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平成28年度外部評価委員会 評価結果

概要

2016年8月10日に外部評価委員会が開催され、下記の評価事項について病院長の外、副院長及び事務部長から総括及び今後の方針等の口頭発表を行い、外部評価委員から事項毎に評価が行われた。

評価検討事項

評価事項発表者
(1) 東病院全体の診療実績およびNEXT棟新設について 病院長 林 隆一
(2) 経営改善に関する取り組み 事務部長 宮下 克己
(3) 研究実績および臨床研究中核病院としての病院機能 副院長 土井 俊彦
(4) 特定機能病院取得に向けた医療安全に対する取り組み 副院長 小西 大
(5) 連携大学院を含めた教育・人材育成に関する取り組み 副院長 秋元 哲夫

外部評価委員会名簿(五十音順)

氏名職名
大河内 信弘 筑波大学附属病院 外科長
竹内 勤 慶應義塾大学病院 病院長
東條 克能 東京慈恵会医科大学附属柏病院 院長(欠席)
徳久 剛史 千葉大学 学長

評価結果

評価事項A委員B委員C委員平均
(1)東病院全体の診療実績およびNEXT棟新設について 5 5 4 4.7
(2)経営改善に関する取り組み 5 4 3 4.0
(3)研究実績および臨床研究中核病院としての病院機能 5 5 3 4.3
(4)特定機能病院取得に向けた医療安全に対する取り組み 4 5 4 4.3
(5)連携大学院を含めた教育・人材育成に関する取り組み 4 5 3 4.0
平均 4.6 4.8 3.4 4.3

【凡例】
5:優れている 4:良い 3:普通 2:やや劣っている 1:劣っている

各評価事項に対する意見

東病院全体の診療実績およびNEXT棟新設について

  • 病床稼働率が90%を超えており、平均在院日数が12.5日と短いことは高く評価される。
  • 手術件数が3,000件を超す状況で、手術の8割が18時以前に終了している点は労働環境を良好に保つ点で高く評価される。
  • 陽子線の件数が2013年をピークに減少している理由は?
  • レジデントの勤務に関して時間外を定額制にしているようだが、労働と研究に関して区別、規定があることが望ましい。
  • 2010年以降、外来患者数が右肩上がりになっているがどこまで対応可能なのか?単価計算からみて経営を圧迫しないか?
  • 常勤麻酔科医が4名なのは、今後手術数が増加することを考えると安全確保に不安が残る。
  • 外来・入院診療のいずれにおいても着実に成果を伸ばしている。
  • 診療実績に関しては、外来診療では患者数も増加してきており、外来化学療法患者の数も増加してきている。また、入院診療に関しても平均入院患者数、在院日数、病床稼働率など素晴らしい実績をあげている。これらの実績から外来診療、入院診療ともに申し分ない。
  • 小児陽子線治療に関しては、本年4月から保険収載になったようであり、患者数増加が予測されるものの、疾患を絞り込むことにより対応するとしており良いと思う。
  • 手術に関しては、内視鏡手術も含めて件数が増加してきている。そして、来年度から手術室が8室から12室に増える計画であるが、常勤麻酔医の人数の増加が望めないようなので、その点がネックとなり手術数の増加は期待できない。この点は、多くの病院で問題となっており、何らかの対策が必要である。

経営改善に関する取り組み

  • 26年度4億5千万の赤字が27年度8千万円の黒字に転じていることは経営努力が高く評価される。
  • 診療報酬の査定率を示して目標値を設定していただきたい。
  • 診療実績の向上に対して、年度によって収支上の利益に増減があり、その一因は漸減する運営費交付金のようである。今後の新病院等建設やより優れたがん診療拠点構築のためにも、運営費交付金に依存しない強固な財務基盤の整備が必要と考えられる。
  • 経営に関しては、国立研究開発法人での運営費交付金の削減とNEXT棟整備により収益が悪化しているが、医療収益などの努力により改善傾向がみられている。
  • しかし、平均入院患者数、在院日数、病床稼働率などピークに近くなっているので、これ以上の増収を望むのは難しいと思われる。さらに運営費交付金の削減とNEXT棟整備は継続するので、何らかの更なる対策が必要である。
  • 当施設では、経営専門の方(他の国立大学で実績を上げた方)を雇用して著しい経営改善が見られている。この様なコンサルテーションが必要ではないか。

研究実績および臨床研究中核病院としての病院機能

  • 治験課題数が年間200件を越え、その半数が国際共同治験である点はがんセンター東病院の使命を着実に実行している点で高く評価される。
  • AMEDを初めとする公的研究費を15億円以上獲得している点が高く評価され、その研究成果が医療の現場に還元されることが期待される。
  • 大変すばらしい実績で特に世界にも評価の高い臨床研究、医師主導治験を行っている点は特筆に値する。
  • 治験課題数や国際共同治験数等は順調に伸びているが研究論文数は低下傾向にある。
  • 公的研究費の獲得状況では、AMEDから比較的多く獲得しているが、その他の外部研究費の取得が少ない。特に文部科学省の科研費などの取得件数と金額は多くない。
  • 国立の研究センターとして、研究論文数と外部資金の更なる増加を目指してほしい。
  • 臨床研究の実施体制の整備が急速に進んでいるようであり、更に充実させてほしい。

特定機能病院取得に向けた医療安全に対する取り組み

  • 病棟の担当者が一旦内容を確認して報告が上がるようになっている。全てのアクシデント、インシデントはどこもフィルターをかけずに報告されるシステムの方がより機能すると考える。
  • 医療安全管理室の中にも専従の医師がいた方が迅速な対応が出来ると考える。
  • 新しい治療、手術等の安全管理体制は提示されたシステムが実際に運用されることが望まれる。
  • 優れた整備状況であり、病院全体としての取り組みが感じられた。
  • 特定機能病院の承認に向けた医療安全管理体制の整備は順調に進んでいる
  • さらに昨年度に医療情報管理室を設置して、情報管理に関しても改善を目指している。

連携大学院を含めた教育・人材育成に関する取り組み

  • 看護部が院内だけではなく、院外向けの研修を行っていることが高く評価される。
  • 院内のレジデント研究制度と新専門医制度とのすりあわせは出来ているのでしょうか?
  • 医師以外のがん専門職を育成するために、連携大学院の構築を積極的に進めていただきたい。
  • 資格取得や学位取得等、人材育成の目標を示していただきたい。
  • 複数大学との連携大学院プログラムも順調に稼動し、複数の学位取得者の実績を上げている。がん専門看護師、薬剤師の分野では、日本全体をリードするような教育・人材育成の拠点としての取り組みが期待される。
  • レジデント制度で、医師ばかりでなく薬剤師や看護師のレジデント制度を行っているのは評価される。
  • しかし、医師と薬剤師に関しては、実績が示されていないのが残念である。もっと広報活動をしっかりと行うと良いのではないかと思う。
  • また、連携大学院制度は、国立の研究センターとして研究を伸ばす良い制度と捉え、連携大学院を増やすようにすると良いと思う。大学院生を受け入れれば、研究費を取得しようとするようになり、研究論文も増えてくると思われる。

国立がん研究センター東病院全体に対する意見

  • これまでの臨床研究の実績に基づき、臨床研究中核病院の承認を受けた点が高く評価される。
  • 臨床研究では世界のリーダーとして治験を進めている点が高く評価される.
  • 日本の臨床研究の拠点として、さらにactivityを上げるために必要な人材の確保に努力していただきたい。
  • 国際化に向けた基盤整備に関しての具体的な内容が欲しい。
  • 病院全体が、臨床研究中核病院の役割を果たし、さらに特定機能病院取得に向けて前進している様子を強く感じた。臨床研究における強みと着実に成果を上げているがん診療をさらに高め、世界のがん診療拠点病院の1つとして前進していただきたい。
  • 運営費交付金の減額、消費税や人事院勧告による職員給与の増額等で経営が悪化する中で、懸命に医業収益を増やしてきており、経営改善の努力が著しいと思われる。
  • さらに臨床研究中核病院として、臨床研究は件数を伸ばしてきており、素晴らしいと思う。その分、研究面での時間が少なくなり、研究実績が低下してくることは仕方がないと思う。
  • この様な経営環境の悪い時期がいつまでも続くとは思えないので、機能強化に向けた取組を選択して行うことが良いのではと思う。
  • その意味で特定機能病院を目指すことは、間違っていないと思う。さらに病院の経営改善策や特定機能病院取得等の情報を、外部機関から積極的に収集して参考にすると良いと思う。

更新日:2017年10月1日