢献してきました(Hira, Yoshida et al., Am J Hum Genet. 2015、Wang et al., Br J Haematol. 2015, Ikeda et al, Haematologica. 2018, Toki, Yoshida et al. Am J Hum Genet. 2018, Dingler et al. Molecular Cell. 2020)。また、遺伝性乳癌の遺伝子解析により、日本人の乳癌の5.1%の症例でBRCA1/2などの生殖細胞系列変異があることを報告し、さらにBRCA1/2遺伝子変異により発症する乳癌の遺伝学的特徴を明らかにしました(Inagaki-Kawata, Yoshida et al., Commun Biol. 2020)(図)。また、小児がんにおいては8.5%と高頻度に生殖系列変異が関与していることが報告されていますが(Zhang et al., N Engl J Med. 2015)、cancer predisposition syndromeなどがん易罹患性のある患者さんにおけるがんの早期発見や発がんのメカニズムの理解につながる研究が求められています。遺伝性腫瘍は特徴的なゲノム異常を有することが多く、過去の解析により発がんメカニズムについて重要な知見が得られてきており、さらなる研究が必要だと考えています。

当研究室では、全ゲノム解析など最新のゲノム解析技術を用いて、cancer predisposition syndromeの原因遺伝子の同定に取り組み、また遺伝性腫瘍の解析により高発癌性のメカニズムや早期の発癌予測を可能にする遺伝子異常の解明に取り組みたいと考えています。

図3