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ゲノム生物学研究分野

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ゲノム生物学研究分野では、「がん細胞やがん罹患者のゲノムを把握し、その生物学的意義・特徴を明らかにすることで、個別化医療を実現するためのがんの予防・診断・治療の標的となるシーズ(種)を同定する」ことを目的としています。
がん細胞は、正常細胞にはないゲノムの異常、つまり体細胞変異を獲得しています。例えば、日本人の肺腺がんではがん遺伝子EGFRの変異が30-50%に見られます。このようながんを持つ患者さんにはゲフィチニブ/エルロチニブというEGFRタンパク質に対する分子標的薬が著効します。私たちはRETキナーゼ遺伝子の融合が肺腺がんの2%に存在することを発見し、RETタンパク質のキナーゼに対する阻害剤を用いた肺がん治療法の探索を進めています。その中で、「アロステリック効果をもつ変異」というRET阻害剤に対する新しい治療耐性機構も明らかにしました(後述)。

LC-SCRUM-Japanと協働することで、ゲートキーパー変異を獲得することでRET阻害剤に耐性化した肺がんが、次世代のRET阻害薬Selpercatinib (LOXO-292)に対しては治療効果があることを論文発表しました。この結果は、RET阻害剤を用いた肺がん治療の有望さを示すものです。

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2019年6月より、がん遺伝子パネル検査が保険診療として開始され、がんゲノム医療が大きく推進しています。
しかしながら、医療現場で検出されても、薬物治療に到達しない遺伝子変化が多く存在します。臨床現場で検出される意義不明変異(VUS: variants of unknown significance)の解釈は、患者さんへの薬剤到達率の向上に大きく貢献すると考えられます。私たちは、スーパーコンピュータを用いた分子動力学シミュレーションなどを利用した先駆的な意義付けを行うことで、がんゲノム医療を推進したく考えています。

 RETMD
 遺伝子パネル検査はがんゲノム医療の起点であり、今後、全ゲノムシークエンス解析への展開が大きく期待されています。私たちは、最も悪性度の高い肺がんである肺小細胞がんの全ゲノムシークエンス解読を国際共同研究で行い、クロマチン制御遺伝子CBP/EP300の失活変異を明らかにしました。 現在は、肺がんに加え、婦人科がんなどの全ゲノムシークエンス解析を進めています。

 
クロマチン制御遺伝子変異に関する治療法の探索は、がん治療学研究分野で推進されています。


ゲノム配列には個人差があり、血液型やHLA型に代表されるような遺伝子多型が存在します。私たちは、アジア人に多いEGFR遺伝子変異陽性の肺腺がんへのなりやすさに、HLA-DPB1遺伝子型などの個人差が関係することを突き止めています。このような遺伝子の情報を用いることで、肺がん高危険度群を把握し、予防・早期発見することが可能になると考えます。また、全国の施設のご協力のもと、大規模な生殖細胞系列変異の解析を行っています。

図3

がん研究センター中央・東病院、社会と健康研究センター、がん情報センター等のスタッフと協力し、肺がん、婦人科がんなどを対象に研究を進めています。

臨床の先生方へ

ゲノム解析・がん診療シーズの同定に興味のある先生方、独特・稀ながん発症例(若年発症がん、前がん病変多発例等)・治療著効例・重篤な副作用例を受けもたれた先生方、共同研究、ポスドク・外来研究員等、歓迎いたします。当研究室では、大学の呼吸器、婦人科、臨床検査科など様々な専門の若いドクターが一緒に研究しています。ゲノム解析や細胞・たんぱく質実験だけでなく、ゲノム情報解析やスーパーコンピュータを用いたin silico シミュレーションなど、多彩な研究参画が可能です。国立がん研究センターが連携する大学院での学位取得もできます。河野(tkkohno●ncc.go.jp(●を@に置き換えてください))までご連絡いただけますと幸いです。

基礎医学研究に興味のある方へ

医療を変えるような研究に挑戦しませんか。ゲノム解析や細胞・たんぱく質実験だけでなく、ゲノム情報解析やスーパーコンピュータを用いたin silico シミュレーションなど、多彩な研究参画が可能です。ポスドク、研修生・外来研究員の応募をご希望の大学生・大学院生・臨床医の方は、河野(tkkohno●ncc.go.jp(●を@に置き換えてください))にお問い合わせください。企業の方、臨床医の方、国立がん研究センターが連携する大学院での学位取得もできます。また、研究補助員として、研究経験のある主婦の方等も歓迎します。