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CAR-T細胞療法 ~キメラ抗原受容体T細胞療法~

  1. CAR-T細胞って何?
  2. メリット・デメリット

1. CAR-T細胞って何?

「免疫細胞」にはたくさんの種類があります。その中でも「がんを攻撃する」細胞として、これまでたくさん研究されてきたのがキラーT細胞(細胞傷害性T細胞:CTL)です。また、同じように多く研究されてきたのが、B細胞が作り出す「抗体」です。

CAR-T細胞はその名前の通り、治療用に開発されたT細胞です。そして、“CAR”というのが、この細胞の特徴でもある“Chimeric Antigen Receptor:キメラ抗原受容体”の略称になります。「キメラ」は古代ギリシャ神話に登場する複数の動物(前方がライオン、胴体がヤギ、尾がヘビ)が合体した怪物が語源ですが、ここでは「がん抗原と結合して、攻撃するかしないかを決定する『腕(レセプター:受容体)』が、複数の重要なタンパク質のパーツを組み合わせて作られたT細胞」のことです。つまり、がんを攻撃するのに特化した“人工的な腕”を持つT細胞です。

がん抗原に結合する抗体

2. メリット・デメリット

CAR-T細胞療法の一番のメリットは、まさに「がん細胞を殺すために生み出された細胞である」という点です。特に、1. で紹介した“人工的な腕”の重要な部分である抗原をつかむパーツ(手に相当)は免疫学の枠を超えて研究開発が進められている「抗体(の抗原認識部位)」が使用されています。この抗体は抗原との特異性がとても高いため、がん抗原と強く結合し、がん細胞のみを殺します。

ただし、この“人工的な腕”はがん抗原であるタンパク質ががん細胞の表面にないとつかむことが出来ません。この、「がん細胞の表面にある」共通がん抗原は私たちが発見した10種の共通がん抗原の半分の5種(膜発現型)です。また、がん細胞は免疫細胞の攻撃から様々な方法で逃げますが、その一つの手段が細胞の表面からタンパク質を引っ込めることです。この結果、目印を失ったCAR-T細胞はがん細胞を攻撃することができなくなってしまいます。

このように、優れた攻撃力を持つ一方、制約もあるのがCAR-T細胞の特徴です。

CAR-T細胞