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日本人のがんゲノム異常の特徴とがん遺伝子パネル検査の有用性の解明
我々は国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター(C-CAT)に登録された約5万例のがん遺伝子パネル検査(CGP)データを解析し、がん種横断的に日本人のドライバー遺伝子異常の全体像とがん遺伝子パネル検査の臨床的有用性を明らかにしました(Horie S, Saito Y, Cancer Discov, 2024, Saito Y, Nat Med, 2025)。米国癌学会シーケンスプロジェクト(GENIE)のCGP検査データと比較し、様々な種類のがんにおいてTP53遺伝子変異の頻度が高いなどの日本人のがんゲノム異常の特徴を明らかにしました。 また、C-CAT、GENIE、米国のがんゲノムアトラス(TCGA)のデータを統合した共存排他解析を行うことで、エピゲノム制御因子変異が共存しやすいことを見出しました。これらの変異の共存は、増殖関連の遺伝子発現変化や細胞増殖への依存関係の変化を介して、がんの生存に有利に働くことを明らかにしました(Horie S, Saito Y, Cancer Discov, 2024)。
プレスリリース:「日本人のがんゲノム異常の全体像を解明 約5万例のがん遺伝子パネル検査データを解析」
さらに、CGP検査の結果に基づいて新規治療を行った症例の割合など、がん遺伝子パネル検査の臨床的有用性を明らかにしました。具体的には、CGP検査において、治療エビデンスレベルA・Bの遺伝子異常を検出された症例は、その後の生命予後が良好であり、CGP検査に基づくエビデンスレベルによって生命予後を層別化可能であることが分かりました。
また、CGP検査において臨床的に治療介入可能な遺伝子異常(アクショナブル遺伝子異常)は72.7%の症例に認められましたが、この遺伝子異常に基づいて新規治療を実際に受けた症例は8.0%にとどまることを見出しました。さらに、日本でCGP検査を受けた症例の治療効果や予後を評価することで、どのような症例に対して遺伝子異常に基づく治療が有効であった/有効でなかったか、その特徴を見出しました(Saito Y, Nat Med, 2025)。
プレスリリース:がん遺伝子パネル検査の実臨床における有用性を解明 ―標的治療の実態と効果、患者さんの予後改善が明らかに―

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