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「がん情報をもっと身近に~図書館と医療が繋がるとき!」

日時:2014年12月7日(日曜日)13時から15時
場所:堺市立健康福祉プラザ 3階 大研修室

2014年12月7日、堺市立健康福祉プラザ障害者週間フェスティバルと国立がん研究センターの連携企画として、まちライブラリープラザ「ひといき」のオープン、相談コーナーの設置、講演会が行われました。

 

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まず午前10時からは、堺市内のがん診療連携拠点病院である大阪労災病院、市立堺病院のがん専門相談員が出張して相談に応じる「がんに関する相談」コーナーが設けられ、手話通訳者もいつでも同行できる体制で、合計11枠を準備して来場者からのご相談をお受けしました。今後も継続的な出張相談を予定しています。

同じく午前10時には、まちライブラリープラザ「ひといき」のオープンセレモニーが行われました。緑のスカーフを目印にした、ボランティアさんが、来場者に抹茶をふるまったり、「ひといき」の利用登録や利用方法の説明にあたったりしました。

今後は、原則、水曜日・金曜日・土曜日の10時から15時にご利用いただけます。
詳しくは利用案内(PDF:1,071KB)をご覧ください。

また、同日午後1時から3時まで、堺市健康福祉プラザ3階大研修室において、「がん情報をもっと身近に~図書館と医療が繋がるとき!」を開催しました。会場では閉会まで手話通訳および要約筆記による情報保障も準備され、大研修室が満席となる66人が参加しました。

 

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まず、堺市健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センター 原田敦史点字図書館長からの、障害のある方たちをサポートする点字図書館の立場からも、医療や健康に関わる情報提供、情報保障の必要性を強く感じているというあいさつで始まりました。

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慶應義塾大学文学部教授 田村俊作さんが「図書館・医療・福祉の連携でできること」と題して基調講演を行いました。図書館学を専門とされる田村さんは、誰でも気軽に利用できる図書館は、面白い本を読むことができる場所であるだけでなく、私たちが生きていく上で必要な知識や知恵を教えてくれ本の「ちから」を生かして、人々がより良い暮らしを送れるようさまざまな工夫や取り組みがされるようになってきている、と講演を始められました。また、私たちが生きていく上で大きな課題の1つが健康や病気であり、図書館でも本やパンフレットで役立つ知識や情報を提供しているが、本に書かれていることを超えて病気に立ち向かうときには、図書館だけでなく医療や福祉の専門家の助けが必要となるため、誰でも気軽に利用できる図書館が窓口となって、病院や市役所の担当部署と連携を深めて「つなぐ図書館」の役割をもつことが重要だと述べられました。

「つなぐ図書館」としての好事例として、滋賀県東近江市能登川図書館の健康医療情報コーナー「バオバブ」、岐阜県多治見市の県立多治見病院患者図書室「ぬくた~らいぶらり」と多治見市図書館の闘病記文庫の連携、そしてがん診療連携拠点病院、県の行政、公立図書館との連携を紹介した長崎県の取り組みのビデオが紹介されました。

 

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基調講演に続き午後2時から、シンポジウム「図書館・医療・福祉の連携を目指して」が始まりました。最初に八巻知香子室長(国立がん研究センターがん対策情報センター)から、本事業では医療・福祉・図書館の各専門機関をつなぐことで、日常生活の中でがんや健康、生や死といったテーマを身近に得られる環境づくりに取り組もうとしていること、連携しながら情報を発信することで、いざ困ったときには具体的に相談に乗り、支援できる相談窓口につなぐ役割を果たしていきたいとの説明がありました。

続いて、堺市内のがん診療連携拠点病院である2つの病院からがんの相談窓口や患者さんを支える活動について紹介していただきました。大阪労災病院ソーシャルワーカーの石井世津子さんからは、「メディカルサポートセンター」の中にがんの相談窓口があり、誰でも利用できること、がん患者さんが集う場も設けられていることが紹介されました。市立堺病院認定看護師の柳川富久美さんからは、手話と字幕の入ったDVDにまとめられた病院の活動紹介があり、入り口すぐのところに設けられているがんの相談窓口や、窓口に手話通訳者も常駐していることなどが紹介されました。
講演風景講演風景講演風景

また、堺市の健康医療推進課の稲葉和紀さんからは、堺市内の8カ所の保健センターで妊婦や乳児から高齢者まで幅広く健康に関わるサービスを提供していること、相談窓口もあることが紹介されました。堺市立西図書館司書の浦部文子さんからは、市立西図書館に「健康情報コーナー」が設けられていること、自分が探している資料が見つからないときには司書に相談することができることなどが紹介されました。
浦部文子さん稲葉和紀さん

障害者福祉機関である堺市立健康福祉プラザの高橋三智世さんからは、視覚・聴覚障害者センターとして提供している点字や音声の資料の紹介とともに、この日オープンしたまちライブラリープラザ「ひといき」の紹介がありました。
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若尾文彦センター長

最後に、国立がん研究センターがん対策情報センター 若尾文彦センター長から、堺市で始めた病院、図書館、保健センター、福祉機関が十分に連携したこの取り組みは他に例がないものであり、ぜひ、それぞれの窓口を利用してほしいこと、そして堺市でうまくいけば、全国にもこの取り組みを広めていきたいと考えているとのあいさつで終了しました。

プログラム

がん情報をもっと身近に~図書館と医療が繋がるとき!(PDF:79KB)

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