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国立がん研究センター 東病院

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陽子線治療の概要

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陽子線治療の特徴

放射線治療は、放射線をがんの病巣に照射し、がん細胞にダメージを与え、増殖能力を奪います。しかし同時に周辺の正常な細胞に対しても放射線はダメージを与えるため、その結果として臓器の障害を引き起こしてしまう可能性が生じます。がんの病巣に集中して放射線を当てつつ、正常な組織への影響は最小限に抑えることが、良い放射線治療につながります。

そこで陽子線の「止まる」という性質が活きてきます。陽子線は一般的に診療で用いられる放射線であるX線と比べ、「止まる深さ」で「細胞へのダメージ」が最大になり、その後方へはほとんど影響しません。さらに陽子線のエネルギーによって「止まる深さ」が決まります。「止まる深さ」をコントロールすることで、がんに集中して放射線を当てることが可能になります。

当院では人体内の深さ25センチメートルまで陽子線を到達させるため、235メガ電子ボルトという数値の陽子線を生成可能です。これは速度で表すと光速の約60%、1秒で地球4周半に相当します。巨大な装置を用いてこのような高エネルギーの陽子線を扱っています。

陽子線治療の特徴 図

陽子線治療の実際

最初に治療のための準備を行います。まずは治療中の体の動きを抑えるための固定具をつくります。それに引き続きCT検査を行います。そのCTにもとづき、放射線腫瘍医や医学物理士、放射線技師が治療の計画を立案します。また、ボーラス・コリメータといった患者さん専用の特殊な器具を作製します。この過程に数日を要します。その後、治療を開始します。

治療は装置のベッドに寝た姿勢で受けていただきます。治療は原則として1日1回、週3回から5回行い、合計4回から40回程度繰り返して完了します。この回数は病気の種類・進行度・部位などによって異なります。1回の治療時間は約15分から30分です。

2015年10月より、前立腺がんにおいて、複雑な形状の腫瘍に対応できる「陽子線ラインスキャニング照射法」による治療を開始しており、世界でも新しい治療を行う事も可能です。 従来の方法よりも直腸の線量を下げることが出来、有害事象の低減が期待されております。

前立腺がんに対する陽子線治療の一例

  • 陽子線ラインスキャニング照射法 写真1

    従来法(散乱体法)

  • 陽子線ラインスキャニング照射法 写真2

    スキャニング法

「陽子線ラインスキャニング照射法」のご紹介動画

scanning.JPG
(画像をクリックするとYouTubeにリンクします)

陽子線治療における臨床試験の取り組み

現在当院では以下の2つの臨床試験(先進医療B)を実施しております。

  1.  JCOG1315C
    内容:切除可能肝細胞癌に対する陽子線治療と外科的切除の非ランダム化同時対照試験
  2.  iProton試験
    内容:局所進行頭頸部扁平上皮癌に対する強度変調陽子線治療による晩期有害事象低減効果に関する多施設共同臨床試験

試験の参加などの詳細については、下記の問い合わせから電話またはファクスでよろしくお願いします。担当者から回答をします。

費用について

陽子線治療に要する費用は2,941,000円です(令和元年10月より)。陽子線治療は厚生労働省より先進医療として認可されたもので、陽子線治療に関わる費用は一部疾患を除き、保険適応外になります。その他の検査や入院、または化学療法などの薬物療法などは保険適応になります。つまり、本治療以外の保険診療はすべて通常どおりに扱われます。
現在、切除可能な初発・単発・結節型肝細胞癌がん、最大径3センチメートル超、12センチメートル未満、全身状態や肝機能良好の20歳以上79歳以下の患者さんにおきましては、多施設共同臨床試験にて陽子線治療を行っております。陽子線治療に要する費用は1,600,000円で治療可能です。詳細につきましては、お問い合わせください。

2016年4月から小児がん(限局性の固形悪性腫瘍)は保険適応となり、当院でも小児がんに対する陽子線治療を実施しています。また、2018年4月1日より、限局性及び局所進行性前立腺がん(転移を有するものを除く)、頭頸部悪性腫瘍(口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く)、手術による根治的な治療が困難な骨軟部腫瘍の陽子線治療も保険適応となりました。さらに、2022年4月より4センチメートル以上の切除不能肝細胞がん、切除不能肝内胆管がん、切除不能局所進行膵がん、切除不能局所大腸がん術後再発病変に対する陽子線治療も保険適応となっております。2022年4月現在、保険診療での陽子線治療費には、1,600,000円(前立腺がん)2,375,000円(切除不能肝細胞癌;4センチメートル以上、切除不能肝内胆管癌、切除不能局所進行膵がん、切除不能局所大腸癌術後再発病変、小児がん、頭頸部腫瘍、骨軟部腫瘍)の2種類があります。陽子線治療の治療回数は部位により異なりますが、全体の費用の自己負担額分(通常の3割計算、約500,000-800,000円)を陽子線治療の開始日に一括でお支払いいただくことが原則となっています。「限度額適用認定証」という制度を利用すれば定められた限度額の支払で済ませることが出来ます。治療の開始日までに保険証の発行元にて「限度額適用認定証」を発行してもらい保険証確認窓口にお持ちください。ただし、70歳以上の方は原則として上記の申請が必要なく自動で限度額が適用されることとなりますが、詳しくは各市町村にお問い合わせください。

適応について

当院では現在、以下の疾患を陽子線治療の適応としています。詳細については、お問い合わせ先まで個別にお問い合わせください。

脳腫瘍(原発性のみ)、頭蓋底腫瘍(脊索腫・軟骨肉腫など)、頭頸部腫瘍、肺がん、縦隔腫瘍、食道がん、肝細胞がん、肝内胆管がん、切除不能膵臓がん、転移性肝がん(1から3カ所で他の部位に転移がないもの)、転移性肺がん(1から3カ所で他の部位に転移がないもの)、限局したリンパ節転移・再発(他の部位に転移がないもの)、骨軟部肉腫、前立腺がん、小児がん、などが適応となります。