国立がん研究センター中央病院 希少がんセンター病理診断解析支援室がCAP-LAP認定(米国臨床病理医協会)を取得希少がん領域における国際水準の品質保証体制を持つ病理解析基盤として評価
発表のポイント
- 希少がんの診断・治療・研究を支える病理診断解析支援室が、米国臨床病理医協会によるCAP-LAP認定を取得しました。
- 本認定により、病理診断解析支援室に免疫組織化学を中心とする病理解析の能力・施設環境・品質管理システムが国際水準で整備されていることが確認されました。
- 特定のバイオマーカーに基づき投与される医薬品の開発においては、コンパニオン診断薬の開発も同時に行う必要がありますが、希少がんのコンパニオン診断薬の開発においては、症例集積や評価法の標準化、施設間再現性の確保が課題となっており、病理診断解析支援室は信頼性の高い病理解析基盤として治療開発を支援します。
概要
国立研究開発法人国立がん研究センター(所在地:東京都中央区、理事長:間野 博行)中央病院(病院長:瀬戸 泰之)希少がんセンターの病理診断解析支援室は、米国臨床病理医協会(College of American Pathologists: CAP)によるLaboratory Accreditation Program(CAP-LAP)認定を取得しました。
希少がんでは、腫瘍の発生頻度が低く、組織像や免疫表現型、分子異常が多様であるため、正確な診断や治療開発には、病理形態、免疫組織化学、分子病理学的解析、ゲノム情報を統合した高精度な評価が不可欠です。
病理診断解析支援室は、中央病院および希少がんセンターにおける病理診断支援、研究支援の基盤として、希少がん領域の高度な病理解析を担ってきました。
特定のバイオマーカーに基づき投与される医薬品の開発においては、効果が期待できる患者さんを特定するためのコンパニオン診断薬の開発も同時に行う必要がありますが、希少がんでは患者さんの数が少ないため、新たな医薬品の開発のみならず、コンパニオン診断薬の開発においても必要な症例の集積、検体品質の確保、評価法の標準化、施設間再現性の検証が大きな課題となっています。また、診断薬の開発費用に見合う利益が見込めないことから、企業による開発が進みにくいという現状もあります。CAP-LAP認定の取得により、病理診断解析支援室が提供する病理解析データの信頼性、記録性、トレーサビリティを国際的に説明しやすくなり、研究を推進する検体解析基盤としての役割が一層明確になります。
今回のCAP-LAP認定取得により、検査・解析に関する標準作業手順書、品質管理、要員教育、検体・試薬・機器管理、記録管理、内部監査、是正処置などの品質マネジメント体制について、CAPの要求事項に基づく国際水準の体制整備が確認されました。今後も病理診断解析支援室は、継続的な品質改善に取り組み、希少がんの診断精度向上、臨床研究・治験の推進、国内外の研究・医療機関や企業との連携強化に貢献してまいります。
背景
がん診療において、病理診断および病理関連検査は、診断確定、治療方針決定、バイオマーカー評価、臨床試験適格性判断の基盤です。特に希少がんでは、症例数が限られる一方で診断・治療の選択に高度な専門性が求められるため、病理解析の再現性、記録性、トレーサビリティ、品質保証体制が重要となります。
また、希少がん患者さんのための新規医薬品とコンパニオン診断の研究開発においても、重要な基盤となります。
病理診断解析支援室は、こうしたニーズに対応するため、CAP-LAP認定取得に向け、標準作業手順書の整備、教育・力量評価、機器・試薬管理、検体管理、内部監査、是正・予防処置など、検査室品質マネジメント体制の強化に取り組んできました。
CAP-LAP認定とは
CAP(米国臨床病理医協会)は、病理医および検査室専門職を中心とする米国の専門職団体であり、検査室の品質保証、技能試験、認定プログラムなどを通じて、病理・検査医学の質向上を支援しています。CAP-LAP(CAP Laboratory Accreditation Program)は、米国臨床病理医協会が実施する検査室認定プログラムで、検査室の運営、品質管理、要員教育、検査手順、機器・試薬管理、記録管理、技能試験、是正処置などについて、分野別の要求事項に基づき評価されます。CAP-LAP認定の維持には、継続的な品質改善と定期的な評価への対応が求められます。
病理診断解析支援室(Translational Research Laboratory:TRL)の役割
国立がん研究センター中央病院 希少がんセンターでは、希少がんの診断・治療・研究に関する専門的支援を行う組織で、希少がんに関する正確な情報提供、診療連携、研究開発の推進に取り組んでいます。病理診断解析支援室は、希少がんセンターにおいて、希少がんを中心とする病理診断・研究支援のための病理解析基盤を担っています。具体的には、病理組織学的評価、免疫組織化学、分子病理学的解析、ゲノム解析に向けた検体評価、研究における病理レビューや解析支援などを通じて、診断の精緻化と新たな診断・治療の開発を支援しています。今回のCAP-LAP認定の取得は、これらの活動を国際水準の品質保証体制のもとで継続するための重要な基盤となります。
展望
国立がん研究センター中央病院 希少がんセンターは、患者さんにより質の高い診断・治療機会を届けるため、希少がん診療と研究開発を一体的に推進しています。病理診断解析支援室は、CAP-LAP認定で求められる継続的な品質改善を通じて、解析の信頼性と再現性をさらに高め、希少がん診断の高度化、個別化医療の推進、臨床試験など研究の質の向上に貢献してまいります。 さらに、希少がんにおけるコンパニオン診断の開発課題である、症例数の少なさ、腫瘍内不均一性、標準的な陽性対照の確保、カットオフ設定、検体前処理条件の違い、施設間差の検証などに対し、CAP-LAPに基づく品質保証体制を活用して取り組みます。企業が参入しにくい領域にも積極的に高品質のデータを提供し続けることで、希少がんの患者さんが科学的根拠に基づく有効な治療にアクセスできる社会的基盤の整備に貢献してまいります。
CAP-LAP認定証
認定先:米国臨床病理医協会(College of American Pathologists: CAP)
認定取得先:国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院
希少がんセンター 病理診断解析支援室(Translational Research Laboratory)
認定登録番号:9869274
認定日:2026年4月29日
認定範囲:All Common/Director Assessment/Laboratory General/Surgical Pathology

お問い合わせ先
認定に関するお問い合わせ先
国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院
希少がんセンター 病理診断解析支援室
担当者:谷田部 恭
電話番号:03-3547-5211(代表)
Eメール:yyatabe●ncc.go.jp
広報窓口
国立研究開発法人国立がん研究センター
企画戦略局 広報企画室
電話番号:03-3542-2511(代表)
Eメール:ncc-admin●ncc.go.jp
