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生体内CRISPRスクリーニングを用いたB細胞リンパ腫発症機構の解明

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、非ホジキンリンパ腫の30%程度を占める最も高頻度なリンパ腫の一種です。近年のDLBCLを対象とした網羅的遺伝子解析研究の結果、多くの遺伝子異常が報告されていますが、これらのうちどの遺伝子が実際に生体内で腫瘍化に関与しているかは、いまだ大部分が明らかになっていませんでした。

我々は、DLBCLにおいて高頻度に異常が認められる86遺伝子を対象に、独自のsgRNAライブラリを作成しました。このライブラリをCRISPR/Cas9システムと組み合わせ、マウス同系移植モデルに導入することで、生体内での腫瘍誘導に成功しました。これにより、腫瘍発生に関与する遺伝子を網羅的に評価可能なin vivoスクリーニング系を確立しました。

B細胞リンパ腫を発症した個体を対象に、sgRNA配列の解析および全エクソン解析を行った結果、Kmt2d異常を有する腫瘍においてTrp53異常が二次的に獲得され、これら2遺伝子の異常が高頻度に共存していることを見出しました。実際に、DLBCL患者由来の大規模データにおいてもKMT2DおよびTP53の異常が最も高頻度に併存し、かつ予後不良と有意に関連していることが確認されました。

さらに、Kmt2dTrp53の両遺伝子に異常を有するB細胞リンパ腫の腫瘍検体では、Yap1の発現上昇が認められることを見出しました。また、ヒトDLBCL細胞株およびマウス移植モデルを用いた検証により、Yap1を標的とした治療介入が有効であることを示し、DLBCLにおける新たな治療標的としての可能性を示しました。

生体内CRISPRスクリーニングの全体図

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