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治験薬管理室

当院薬剤部における治験薬管理業務

治験薬は治験毎に定められた治験薬の管理手順書を確実に遵守して保管、管理及び調剤を実施する必要があります。治験薬の受領、患者さん毎の使用状況、返却又はそれに代わる処分等についての記録を作成し保存することが「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(Good Clinical Practice;GCP)」という省令で定められています。
当院薬剤部では治験薬、一部の治験機器、臨床試験で使用する医薬品等について、主に以下に示す治験薬管理業務等を行っています。

  • 治験薬等の温度管理として、当院では温度監視システムの導入により24時間365日リアルタイムで温度を監視しています。
  • 抗がん剤による治療では、複数の抗がん剤を組み合わせる場合、副作用を軽減する薬を用いる場合等があり、特に注射薬の場合、輸液、投与順、投与時間等を含めて治療計画を立てる必要があります。当院薬剤部では、治験毎に定められた治験薬の管理手順書を確実に遵守できるよう考慮した上で、組み合わせる抗がん剤、副作用対策等の知識も用い、治療計画作成を支援しています。
  • 注射薬の抗がん剤における治験では、治験薬等の混合調製を行い、安全な治験薬投与の確保に努めています。
  • 治験薬を他の薬と併用することで、治験薬の効果が強く現れすぎたり、反対に弱くなってしまったりする可能性がある場合、特定の副作用に対する注意が必要な場合等において、一部の薬との併用が禁止されていることがあります。当院薬剤部では、患者さんが使用する薬について、併用が禁止されている薬に該当するかどうかを確認する支援を行っています。

「臨床試験」「治験」「GCP」とは?

「臨床試験」とは、予防、診断、治療等の有効性、安全性等を確認するために行われるヒトを対象とした計画的な試験のことです。このうち、国から製造販売承認を取得するために行われる新薬等の臨床試験を「治験」と呼びます。治験を行う製薬企業、医療機関、医師等は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」という医薬品全般に関する法律及び、当該法律に基づいて国が定めたGCPという省令を守らなければなりません。GCPでは、治験の内容を国に届け出ること、医療機関と利害関係を有しない委員を含む治験審査委員会で治験の内容をあらかじめ審査すること、重大な副作用は国に報告すること、製薬企業は治験が適正に行われていることを継続的に確認すること等が定められています。

また、医師等は臨床試験の参加者に対し、あらかじめ臨床試験の内容及び関連事項を文書により適切な説明を行い、文書により同意を得なければならないことが定められています。説明が必要な項目には、臨床試験への参加は参加者の自由意思によるものであり、拒否・撤回によって参加者が不利な扱いを受けたり、臨床試験に参加しない場合に受けるべき利益を失ったりすることはないこと等が含まれています。

がん領域における臨床試験の実施の必要性とその意義

がん領域における臨床試験は一般的な薬の開発と異なり、第I相試験(薬の安全性と適切な投与量を調べることが主な目的の試験)の段階からがん患者さんを対象として行われます。臨床試験の結果、従来の標準治療(*)と比較してより優れた治療と認められたものは新たな標準治療として使われるため、将来の患者さんに新しい治療法を提示する根拠データになりうる可能性があります。

当院では多くの治験・臨床試験を行っており、第I相試験が多いことも特徴です。詳細は臨床研究コーディネーター室/治験事務室ページ内の「患者さん向け」ページ、「依頼者向け」ページをご参照ください。

*:標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療をいいます。(引用元:「国立がん研究センターがん情報サービス」)

更新日:2023年8月17日