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国立がん研究センター 東病院

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診療について

東病院先端医療科は早期開発治験、特に第1相試験を中心とする治験・臨床研究を担当する診療科です。各臓器別診療科の専門医師と、フィジシャンサイエンティスト(臨床現場と基礎研究の橋渡し役として研究開発を促進する医師)・がん専門修練医・レジデントなどの若手医師が中心となって編成された診療科横断型のチームです。十分な説明(インフォームド・コンセント)によって、患者さんご自身が治療の内容をよく理解された上で、より安心・より安全に治験を受けていただけることを心がけ、臨床研究コーディネーター室・看護部・薬剤部・検査部門など、多職種の領域と協力しながら実施体制を整えています。

通常の外来診療に加え、主に遠方にお住まいの方を対象としたオンラインがん相談も実施しております。また、先端医療科で実施している新規抗がん剤を用いた治験の検索ホームページも開設しておりますので、ご利用いただければと思います。

第1相試験とは

第1相試験は新しい抗がん剤を開発するための最初のステップになります。第1相試験では少数の患者さんを対象とし、新しい抗がん剤の安全性と有効性を確認することを目的に行います。まず少量から薬剤を開始し安全性が確認されたら、段階的に投与量を増やし、毒性(副作用)および有効性、薬物の吸収・代謝・排泄などの情報を収集し、適切な投与量・投与方法を決定します(そのため第1相試験に登録中は、採血を繰り返し行なったり、場合によって組織を採取させていただくこともあります)。第1相試験の中でも、はじめて人体に投与される薬剤を用いる試験は、FIH (First in human) 試験と呼ばれています。第1相試験に登録する患者さん、登録後の患者さんの経過については、週1回開催されるカンファレンスで情報を共有し、方針を決定致します。

対象疾患

固形がん、血液がんすべての悪性腫瘍が対象となります。第1相試験はAll comer(特定の臓器に対象を絞って開発を行わない試験)で施行されることが多く、頭頸部がん、肺がん、乳がん、消化管がん、肝臓・胆道・膵臓がん、婦人科がん、泌尿器がん、血液がん、肉腫など、幅広い悪性腫瘍を対象としております。入院診療は第1相試験を専門とする病棟で行い、週1回開催される病棟とのカンファレンスにおいて、入院予定患者さんの情報および予想される治験薬の副作用について情報共有を行っております。

東病院先端医療科の特徴

アジアトップクラスの第1相臨床試験実績

東病院は、実施している試験の数(薬剤の数)も治験薬を投与した患者さんの数も、国内のみならずアジアでもトップクラスの水準を保っています。また、製薬企業だけではなく、革新的な研究を行っている大学病院、規制当局とも連携しながら、早期開発を進めております。東病院先端医療科の第1相試験の登録数は実績についてをご覧ください。

世界最先端の新規抗がん剤治療

東病院では、がんゲノム医療の推進はもとより、最近では、新たな抗体療法(抗体薬物複合体など)や免疫療法の開発を開発も行っています。免疫療法は近年、加速度的に開発が進んでおり、従来の抗体を用いた免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤など)だけでなく、ウィルスやゲノム改変技術を利用した細胞療法(CAR-T療法)、また、光免疫療法など新しい医療技術を応用した開発にも力を入れております。また、中央病院 先端医療科をはじめ、築地キャンパスの各科・研究部門とも連携しており、情報交換を行いながら最先端の医療を行っています。先端医療科で現在実施中の治験については、治験の検索ホームページをご覧ください。

活発なトランスレーショナル研究

先端医療科では、第1相試験を行うだけでなく、先端医療開発センターの研究部門と連携し、臨床開発を見据えた前臨床研究(基礎研究)や臨床検体を用いたトランスレーショナル研究(橋渡し研究)を精力的に行っております。詳しい内容については、研究についてをご覧ください。

実績について

第1相試験では、主に標準治療の治療効果がなくなった患者さんを対象とします。第1相試験では、新規薬剤の安全性を確認するため、採血などで肝臓・腎臓などの機能が保たれている全身状態がよい患者さんが対象となります。

2021年度 第1相試験の実績(先端医療科)

2021年度は、先端医療科では41本の早期開発試験を実施致しました。登録患者総数は151名でした。治験薬(新しい抗がん剤)としては、ゲノム標的薬(患者さんの遺伝子異常の情報に基づき遺伝子を標的とした薬剤)、腫瘍免疫治療薬(患者さんの免疫を活性化させる治療)、抗体治療(二重特異性T細胞誘導抗体のような新しい機序の薬剤など)や武装抗体治療(抗体に抗がん剤を結合した薬剤)の試験が多くなっております。治験薬の種類、登録患者さんの診断については下記のグラフをご参照ください。

作用機序別

診断別

研修を希望される先生方へ

昨今のがん治療では、新たな治療法が続々と登場し、従来の臓器に特化したトレーニングに加え、臓器横断的な知識や治療経験が重要となってきております。たとえば、CAR-T療法では、血液とくに幹細胞移植のトレーニングが必要であり、新たな副作用(CRS:サイトカイン放出症候群など)の対応も求められています。ゲノム医療の実施や免疫有害事象の管理では、開発の先行する臓器での治療経験を応用する必要があります。さらに、光免疫療法やウィルス療法では、内視鏡・外科治療や放射線治療との関わりも深くなってきており、各科の診療領域をこえた複合的な治療における管理も必要となってきております。当科では下記のような若い先生方を募集しています。一緒に未来のがん治療を開発しませんか?

 2019年度実績

  1. 臓器横断的にがん治療・開発のトレーニングを希望する内科医
  2. 新規治療の開発に興味のある内視鏡医・外科医・放射線治療医
  3. トランスレーショナル研究(TR研究)に興味がある医師

東病院先端医療科では、乳腺・腫瘍内科(婦人科系・泌尿器科系含む)、呼吸器内科、消化管内科、血液内科、肝胆膵内科の専門医・指導医が所属していますので、第1相試験だけでなく、各臓器別の診療や、治療薬開発を通じて横断的な教育を受けることが可能です。また、先端医療開発センターの研究部門と連携し、新規がん治療の基礎研究・トランスレーショナル研究(TR研究)も精力的に行うことが出来ます。

研究について

先端医療開発センター研究所と連携し、新規抗がん剤の開発において、治療効果や副作用を予測するバイオマーカー探索を行うことで、個別化医療・精密医療(プレシジョンメディスン)にも積極的に取り組んでいます。
免疫療法に関わる新規薬剤においては、フローサイトメトリー解析などを用いることにより、末梢血液中のリンパ球やがん組織の免疫機能の変化を解析し、新規免疫療法の作用機序(mode of action: MOA)を解明する研究を行っております。また、抗体療法や抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate: ADC)の新規薬剤においては、質量分析解析などを用いることにより、がん組織中における薬物動態・薬力学解析を行うことで、新規治療薬の治療効果の向上、個別化を研究しております。また、基礎研究から導かれたコンセプトをヒトにおいて検証するProof of concept (POC)試験を医師主導治験として行っています。