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国立がん研究センター 中央病院

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診療について

切除術式の大半を占める肺葉切除は、6から7センチメートルの小開胸+胸腔鏡併用下に肋骨・筋肉を切らずに行う胸腔鏡補助下手術(hybrid VATS)と呼ばれる方法で行っています。これは安全性、根治性、低侵襲性を兼ね備えた理想的な肺がん手術方法であると考えています。実際に、術後4日(中央値)という短い術後在院期間と最低レベルの術後合併症率を実現しています。また、2007年から2016年の10年間の術後30日以内死亡は6,125例中12例のみ(0.2%)で、世界的にみてもトップレベルの安全性を保っています。

診療において当科が特に得意とする分野が2つあります。ひとつは、小型肺がんに対する区域切除です。肺がんの標準的な術式は肺葉切除ですが、近年増加している小型肺がんに対しては肺葉切除よりも切除範囲を小さくした区域切除が行われるようになっています。当科は2009年以降、区域切除の有効性を検証する全国規模の臨床試験への参加を通じて、全国最多の区域切除の経験を蓄積しました。区域切除は肺葉切除と比較してより精密な手術手技が要求されますが、現在では肺葉切除よりも短い手術時間で、根治性と肺機能温存を両立した区域切除を行えるようになりました。また、区域切除においては手術中に腫瘍の悪性度や病変の広がり評価するための術中迅速病理診断が重要です(手術前の想定よりも悪性度が高かった場合や、病変が広がっていた場合には、区域切除から肺葉切除に術式を変更する必要があるためです)。当院は高度な知識を持った肺がんの病理診断医が多く揃っていることも特長の一つです。もうひとつの得意分野は、局所進行肺がん(隣の臓器への浸潤や、縦隔リンパ節転移を有する肺がん)に対する集学的治療(手術に化学療法や放射線を組み合わせた治療)です。当院は呼吸器内科、放射線治療科も国内トップレベルの専門医数と診療実績を有しており、手術単独では根治を望めない局所進行肺癌に対しては積極的に化学療法、放射線療法を併用した集学的治療を行い、良好な治療成績を得ています。

当科では、診療の質だけでなく患者さんに対するサービスの質を高めることにも努めています。外来診療においては、4名のスタッフ医師がそれぞれ週2~3日ずつ外来を担当し、患者さんのご都合に診察日が合わせやすいよう工夫しています。また、手術後の患者さんからの問い合わせ電話は、交換台から主治医に直接つなぐようにしており、手術を受けられた患者さんからも「主治医と直接話すことができて安心感がある」と好評を得ています。

呼吸器外科 診療実績(疾患別)

 手術症例数2012年手術症例数2013年手術症例数2014年手術症例数2015年手術症例数2016年
原発性肺がん 486 451 485 492 493
転移性肺腫瘍 89 96 80 82 94
縦隔腫瘍 17 29 18 24 28
その他 95 93 84 66 61
687 669 667 664 676

肺がんに対する手術術式

手術の種類症例数2012年症例数2013年症例数2014年症例数2015年症例数2016年
肺葉切除 332 321 340 331 324
肺全摘 7 14 12 8 5
区域切除 55 55 63 82 105
広範囲楔状切除 86 52 51 51 54
合計 480 442 466 472 488

呼吸器外科 治療成績(病理病期別)

(2000年1月から2004年12月に切除された非小細胞肺がん1,520例)

  • 病理病期IA 5年生存率:93%
  • 病理病期IB 5年生存率:84%
  • 病理病期IIA 5年生存率:68%
  • 病理病期IIB 5年生存率:71%
  • 病理病期IIIA 5年生存率:41%
  • 病理病期IIIB 5年生存率:35%
  • 病理病期IV 5年生存率:23%

手術死亡率(2007年から2016年)

  • 術後30日以内の死亡 0.2%(12/6,125)