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キーワード:Reprimoタンパク質 p53遺伝子Reprimoタンパク質が細胞外から細胞死を導く新規経路発見

更新日 : 2026年1月13日

Reprimo タンパク質が細胞外から細胞死を導く新規経路発見バナー

がん抑制遺伝子p53は、細胞のがん化を防ぐ中心的な役割を担い、多くの遺伝子の発現制御を通じてその機能を発揮しますが、p53機能の全貌はいまだに解明されていません。
基礎腫瘍学ユニットの大木独立ユニット長らは、2000年にp53の制御を受けてがん抑制に関わる、ラテン語で「抑制」の意味のReprimo遺伝子(遺伝子シンボル:RPRM)を発見しましたが、Reprimoの分子機能は長らく不明でした。

今回、大木ユニット長らは、Reprimoタンパク質が細胞外へと分泌され、Reprimoタンパク質を受け取ったがん細胞がアポトーシスと呼ばれる細胞死を起こすことを世界で初めて明らかにしました。

正常な細胞ではがん抑制遺伝子p53とReprimoが適切に働くことで細胞のがん化を抑制しますが、これらの機能が失われることでがん化が進行すると考えられます。
さらに、Reprimoによる細胞死には、カドヘリン様タンパク質、Hippo経路、転写因子p73の関与が必要であることも突き止めました。
細胞の核内でp53によって転写誘導されたReprimo遺伝子からReprimoタンパク質が作られると、Reprimoタンパク質は細胞外へ分泌されます。
分泌されたReprimoタンパク質はがん細胞膜上のカドヘリン様タンパク質に結合します。これによりHippo経路が作動し、転写共役因子YAPが核内に蓄積、p73を活性化することでアポトーシスが誘導されます。

研究チームは、Reprimoタンパク質がこれまでに検証したすべてのがん細胞に対して細胞死を誘導する一方、実験範囲内では正常細胞には影響を与えないことを確認しました。
さらに、ヌードマウスを用いた実験により、正常細胞から分泌されたReprimoが生体内においても細胞外からがん細胞に働きかけ、がん細胞の増殖を抑制することを示しました。
本成果は、Reprimoタンパク質そのもの、あるいはその作用機構を応用した新たな抗がん治療薬の開発につながる可能性を示しています。

Reprimoや関連経路を標的とすることで、副作用の少ないがん治療法の確立が期待されます。


図1

プレスリリース・NEWS

Reprimoタンパク質が細胞外から細胞死を誘導する新規経路を発見(2025年2月27日)

研究者について

基礎腫瘍学ユニット 独立ユニット長 大木 理恵子

キーワード

Reprimoタンパク質、p53遺伝子、Hippo経路