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IVR(アイブイアール)

IVRとは

IVR_Description002.jpgIVR(インターベンションナルラジオロジー)とはX線画像などを使った検査・治療で、その一部である血管造影は、造影剤を血管内に投与することにより血管内腔(けっかんないくう)を描出する検査です。
カテーテルやガイドワイヤと呼ばれる細い管を血管内に挿入し、X線透視下で目的の血管部位まで進め、造影剤を注入することで、より詳細な血管の情報を知ることが出来ます。
血管造影の技術を応用して、腫瘍を養っている血管を通じて抗がん剤などを直接投与する治療、皮膚表面から(経皮的に)直接針を刺して膿を排出させるなど、画像誘導下において行う治療全般をIVR(アイブイアール)と呼びます。

外科的手術のように開腹をする必要がなく、細い管の挿入口となる非常に小さな傷しか残らないため、患者さんの身体への負担が少ないことが特長です。

国立がん研究センター東病院では、血管造影に精通した放射線診断専門医、診療放射線技師および看護師が1つのチームとなって業務を遂行します。その中で、診療放射線技師は腫瘍の位置や血管走行が分かりやすい透視画像、血管画像およびCT画像を医師に提供し、迅速な検査・治療に貢献しています。

主な検査内容

がんに対する局所治療(動注化学療法、動脈塞栓(どうみゃくそくせん)化学療法)、CVポート留置、下大静脈フィルター留置、出血に対する緊急止血術、また非血管系のCTガイド下経皮的膿瘍ドレナージ、CTガイド下経皮的生検など、様々な種類のIVRを行っています。

経皮的動脈化学塞栓術(けいひてきどうみゃくかがくそくせんじゅつ):TACE

TACE(Transcatheter Arterial ChemoEmbolization)は肝細胞癌に対して行われる治療法です。
大腿部(だいたいぶ)より動脈に針を刺しカテーテルと呼ばれる細い管を腫瘍の近くの血管まで進めていきます。腫瘍に栄養をしている血管より抗がん剤を注入し、加えて血管を閉塞することによりがん細胞を治療していきます。
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    TACE術中のX線画像

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    TACE術中のCT画像

経皮経肝的門脈塞栓術(けいひてきけいかんてきもんみゃくそくせんじゅつ):PTPE

PTPE(Percutaneous Transhepatic Portal vein Embolization)は肝腫瘍の術後肝不全を予防する目的で行われます。
肝右葉の門脈を塞栓(そくせん)することにより、肝左葉を肥大させ肝機能を温存させることができます。門脈血流の塞栓には無水エタノールを使用します。
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    PTPE術中のX線画像

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    PTPE術中のX線画像

経皮的膿瘍(けいひてきのうよう)ドレナージ:Percutaneous abscess Drainage

体内にできた膿瘍などにカテーテルを留置し、溜まったウミを排出していく治療です。
カテーテルを留置する際にはCT装置、超音波装置などを使い目的の部位に正確に届くように手技を進めていきます。
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    経皮的膿瘍ドレナージ中のX線画像

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    経皮的膿瘍ドレナージ中のCT線画像

生体組織検査:Biopsy

生体の組織に直接針を刺し、到達した部位の組織を採取してくる検査です。
採取した組織は病理検査を行い、がんの有無、悪性度の高さなどを調べます。検査ではCT画像を見ながら目的部位に針を進めていき、正確に組織を採取します。
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    生体組織検査(穿刺前のCT画像)

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    生体組織検査(穿刺中のCT画像)

国立がん研究センター東病院のIVR装置紹介

当院では、血管造影装置とCT装置が一体化したIVR-CT装置とロボットアームを応用した多軸のIVR装置の2台が稼働しています。

  • Canon_Alphenix INFX_8000C

    IVR-CT装置 : Canon社製 Alphenix INFX-8000C
    X線透視、血管造影撮影を行うDSA(デジタルサブトラクションアンギオグラフィ)装置と320列マルチスライスCT装置が組み合わされたシステムです。両装置の画像情報を融合することで、より細い血管や腫瘍を容易に識別し治療をすることが可能になります。

  • Siemens_Artis_zeego.jpg

    多軸IVR装置 : SIEMENS社製 Artis zeego
    Cアームやアームスタンドに高精度な回転機構を多数搭載した多軸(8軸)制御方式の装置です。透視、血管造影撮影時に様々な方向から病変へのアプローチが出来ます。

IVR検査の流れ

IVR検査の手技は、CVポート挿入術を除き、すべて入院してから行います。

  1. 入院
    • 入院後に担当医より検査・治療内容についての説明があります。
  2. 病棟での準備
    • IVR検査当日は、病棟にて着替え・点滴などの準備を行い、血管造影室に移動します。
  3. 血管造影室での準備
    • 本人確認のため氏名・生年月日などを確認します。
    • 装置の寝台へ移動し、心電図・血圧計・酸素モニターなどを装着します。
  4. IVR検査(カテーテルを挿入する場合)
    • 局所麻酔を行い、足の付け根部分からシース(カテーテルを挿入する際に使用する医療器具)・カテーテルを挿入します。
    • 検査目的の部位までカテーテルを到達させ、検査・治療を行います。
    • 検査中に血管の走行を確認するため、造影剤を使用しX線写真を撮影します。
    • 目的に応じ抗がん剤・血管塞栓物質・塞栓用コイル・血栓(けっせん)吸着フィルター(下大静脈フィルター)・穿刺針(せんししん)等の材料を使用し、治療を行います。
      1. IVR_Flow001.jpg

        IVRの風景

  5. IVR検査終了
    • 検査・治療後、検査室内においてシースを抜去し止血を行います。
    • 止血完了後、病棟で経過を観察し退院となります。

IVR検査の注意事項

造影剤について

  • ヨード造影剤を使用しますので、検査当日は食事の制限をさせていただきます。
  • ヨード造影剤のアレルギーがある場合は事前にスタッフへお伝えください。

検査中の体動について

  • 検査は装置の寝台に寝た状態で行います。
  • 寝台は高い位置にありますので、乗る際は看護師・診療放射線技師がお手伝いします。
  • 検査中、装置が多方向に動きますので、体を動かさないでください。
  • 検査中に呼吸を停止してX線撮影をすることがありますので、合図に合わせて息を止めてください。

検査後の安静について

  • カテーテルを抜去し、圧迫止血を行います。
  • 止血中に、体を大きく動かす、手足を曲げるなどすると出血をする恐れがありますので、ベッド上で安静にしていただきます。

よくある質問

Q1. 検査の際、痛みはありますか

  1. A1. 局所麻酔を注射するときの痛みや、抗がん剤投与に伴う痛みを感じる場合があります。

Q2. 検査終了後、すぐに動くことができますか

  1. A2. 止血が完了するまで穿刺した部位を動かすことはできません。
      • 止血時間は、穿刺部位、時間、年齢、動脈硬化の有無、出血傾向などによって変化します。このため、安静時間は数時間~翌朝までと個人差がありますので、スタッフにお尋ねください。

Q3. どれくらい時間がかかりますか

  1. A3. 治療時間は、目的や疾患の種類・状態などによって異なります。
      • 目安として1~3時間程度ですが治療の種類によっては、長く時間がかかる場合があります。

更新日:2022年4月20日