トップページ > 各部紹介 > 行動科学研究部 > 研究プロジェクト > 健康情報についての全国調査(INFORM Study) > ヘルスリテラシーと主観的健康観の関連に対する地理的地域による効果修飾:日本における全国横断研究

ヘルスリテラシーと主観的健康観の関連に対する地理的地域による効果修飾:日本における全国横断研究

更新日 : 2023年11月6日

背景

ヘルスリテラシー(HL)は健康医療情報を収集、理解、評価、活用する能力であり、健康行動やアウトカムに関連する因子として注目されています。本研究の目的は、日本国内で地域によってHLに違いがあるか、HLと主観的健康観との関係が異なるかについて、全国を代表するサンプルを用いて確かめることです。

 

方法

本研究のデータは、全国を代表するように抽出された対象者に自記式質問紙を郵送して実施した横断調査(INFORM Study 2020)によるものです。有効回答者3,605人のうち、3,511人を分析対象者としました。HLは伝達的・批判的ヘルスリテラシー尺度(Communicative and Critical Health Literacy Scale:CCHL)を用いて測定しました。重回帰分析とロジスティック回帰分析を行い、地理的特性とHLとの関連、および地域によるHLと主観的健康観との関連に対する効果修飾を検討しました。

 

結果

HLスコアの平均値は3.45(SD=0.78)であり、日本の一般人口を対象とした先行研究と比較してやや低くなりました。HLは、社会人口統計学的因子および都市規模の影響を調整した結果、中部地方よりも関東地方で高くなりました。また、社会人口統計学的因子および地理的因子を調整しても、HLが高いほど主観的健康観が高いという相関が示されましたが、この相関は西日本よりも東日本でより顕著でした。

 

結論

本研究の結果から、日本国内においてHLには地域差があること、地域によってHLと主観的健康観の関係の強さが異なることが示されました。HLは西日本よりも東日本で、より強く主観的健康観と関連していました。HLの向上にむけては、このような地域差をふまえた検討が重要であり、かかりつけ医の分布や社会関係資本(ソーシャルキャピタル)を含む地域的特徴による影響を考慮したさらなる調査が必要です。

 

発表論文

Ishikawa H, Ogawa R, Otsuki A, Saito J, Yaguchi-Saito A, Kuchiba A, Fujimori M, Fukuda Y, Shimazu T, INFORM Study Group. Effect modification by geographic area on the association between health literacy and self-rated health: a nationwide cross-sectional study in Japan. BMC Public Health. 2023 May 25;23(1):952. doi: 10.1186/s12889-023-15897-0.