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単一細胞マルチオミクス解析によるがん組織の不均一性の解明

我々は、最新技術である単一細胞マルチオミクス解析を用いて、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)感染を原因とする成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)の多段階発がん分子機構を解明しました。(Koya J, Saito Y et al., Blood Cancer Discov, 2021)。単一細胞マルチオミクス解析は、同一の単一細胞から網羅的遺伝子発現のみならず100を超える細胞表面マーカー、T/B細胞受容体レパトアなどの情報を得られる最新の研究手法です。

この手法を用いて、HTLV-1感染細胞を単一細胞レベルで正確に同定し、HTLV-1感染細胞のクローン拡大およびATLへの進展に伴う分子学的な細胞動態の変化を網羅的に明らかにしました。他にも、ATLクローン進展様式の多様性やHTLV-1感染やATL発症に伴う免疫微小環境動態の変化、腫瘍細胞の体細胞異常による微小環境の変容などの様々な事象が、多くの機能解析実験と組み合わせることで紐解かれました。当研究室は、この単一細胞マルチオミクス解析技術をさらに発展させ、機能解析と融合させることで、がん組織における不均一性と細胞間相互作用の理解を深化させ、新たな治療標的の探索を行います。

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