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国立がん研究センター研究者3名が「Highly Cited Researchers 2020」に選出されました

2020年12月25日
in English

クラリベイト・アナリティクス(Clarivate Analytics)より、世界最高峰の研究者を選出した「高被引用論文著者 (Highly Cited Researchers 2020)」が発表され、当センターより研究所がんゲノミクス研究分野長の柴田龍弘、研究所腫瘍免疫研究分野長/先端医療開発センター免疫トランスレーショナルリサーチ分野長の西川博嘉、研究所ゲノム解析基盤開発分野長の白石友一の3名が選出されました。柴田龍弘分野長は2019年にも同カテゴリーで受賞しており、2年連続の受賞となります。

「Highly Cited Researchers(高被引用論文著者)とは、クラリベイト・アナリティクスが、10年以上にわたり絶え間なく高い評価を得ている影響力のある研究者を引用分析により特定しているもので、特定出版年・特定分野における世界の全論文のうち引用された回数が上位1%に入る論文著者であり、後続の研究に大きな影響を与えている科学者や社会科学者が選出されます。「Highly Cited Researchers 2020」では世界から6,167名の科学者が選出されています。

参考:科学・社会科学分野における世界最高峰の研究者を選出した高被引用論文著者リスト2020年版発表 - クラリベイト (clarivate.jp)(外部サイトにリンクします)

柴田 龍弘

柴田先生

柴田 龍弘(しばた たつひろ)
受賞カテゴリー:Cross-Field
所属:研究所がんゲノミクス研究分野長

柴田分野長は、腫瘍病理学の知識を基盤として、肝臓がん・胆道がんなどアジアにおいて重要な難治固形がんや肉腫に代表される希少がんについて、シークエンス技術を駆使した大規模なゲノム解読を行い、発がんと環境因子との相互作用の理解や新たな異常分子経路の同定による新規治療法・分子診断の開発において多くの特筆すべき成果を挙げている。また国際がんゲノムコンソーシアム (International Cancer Genome Consortium; ICGC)において、日本グループの研究代表者として肝がん・胆道がん・胃がんゲノム解析プロジェクトを主導してきた。現在は後継プロジェクトであるICGC-ARGO並びにWHO IARC(世界保健機関 国際がん研究機関)・英国サンガー研究所との共同研究による変異シグネチャー解析国際プロジェクト (Grand Challenge; Mutographs)に参加するなど複数の国際共同研究に参加・貢献し、がんゲノム領域において国際的にも我が国を代表する研究者である。

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西川 博嘉

西川先生


西川 博嘉(にしかわ ひろよし)

受賞カテゴリー:Immunology
所属:研究所腫瘍免疫研究分野長/先端医療開発センター免疫トランスレーショナルリサーチ分野長

西川分野長は、CD4+制御性T細胞をはじめとした免疫抑制ネットワークが抗腫瘍免疫応答を抑制する機構の解明に取り組むとともに、それを克服する治療法の開発を進めてきました。特に抗腫瘍免疫応答に重要なエフェクターT細胞が制御性T細胞による免疫抑制により免疫寛容に陥る機構が抗原の性質の違い(自己vs 非自己)により異なることを明らかにしました。これらの知見は、がん免疫のみならず、自己免疫、アレルギー、感染症、移植などの様々な免疫応答の理解にも極めて重要と考えられます。さらに近年は、がん細胞のゲノム異常が免疫応答に影響を与え、腫瘍微小環境に免疫抑制ネットワークを構築するという発がん過程の全く新しい概念を提唱し、免疫ゲノムプレシジョン医療の実現に取り組んでいます。

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白石 友一


白石先生

白石 友一(しらいし ゆういち)
受賞カテゴリー:Cross-Field
所属:研究所ゲノム解析基盤開発分野長

白石分野長は、強い数理的素養、情報学分野の幅広い知識を持ち合わせており、がんゲノムシークエンスデータの情報解析プラットフォーム・統計的機械学習手法、また大規模がんゲノムデータを効率的に解析する解析基盤開発を通じて、日本のがんゲノム解析研究に大きな貢献を果たしてきた。また、統計科学のバックグラウンドを生かし、経験ベイズ法に基づく変異検出法、トッピクモデルに基づく変異シグナチャーの抽出法、ネットワークモデリングに基づくスプライシング変異の網羅的探索手法など、統計理論の深い理解に基づいたがんゲノム解析手法を数多く開発してきた。さらに、自らが開発したスプライシング変異の探索法を用いて、国際がんゲノムコンソーシアムにおいて、deep intronにおけるスプライシング変異とAlu配列の関係性を解明するなど、国際共同研究を進めた実績も十分である。近年はクラウド計算環境を用いたゲノム解析基盤構築など、最先端の技術を絶え間なく取り入れ続け、当該分野に継続的な貢献を続けている。

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