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64Cu-PD-29875 のファーストインヒューマン試験において最初の胃がん患者さんにおける投与後解析を実施

Claudin18.2を標的とするがん放射性医薬品候補
64Cu-PD-29875 のファーストインヒューマン試験において最初の胃がん患者さんにおける投与後解析を実施

2026年7月2日
国立研究開発法人国立がん研究センター
ペプチドリーム株式会社
In English

発表のポイント

  • 胃がん患者さんを対象に、64Cu‑PD‑29875 のPETイメージングのファースト・イン・ヒューマン試験 (Phase 0 試験)を実施、最初の患者さんへの投与および投与後解析を実施しました。
  • 最初の患者さんにおける初期解析において、安全性上の大きな懸念は認められず、薬物動態および病変部への集積について、今後の評価に資する所見が得られました。引き続き、特定臨床研究による確認を進めます。
  • 本研究では、Claudin18.2を標的とする64Cu標識放射性医薬品候補品である64Cu-PD-29875の診断薬としての開発可能性に加え、治療用放射性核種を用いた放射性医薬品への展開可能性に関する初期的知見の取得を目指します。
  • 本研究で得られる臨床情報を活用することにより、CLDN18.2を標的とする放射性医薬品の今後の臨床開発加速につながることが期待されます。

概要

国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:間野 博行、東京都中央区、以下「国立がん研究センター」)とペプチドリーム株式会社(代表取締役社長:リード・パトリック、本社:神奈川県川崎市、 以下「当社」)は、Claudin18.2(以下「CLDN18.2」)を標的とする64Cu標識放射性医薬品候補品64Cu‑PD‑29875を投与する特定臨床研究(以下、「本特定臨床研究」)において、国立がん研究センター東病院(病院長:土井俊彦、千葉県柏市、以下:国立がん研究センター東病院)における最初の患者さんへの投与・解析を実施しましたのでお知らせいたします。

取り組みの詳細

本特定臨床研究は、64Cu‑PD‑29875 のファースト・イン・ヒューマン試験1(Phase 0 試験)であり、2025年12月に国立がん研究センター東病院の臨床研究審査委員会により承認された臨床研究計画に基づき実施されるものです。国立がん研究センター先端医療開発センターで培われた放射性医薬品の製造技術を活用して製造した64Cu-PD-29875を胃がんまたは食道胃接合部がんの患者さんに投与し、PET/CTイメージングを用いて安全性、薬物動態、推定被ばく線量および腫瘍集積性を確認することを目的としています。最初の患者さんにおける初期解析において、安全性上の大きな懸念は認められず、薬物動態および病変部への集積について、今後の評価に資する所見が得られました。Phase 0 試験は、ごく少量の化合物を被験者に投与することから、第1相臨床試験(Phase 1 試験)を行う前に実施することが可能です。Phase 0 試験を実施し、少量の投与でも検出が可能なPETイメージングを活用することにより、64Cu‑PD‑29875の診断薬としての開発可能性に加え、治療用放射性医薬品への展開可能性を検討し、セラノスティクス2開発への初期的知見を得ることが期待されます。

image1


本特定臨床研究について

研究名称

胃癌患者を対象とした64Cu 標識 Claudin18.2 標的環状ペプチド薬剤の早期臨床試験

統括管理者

稲木 杏吏 (国立がん研究センター先端医療開発センター)

研究の目的

食道胃接合部癌を含む胃癌患者を対象として、64Cu-PD-29875 による PET/CT 検査の有効性、安全性、薬物動態及び被ばく線量を評価する。

研究対象者

遠隔転移病変、局所残存病変または再発病変を有する胃がんもしくは食道胃接合部がん患者

実施予定被験者数

6名

主たる評価項目

安全性

副次的な評価項目

病変ごとのPETでの集積陽性率、患者ごとのPETでの集積陽性率、薬物動態、推定被ばく線量

臨床研究実施計画番号:jRCTs031250563

CLDN18.2はクローディンファミリーに属するタンパク質で、細胞間のタイトジャンクションの形成因子として、正常組織では胃上皮細胞に発現します。一方、胃がん、食道がん、すい臓がん、肺腺がん等に高発現しており、診断および治療の両面で有望ながん標的分子として注目されています。

PD‑29875 は、ペプチドリーム独自の PDPS®(Peptide Discovery Platform System)技術を用いて見出された環状ペプチドであり、子会社であるPDRファーマにおいて実施された in vivo イメージング3および薬効試験をもとに当社で最適化が行われました。

本特定臨床研究でPD-29875を診断用の放射性核種である64Cuで標識し、PETイメージングデータを取得することで、診断薬としての開発可能性に関する情報に加え、治療用核種で標識した際の展開可能性を検討するための基礎的知見を得ることができるものと考えています。また、そこで得られた情報を活用し、その後の臨床開発を加速することが期待されます。

国立がん研究センター東病院 病院長 土井 俊彦 コメント

「本特定臨床研究において64Cu‑PD‑29875が最初の胃がんの患者さんへの投与に至ったことを大変喜ばしく思っています。最初の患者さんにおいて、64Cu‑PD‑29875の安全性、薬物動態、病変部への集積性が良好であることがPETイメージングによって確認できました。引き続き、特定臨床研究による確認を進めていきます。我々のミッションは日本における主要ながん拠点として、患者さんに革新的な治療を提供し、日本の医療を改善していくことです。ペプチドリームグループのがんを標的としたペプチドと診断・治療に活用できる放射性核種を組み合わせることは胃がんをはじめ様々ながん患者さんに非常に有望な、新たな診断・治療法となる可能性があると期待しています。」

国立がん研究センター先端医療開発センター センター長 土原 一哉 コメント

「先端医療開発センターで培われた放射性医薬品の製造技術が、64Cu-PD-29875のファースト・イン・ヒューマン試験に貢献できたことを大変うれしく思っています。我々は新規医療技術を早期臨床試験へ橋渡しを行い、患者さんに革新的な治療を提供することを目的としています。引き続き、新しい放射性医薬品の研究開発の加速に貢献していきたいと考えています。」

ペプチドリーム株式会社 代表取締役社長 リード・パトリック コメント

「今般、当社の二つ目となる自社放射性医薬品プログラムであるPD-29875について、一つ目であるPD-32766に続き国立がん研究センターと協働できたことを大変喜ばしく思っています。PD-29875は、近年注目されているがん標的であるCLDN18.2に選択的に結合する環状ペプチドであり、225Acで標識した治療薬および 64Cu で標識した診断薬をセラノスティクスとして開発することを計画しています。当社グループは、次世代の標的型放射性医薬品の創出に向けて深くコミットしており、ペプチド創薬における専門性を活かしてがん患者さんの治療にインパクトを与える次世代放射性医薬品の開発に注力してまいります。」

なお PD-29875 の開発は 2024 年に日本医療研究開発機構(AMED)の「革新的がん医療実用化研究事業」(研究開発課題名:Claudin18.2 標的ペプチドを用いた胃がんに対する診断・治療セラノスティクスの開発研究、研究開発代表者:国立がん研究センター先端医療開発センター 稲木 杏吏)に採択され、研究助成を受けて国立がん研究センターにより実施されています。

胃がん・食道胃接合部がんについて

胃がんは、2020年の全世界のがん患者数において5番目に多く、がんによる死因において4番目に多いことが知られており、全世界でがんと診断される患者さんの約7%を占めています。また、5年生存率は32%と予後の悪いがんとしても知られています。2020年には全世界で約110万人の患者さんが胃がんと診断され、77 万人の方が亡くなられました。また、患者数は2040 年までに180万人に増加すると予想されています。食道胃接合部がんは、食道と胃の接合部に発生するがんで、近年増加傾向にあります。胃がんと同様にCLDN18.2 の発現が認められています。

用語解説

注1 ファースト・イン・ヒューマン試験

人に対する投与が初めてとなる試験を「ファースト・イン・ヒューマン試験」と呼びます。

注2 セラノスティクス

ペプチド等の同一薬剤をベースに、診断に使用される核種と治療に使用される核種を使い分けることで、治療と診断の両方を一体的に行う医療アプローチを指しています。セラノスティクスにより、がんの診断と治療を一体的に行うことが可能となり、治療が有効である可能性の高い患者さんの効果的な選定や、治療効果を随時把握することが可能になる等のメリットが期待されています。

注3 in vivoイメージング

放射性核種やその他の方法で標識した化合物を投与し、体内での挙動を観察することを指します。例えば、in vivoイメージング技術を用いることで、薬剤を投与した際に体内にどのように分布し、代謝・排泄されるか等の情報を視覚的に得ることができます。

関連リリース

腎細胞がんの新たな放射性医薬品の実用化を目指して|国立がん研究センター/ ペプチドリーム
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2025/0328/index.html

国立がん研究センター東病院について

国立がん研究センター東病院は、1992年に設立され、世界レベルのがん医療の提供と新しいがん医療創出をビジョンに掲げています。数多くのアカデミア、企業が進出し産学連携の医療開発拠点として発展が進む千葉県柏市柏の葉地区に位置し、併設する先端医療開発センターとともに、国際的なネットワークを基盤とした研究開発の拠点として、先進的ながん治療薬・医療機器開発やゲノム医療をはじめとした個別化治療を推進し、多数の実績を上げています。
URL:https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/index.html

国立がん研究センター先端医療開発センターについて

国立がん研究センター先端医療開発センターの使命は、研究開発を推進することです。オープンイノベーションなど、医薬品、医療機器開発を取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。我々は国立がん研究センターの各部門や、国内外の研究機関と協働しながら、こうした変化に即応できる組織を目指しており、再生・細胞医療、核医学治療、AI、ロボットなど、ゲームチェンジャーと期待される技術を特に注力すべき領域と定めています。
URL: https://www.ncc.go.jp/jp/epoc/index.html

ぺプチドリームについて

ペプチドリーム株式会社(東証プライム市場 証券コード4587)は、特殊環状ペプチドから新たな革新的医薬品を産み出すことで、アンメット・メディカル・ニーズに応え、世界中の人々の生活の質を向上させることを目指しています。放射性医薬品(RI)領域において、完全子会社であるPDRファーマを通じて日本で放射性医薬品の販売を行っています。また、独自の創薬開発プラットフォームであるPDPS® (Peptide Discovery Platform System)技術を活用し、革新的な放射性治療薬や放射性診断薬を創製し、自社または提携プログラムとして開発しています。Non-RI領域においては、PDPS®を活用したペプチド医薬品、ペプチド-薬物複合体(PDC)および多機能ペプチド複合体(MPC)による治療薬・診断薬への展開を共同研究開発パートナーによる広範囲なグローバル・ネットワークを構築し、幅広く進めております。ペプチドリームの本社の所在地は川崎市です。当社や当社技術、パイプラインについての詳細については、https://www.peptidream.comをご覧ください。

お問い合わせ先

研究に関するお問い合わせ/患者さんからのお問い合わせ

国立研究開発法人国立がん研究センター
東病院 放射線診断科/先端医療開発センター 機能診断開発分野 稲木 杏吏
電話番号:04-7133-1111(代表)
Eメール:ainaki●east.ncc.go.jp

広報窓口

国立研究開発法人国立がん研究センター
企画戦略局 広報企画室(柏キャンパス)
電話番号:04-7133-1111(代表)
Eメール:ncc-admin●ncc.go.jp

ペプチドリーム株式会社
IR広報部 沖本
電話番号:044-223-6612
Eメール:info●peptidream.com
ウェブサイト:https://www.peptidream.com/
X: https://x.com/PeptiDream_Inc

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