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研究プロジェクト
発がん原因の解明
がんはゲノムの不安定性を利用して次々とランダムなゲノム変異を蓄積し、クローン進化を繰り返して発症すると考えられます。このような多様性に富んだがんの特効薬を開発するためには、個々のがんにおける本質的な発がん原因分子を同定し、それを標的とする薬剤を開発することが有効であると考えられます。そこで私たちは、患者検体の網羅的なゲノム解析を行い、発がん機構の解明と新規標的の同定を目指しています。例えば、患者由来のがん組織を免疫不全マウスに移植した患者由来組織移植(PDX)モデルを大規模に用いて、標的タンパク質分解誘導薬のがん種横断的な薬効評価を行いました。さらに、PDXの全エクソンシークエンスを行い、BRCAやATM遺伝子変異が有効性予測バイオマーカーであることを同定しました(NPJ Precis Oncol. 8 : 117 , プレスリリース)

がんゲノム医療のトランスレーショナルリサーチ
また私たちは、がんゲノム医療の実用化にも積極的に取り組んでいます。ゲノム医療では、発がん関連遺伝子の配列異常を次世代シークエンサーを用いて調べますが、臨床試料からDNAとRNAの両方を抽出して解析する独自の遺伝子パネル検査「TOPパネル」を開発しました (Cancer Science. 110 , 4 ,プレスリリース)。
これを用いて、ほぼ全ての固形腫瘍のがん関連遺伝子異常を一度の解析で明らかにすることが可能です。さらに血液中を流れる遊離核酸や循環腫瘍細胞を用いたリキッドバイオプシーへの応用も行っていますしました ( Cancer Discov. 13, 8 , プレスリリース) 。
またこうして見つかる無数の遺伝子変異のどれが発がんに寄与するのか、薬剤耐性の原因なのかをハイスループットに解析する独自の手法の開発に成功しました( Sci Transl Med. 9 : eaan6556 , プレスリリース)。本手法を様々ながん関連遺伝子の1000種類以上の意義不明変異に応用したところ、それらの多くが発がんに関わっていることが明らかになりました(Nat Commun. 11 : 2573, プレスリリース)。

がんゲノムの解析パイプライン開発
さらに私たちは、バイオインフォマティクスを駆使して疾患の原因遺伝子の同定や発がん機構の解明を行っています。近年は様々な解析ツールが開発されて容易に使える恵まれた環境ではありますが、自分たちが考えている仮説を捉えるための適切なツールがあるとは限りません。実現できそうなツールが無ければ作成する!をモットーに研究を進めています。例えば、アレル別のコピー数解析ツール(in-house)や、FFPEエラー除去ツールMicroSEC(Commun Biol 4 : 1396)、ゲノム医療における融合遺伝子検出ツール(Cancer Sci 110 : 1464)、その他解析に役立つラボ秘伝の虎の巻(!?)など、ウエットだけでなくドライ技術も高めてがん基礎研究の発展を試みています。


