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研究プロジェクト
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がんサバイバーシップ アンメット・ケア・ニーズの把握と研究推進
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高齢がん患者の意思決定支援
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高齢がん患者の在宅療養の実態把握、フォローアップ体制の構築
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思春期・若年成人(AYA)世代がん患者支援研究
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がん遺伝子パネル検査を受ける患者の苦痛緩和支援
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がん患者の自殺対策
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意思決定支援研究
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がんサバイバーを対象として「前向き研究」
がんサバイバーシップ アンメット・ケア・ニーズの把握と研究推進
がんサバイバーシップケアの確立に向けて、日本がんサバイバーシップ研究グループ(Survivorship care and Quality of life Research Association: SaQRA) を組織し、患者・市民とともに研究開発の支援に取り組んでいます。SaQRAの目的は、全国のサバイバーシップケアニーズに基づき開発マップを作成し、日本の風土・制度に適した支援プログラムを開発すること、および科学的根拠に基づく治療・ケアを普及・実装することです。サバイバーシップ研究部ではSaQRAの事務局を担いながら、自ら研究開発にも取り組んでいます。
日本がんサバイバーシップ研究グループ(SaQRA) (外部サイトにリンクします)
高齢がん患者の意思決定支援
本研究では、GAをモバイル端末上で実施し、結果に基づく推奨マネジメントを自動生成します。さらに患者さんが加齢に伴って抱える懸念事項を反映した質問集(QPL)を用いて、診察時のコミュニケーションを支援します。これにより、診察時に高齢者特有の課題が話し合われやすくなり、医師による積極的な対応につながるかどうかを検証します。
本研究を通じて、日常診療で見過ごされがちな身体的・精神的・社会的問題を明らかにし、多職種によるサポートを推進することで、抗がん治療の副作用の減少、治療継続割合の上昇、生活の質(QOL)や身体機能の維持・改善、さらには生存期間の延長につながることを目指しています。
高齢がん患者の在宅療養の実態把握、フォローアップ体制の構築
本研究では、医療・介護に関するビッグデータの解析や、高齢がん患者さんの在宅療養・フォローアップに関わる医療・介護従事者へのインタビューやアンケート調査、高齢がん患者さんへのインタビュー調査を通じて、高齢がん患者さんの在宅療養環境の実態と課題を明らかにします。がん診療拠点病院と地域のかかりつけ・訪問診療医療機関、居宅介護支援事業所との連携を強化し、切れ目のないフォローアップ体制の構築に資する知見を得ることを目指しています。
本研究により、患者さんが希望する場所で適切な治療やケアを受けることができる基盤づくりが進み、将来的には高齢がん患者さんの生活の質(QOL)向上や、地域のける持続可能な医療・介護体制の確立に資することが期待されます。

思春期・若年成人(AYA)世代がん患者支援研究
がんの発症はこれまでの生活を根底から一変させることから患者が深刻な孤独を感じる契機となります。思春期・若年成人(adolescent and young adult:以下AYA、15-39歳)世代でのがん罹患は、その希少性から患者が全国に点在し孤立している可能性があります。孤独はさまざまな健康障害のリスクファクターであることが知られていますが、個別性が高く社会ネットワークが複雑なAYA世代がん患者の社会的孤立・孤独の実態は世界的に把握されていません。本研究では、AYA世代がん患者の社会的孤立・孤独の予防を目指して、現実社会(フィジカル空間)と仮想空間(サイバー空間)を融合したサポートを開発します。具体的には、研究1:AYA世代がん患者、家族、医療者の心理社会的・医学的面接および質問紙調査により多様な質の社会的孤立・孤独メカニズムを解明した上で、研究2:社会的孤立・孤独の多軸評価指標を開発し経時的にモニタリングします。研究3:フィジカル空間とサイバー空間を融合させた支援介入、スマホアプリによるどこにいても受けられる支援システムを開発します。
がん遺伝子パネル検査を受ける患者の苦痛緩和支援
2019年5月から、日本でも次世代シークエンサーを用いた、がん遺伝子パネル検査が保険で受けられるようになりました。この検査は、標準的な治療がなくなった固形がんの患者さんが対象となります。
一方で、この検査が患者さんやご家族にどのような心理的影響を与えるのか、日本ではまだ十分に明らかになっていません。海外の研究では、一部で心理的苦痛が高まるケースが報告されていますが、がん遺伝子パネル検査そのものを対象とした研究はほとんどありません。
そこで本研究では、がん遺伝子パネル検査を受ける患者さんを対象に、検査およびその結果が心理的苦痛に与える影響とその関連要因を明らかにします。その知見を基に、検査時や結果説明時に適切なサポートを提供できるよう、心理的苦痛を和らげるための支援プログラムの開発を進めています。
この取り組みにより、患者さんが安心して検査を受けられる体制を整備し、今後のがんゲノム医療における新たな支援の指針につなげることを目指しています。
がん患者の自殺対策

意思決定支援研究
がん患者の最終段階を支える意思決定モバイル介入:無作為化比較試験(登録終了の研究 | 日本がん支持療法研究グループ J-SUPPORT - Japan Supportive, Palliative and Psychosocial Oncology Group)
患者さんは診察の場で医師と話し合うことに難しさを感じています。患者さんが大切にしていることや、望む治療や過ごし方を、患者さんご自身で考えたり、家族や医療者など信頼する人たちと一緒に早い時期から継続して話し合うことで、もしもの時に意向に沿った医療を受けられる可能性が高くなると言われています。
本研究では、患者さんが医師に聞きたい質問や大切にしたいこと、ならびにもしもの時の治療や過ごし方の目標を事前に整理し、医師との話し合いを始める支援を行うため、アプリケーション(アプリ)を作りました。このアプリは、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末を使って、時間や場所を問わず利用することができるものです。
本研究の目的は、このアプリを用いて患者さんと医師との話し合いを促すことで、もしもの時の治療や過ごし方を含む診察時のコミュニケーションが改善するかを検証することです。本研究により早い時期からの話し合いが促進されることが示されれば、患者さんの意向に沿った医療の提供や、患者さんが望む過ごし方につながる可能性があります。

がんサバイバーを対象とした「前向き研究」
高齢期や病と向き合う時期には、不安や身体的な制約を抱えながらも「前向き」に生きる姿勢が重要になります。しかし、どのような要素が「前向きさ」を支え、心身の健康や生活に影響しているのかは十分に明らかにされていません。本研究では、高齢者と緩和ケア患者を対象に、心理尺度やインタビュー、身体情報の計測を通じて「前向き」の特徴を多面的に評価します。そして、老いや死に直面する時期における前向きの構成要素とその関連を明確化し、心身の健康や生活の質の向上に資する新たな支援のあり方を提示することを目指します。
