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前立腺がん

  1. 前立腺と前立腺がん
  2. 症状
  3. 診断
  4. 病期(ステージ)
  5. 治療について

前立腺と前立腺がん

前立腺は男性特有の器官で、膀胱のすぐ下にあります。もともとは尿道の背側に付属的に存在しており、加齢に伴い尿道を取り囲むようになります。通常は3-4センチメートル程度の大きさで、精子の運動及び円滑な移動を助ける前立腺液を産生する臓器です。前立腺がんはこの前立腺から発生します。

臓器の画像

症状

早期の前立腺がんは、多くの場合自覚症状がありません。排尿困難(おしっこが出にくい)や頻尿(おしっこの回数が多い)などの症状は、前立腺局所で進行した際にみられることがありますが、多くの場合はむしろ併存する前立腺肥大症の症状であることが多いです。進行した場合には骨やリンパ節などへの転移が認められ、骨転移の場合は腰痛などの症状を自覚することがあります。

診断

血中PSA測定

前立腺がん検診で行われる検査はPSA(Prostate-specific antigen)値の測定です。PSA検査は採血で行われ、血液中にある前立腺に特異的なタンパク質である「PSA」値を測定します。前立腺がん検診で行われる簡便な検査のなかでもっとも精度が高い検査とされています。一般的に4ng/ml未満が正常ですが、年齢により基準値が設けられています。PSA値が高くなるにつれ、前立腺がんである可能性も高くなっていきますが、前立腺肥大症や前立腺炎でも高値になることがあるため、基準値以上であるからといって必ずしも前立腺がんがあるとは限りません。基準値以上の場合は、より詳しい検査を受けることになります。

直腸指診

前立腺が直腸の前面に接していることを利用し、肛門から指を入れて診察を行います。前立腺背側に発生したがんは、ある程度の大きさになれば直腸から指で診断することが可能です。

MRI検査

近年、広く用いられるようになってきた画像検査です。前立腺がんの存在診断の予測に極めて有用な検査です。MRIの結果だけではがんの確定診断はつきませんが、組織検査をおこなった方がよいかどうか判断する材料となり得ます。

現在、MRI画像結果を5段階で判定するスコアリングシステム(PI-RADSスコア、1点: がんの可能性が極めて低い 2点: がんの可能性が低い 3点: どちらとも言えない 4点: がんの可能性が高い 5点: がんの可能性が極めて高い)が普及してきており、当院でもがんの可能性を客観的に評価し検査を進めています。

MRI検査は強い磁場のなかで行うため、体内に金属が入っている方はその材質により注意が必要となります。

MRI画像

前立腺生検(組織検査)

確定診断のために行われる検査です。前立腺の組織の一部を採取し、顕微鏡検査で病理学的にがん細胞の有無を確認します。

アプローチ方法の画像

経直腸超音波(エコー)で前立腺を観察しながら、針型の生検器具を使用し、組織を採取します。「系統的生検」といって、予め決まった10数ヶ所から組織採取する方法が一般的です。画像検査の結果に合わせ、がんが疑われる部位に標的として追加の組織採取を行 います。

当科では経会陰的アプローチで検査を行っています。これにより大腸菌による前立腺炎が極力回避でき、経直腸アプローチでは見逃しやすい尖部腹側と言われる部位からの採取も行える利点があります。

基本的に短期入院で麻酔(腰椎麻酔または局所麻酔)を併用し検査を行います。

 

前立腺生検

以下は、前立腺がんと診断された方に行われる画像検査です。

CT検査、骨シンチグラフィー検査

病巣の広がりや転移を調べるためにCTや骨シンチグラフィーなどを行います。これらの検査によってがんの進行度(病期)を決定します。

病期(ステージ)

まず病期は、TNM分類に基づいて判断されるのが一般的です。

TNM分類

前立腺がんの進行度によって病期(ステージ)が決まります。

Jewett Staging Systemによる病期分類

グリソン・スコア

前立腺生検で得られた組織の病理検査でがんの診断となった場合、その悪性度を示すのがグリソンスコア(Gleason score)です。

この組織型は、5段階に分けられています。グレードが高いほど(グレード5)最も悪性度の高いがんです。最も多いグレードと2番目に多いグレードを足して悪性度を判定します。

病理組織

上記がグリソン・スコアと呼ばれるもので、最多がグレード3、2番目がグレード4の組織であれば、グリソン・スコアは「3+4=7」になります。

以前はグレード1、2も付けていましたが、現在では最低がグレード3と定義されているため、グリソン・スコアは最低が「3+3=6」、最悪が「5+5=10」と表されます。

上記のようなTNM分類、グリソン・スコア、PSA値などをもとにリスク分類を行い、治療方針を決定していきます。

治療について

下記ページをご覧ください。

更新日:2022年3月14日