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研究プロジェクト

  1. 患者・市民参画による優先課題を踏まえたがんサバイバーシップの開発研究基盤整備

  2. がん医療における自殺実態に基づく包括的予防対策の実装に向けた研究

  3. 包括的がんゲノムプロファイリング検査を受ける患者の苦痛緩和支援プログラム開発に向けた観察研究:フォローアップ研究

  4. AYA世代がん患者の孤立・孤独を先制的に一次予防するフィジカル空間とサイバー空間を融合させたネットワーク介入の開発

  5. 逆境の中でも前向きに生きられる社会の実現 「老いと死における前向き」

  6. がんサバイバーの倦怠感の類型評価法確立とICT個別最適化介入プログラム開発

  7. がん医療における質問促進リスト全国実装戦略の奏功機序

  8. わが国独自の文化的・社会的背景を反映した高齢がんサバイバーシップケアプランの開発

  9. がんサバイバーの復職を支援する職場の人のつながり:ネットワーク理論による分析

  10. がんサバイバーの世代差に基づく社会活動と孤独感:予測モデルの開発


患者・市民参画による優先課題を踏まえたがんサバイバーシップの開発研究基盤整備

がんサバイバーシップケアの確立に向けて、日本がんサバイバーシップ研究グループ(Survivorship care and Quality of life Research Association: SaQRA) を組織し、患者・市民とともに研究開発の支援に取り組んでいます。SaQRAの目的は、全国のサバイバーシップケアニーズに基づき開発マップを作成し、日本の風土・制度に適した支援プログラムを開発すること、および科学的根拠に基づく治療・ケアを普及・実装することです。サバイバーシップ研究部ではSaQRAの事務局を担いながら、自ら研究開発にも取り組んでいます。

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日本がんサバイバーシップ研究グループ(SaQRA) (外部サイトにリンクします)

がん医療における自殺実態に基づく包括的予防対策の実装に向けた研究

がん患者は高い自殺の危険性を有していることが国内外の研究により報告されていることから、「第3期がん対策推進基本計画」および「自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~」において、がん患者の自殺対策の必要性が明示されています。
2016年に全国がん登録制度が開始され、わが国全体のがん患者の自殺の実態を初めて明らかにすることが可能となりました。そこで、2016年1月1日~12月31日にがんと診断された患者における自殺で死亡するリスクを検討した結果、一般人口と比較して1.84倍高いことが示され、がん診断から1ヶ月以内の自殺リスクが4.40倍と最も高いことが示されました。われわれは、自殺死亡数の減少を目標に、全国がん登録データでの自殺死亡数をモニタリングし、がん患者の自殺に関する実態調査および自殺対策研究を行っています。

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がん医療における自殺対策プロジェクト(外部サイトにリンクします)

包括的がんゲノムプロファイリング検査を受ける患者の苦痛緩和支援プログラム開発に向けた観察研究:フォローアップ研究

2019年5月から、日本でも次世代シークエンサーを用いた、がん遺伝子パネル検査が保険で受けられるようになりました。この検査は、標準的な治療がなくなった固形がんの患者さんが対象となります。
一方で、この検査が患者さんやご家族にどのような心理的影響を与えるのか、日本ではまだ十分に明らかになっていません。海外の研究では、一部で心理的苦痛が高まるケースが報告されていますが、がん遺伝子パネル検査そのものを対象とした研究はほとんどありません。
そこで本研究では、がん遺伝子パネル検査を受ける患者さんを対象に、検査およびその結果が心理的苦痛に与える影響とその関連要因を明らかにします。その知見を基に、検査時や結果説明時に適切なサポートを提供できるよう、心理的苦痛を和らげるための支援プログラムの開発を進めています。
この取り組みにより、患者さんが安心して検査を受けられる体制を整備し、今後のがんゲノム医療における新たな支援の指針につなげることを目指しています。

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AYA世代がん患者の孤立・孤独を先制的に一次予防するフィジカル空間とサイバー空間を融合させたネットワーク介入の開発

がんの発症はこれまでの生活を根底から一変させることから患者が深刻な孤独を感じる契機となります。思春期・若年成人(adolescent and young adult:以下AYA、15-39歳)世代でのがん罹患は、その希少性から患者が全国に点在し孤立している可能性があります。孤独はさまざまな健康障害のリスクファクターであることが知られていますが、個別性が高く社会ネットワークが複雑なAYA世代がん患者の社会的孤立・孤独の実態は世界的に把握されていません。
本研究では、AYA世代がん患者の社会的孤立・孤独の予防を目指して、現実社会(フィジカル空間)と仮想空間(サイバー空間)を融合したサポートを開発します。具体的には、研究1:AYA世代がん患者、家族、医療者の心理社会的・医学的面接および質問紙調査により多様な質の社会的孤立・孤独メカニズムを解明した上で、研究2:社会的孤立・孤独の多軸評価指標を開発し経時的にモニタリングします。研究3:フィジカル空間とサイバー空間を融合させた支援介入、スマホアプリによるどこにいても受けられる支援システムを開発します。

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AYA世代がん患者の孤立・孤独を先制的に一次予防するフィジカル空間とサイバー空間を融合させたネットワーク介入の開発(外部サイトにリンクします)

逆境の中でも前向きに生きられる社会の実現 「老いと死における前向き」

高齢期やがんと向き合う時期には、身体的な制約や将来への不安を抱えながら、病気と共存し、自分らしく生きるための「前向き」が重要になります。しかし、「前向き」がどのような要素から成り、心身の健康や生活の質にどのような影響を及ぼすのかは、十分に明らかにされていません。本研究では、「前向き」の構成要素と心身への影響を多面的に明らかにします。さらに、「前向き」を簡便に測定する方法を確立し、その人らしい前向きを支えるプログラムの開発・実証を通じて、健康寿命と生活の質の向上に資する新たな支援の実現を目指します。

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逆境の中でも前向きに生きられる社会の実現(外部サイトにリンクします)

がんサバイバーの倦怠感の類型評価法確立とICT個別最適化介入プログラム開発

がんサバイバーの倦怠感には、身体的・精神的・認知的な側面が複雑に関係しており、治療の中断や復職・就労の困難、不安・抑うつ、生活の質の低下につながることが知られています。
本研究では、がんサバイバーの倦怠感の実態や関連要因を明らかにします。さらに、自動生成音楽、漸進的筋弛緩法、座位での運動という3つの非薬物的介入について、対照群を含む4群の無作為化比較試験を行い、倦怠感の軽減効果と安全性を検証します。最終的には、入院中および外来通院中のがんサバイバーが無理なく取り組める非薬物的支援プログラムを開発し、生活の質の向上を目指します。

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がん医療における質問促進リスト全国実装戦略の奏功機序

医療において患者-医療者間の共同意思決定(Shared Decision Making)は患者のQOLに好影響を及ぼします。共同意思決定を促進する方法として質問リスト(Question Prompt List; QPL)の有効性が欧米を中心に示されています。アジア圏においても日本と台湾などで検討されています。日本の報告では、国立がん研究センター中央病院、東病院を中心として外来通院患者を対象とした複数の無作為化比較試験にて有効性が示されています。このような科学的根拠に基づき、2022年に出版された「がん医療におけるコミュニケーションガイドライン」(日本サイコオンコロジー学会/日本がんサポーティブケア学会編)では、QPLの使用を強く推奨しています。そのため、QPLをアジア圏を含め広く普及し、臨床実装することは患者に対して大きな益をもたらすと考えられます。しかし、薬物療法とは異なり、保険適用、販売や販売促進がない介入を普及するためには、戦略が必要です。
そこで本研究では、実装科学の枠組み用い、1.医師・相談支援部門への調査によりQPL実装の阻害・促進要因を明らかにし、2.専門家と患者代表による検討から阻害・促進要因を踏まえ奏功機序に基づく実装戦略を策定し、3.戦略を組み込んだ包括的実装プログラムによるQPLの実装可能性を検討します。これらを通じて、QPLの臨床実装を妨げる要因を克服し、奏功機序に基づく実装戦略を策定することで、がん患者の意思決定支援を効果的に推進することを目指します。

がん医療の現場の臨床疑問「どう話し合えばいいの?」に応えるコミュニケーション研究(外部サイトにリンクします)

わが国独自の文化的・社会的背景を反映した高齢がんサバイバーシップケアプランの開発

がん治療の進歩や人口の高齢化により、治療後も長期に生活する高齢のがんサバイバーが増えています。高齢のがんサバイバーでは、がんや治療による長期的な影響に加えて、身体機能や認知機能の低下、複数の病気、こころや社会生活の問題など、加齢に伴うさまざまな課題に対応する必要があります。
欧米では、これまでに受けた治療内容や今後必要となる検査・ケアなどをまとめ、患者さんと医療者で共有する「サバイバーシップケアプラン(Survivorship Care Plan:SCP)」が推奨されています。一方、高齢者では健康状態や生活状況の個人差が大きく、さらに、価値観や希望の伝え方、家族や医療者との関係、医療・介護の仕組みなどは文化や社会によって異なります。そのため、日本の高齢がんサバイバーの特徴やニーズを踏まえたケアプランが必要です。
本研究では、文献レビュー、高齢がんサバイバーとその家族、医療従事者などへのインタビュー調査、高齢がんサバイバーとその家族を対象としたアンケート調査を通じて、価値観や好み、必要とするサポートや情報、高齢者機能評価(Geriatric Assessment:GA)の活用について明らかにします。さらに、医療者・研究者、高齢がんサバイバー・家族、市民代表などによる合意形成を行い、日本の文化的・社会的背景を反映した「高齢がんサバイバーシップケアプラン」を開発します。
高齢者機能評価(GA)によって把握される身体・心理・社会的な状態に加えて、一人ひとりの生活状況、価値観や希望、必要なサポートや情報をケアプランに反映することで、それぞれの高齢がんサバイバーに応じたケアにつなげ、よりよい療養生活と健康の維持を支えることを目指しています。

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がんサバイバーの復職を支援する職場の人のつながり:ネットワーク理論による分析

2026年4月施行の改正労働施策総合推進法により、病気を抱える従業員の治療と仕事の両立支援が事業主の努力義務となり、がんサバイバーが安心して働き続けられる職場環境の整備が一層求められています。本研究は、がんサバイバーの復職後における職場内の人とのつながりに着目し、治療と仕事の両立における心理的適応との関連、およびその関連における職場包摂性の役割を明らかにすることを目的としています。仕事と治療の両立を経験したがんサバイバー200名を対象にアンケート調査を行い、上司、同僚、人事担当者、産業保健職等との支援ネットワークの規模・密度・多様性、職場包摂性、心理的適応を把握します。これらの関連を分析し、職場包摂性や心理的適応と関連する職場内支援ネットワークの特徴を明らかにすることを目指します。

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がんサバイバーの世代差に基づく社会活動と孤独感:予測モデルの開発

がんサバイバーの社会的孤立や孤独感は、心身の健康や生活の質を損なう重要な課題となっています。しかし、人との交流方法や社会活動への参加状況は世代によって異なるため、孤独感を和らげる交流や活動のあり方も、若年・中年・高齢の各世代で異なる可能性があります。
本研究では、交流手段や頻度、社会活動への参加状況が孤独感にどのように関係するのかを、世代ごとに明らかにします。さらに、世代や個人の特性を踏まえて孤独感を予測するモデルを開発し、孤独のリスクを早期に捉え、その人に適した支援につなげる仕組みを構築します。

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