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がん創薬研究ユニット

ユニット写真

お知らせ

2026年2月14日
田中庸介さんが神戸大学医学部で招待講演をしました。
2026年1月1日
がん創薬研究ユニットが誕生しました!

研究室の紹介

がんとは、いったい何者なのでしょうか。分子生物学や治療技術の進歩により、がんの理解は着実に深まりつつあります。一方で、進行がんの予後はいまだ厳しく、臨床の現場では治療抵抗性や再発といった課題に日々直面しています。がんの本質的な弱点を見いだし、真に有効な治療へとつなげるためには、がんそのものを深く理解することが不可欠です。がん創薬研究ユニットは、次世代シーケンサーを用いたマルチオミクス解析を基盤に、がんの分子病態を包括的に捉え、臨床応用可能な治療標的の創出を目指しています。臨床で生じた課題や疑問を研究へと展開し、その成果を再び治療へと還元する循環を重視した研究を行っています。

私たちの研究は、大きく二つの柱から構成されています。第一の柱は、難治がんを対象とした治療標的探索研究です。全ゲノムシーケンスをはじめとする多層的オミックスデータを統合し、がん細胞が依存する分子機構を同定します。さらに、培養細胞やモデル系を用いた機能実験により、その標的が治療として成立し得るかを検証します。例えば、スキルス胃がんを対象とした研究では、包括的ゲノム解析から新規治療標的を見いだし、その有効性を実証しました(Nature Cancer, 2021 プレスリリース 「全ゲノム解析によってスキルス胃がんの治療標的を同定」)。また、難治性白血病患者さんの検体解析から新規融合遺伝子異常を見出し、実験的に治療効果を示しました(NPJ Precision Oncology, 2023)。

第二の柱は、がん発生の起点となる前がん病変に着目した研究です。がんは突然発生するのではなく、正常組織が段階的な分子変化を経てがんへと移行します。私たちは、シングルセル解析、空間トランスクリプトミクス、微小環境ゲノム解析を統合することで、がんが生じる背景となる組織環境や分子変化を明らかにしてきました。人工透析患者さんに特有の腎臓がんを対象とした研究では、透析腎に蓄積するゲノム異常と発がん機構を解明し、発がんに直結する介入点を提示しました(Cancer Discovery, 2025 プレスリリース 「人工透析下の腎臓がんの前がん病変および発症機構を解明」)。

これら二つのアプローチを通じて、私たちは難治がんの背景にある分子機構を明らかにし、新たな治療戦略の創出を目指しています。臨床と研究の双方の視点を重視し、患者さんの予後改善につながる研究を進めていきたいと考えています。