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国立がん研究センター 東病院

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荘内病院×国立がん研究センター東病院 医療連載「つながる医療 がん治最前線」第1回 国立がん東病院での取り組み

2021年5月21日
国立がん研究センター東病院長 大津 敦

がん医療の進歩は目覚ましく、がんと診断されても約60%の方が治る時代になりました。現在のがん治療は手術、放射線治療、薬物療法、支持療法などを上手に組み合わせて患者さんの身体に負担の少ない治療を行うとともに、最近ではがんの遺伝子解析によって患者さん個々に最適な治療を選択する精密がん医療が主流となってきています。また、がん治療後も通常の日常生活が送れるように、心理的なサポートや就労支援なども大変重要となっています。

  • 国立がん研究センター東病院

    国のがん医療の基幹病院となっている国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)。
    来年夏ごろ、病院敷地内に連携宿泊施設が建設予定

国立がん研究センター東病院は、1992年の開院からまもなく30年が経過します。東病院は、国のがん医療の基幹病院として、「患者さんへの最良・最適のがん医療の提供と新しいがん医療の創出」を病院全体の目標として掲げ、最先端の医療を可能な限り患者さんへ提供してまいりました。地域連携にも力を入れて、所在地の千葉県柏市の医療圏を中心に近隣の埼玉、茨城県の医療機関などとも緊密な連携を構築し、現在年間約1万人の新規がん患者さんの治療を行っております。

この度、縁あって鶴岡市立荘内病院との遠隔地医療連携を締結できましたことは、東病院にとっても遠方の多くのがん患者さんに最新のがん治療を提供する大変良い機会と考えており、全国に先駆けた新しいがん医療連携のモデルとして看護部などメディカルスタッフも含め病院全体で取り組んでいます。鈴木院長先生はじめ、荘内病院職員の皆さまのご配慮により、昨年から当院医師による「がん相談外来」を設置し、荘内病院や近隣の医療機関に通院するがん患者さんのニーズを伺って、東病院の専門スタッフが可能な限りのサポートを行う体制を構築することができました。

  • 荘内病院の鈴木院長(右)と国立がん研究センター東病院の大津院長による がん医療の連携に関する協定の締結式

    荘内病院の鈴木院長(右)と国立がん研究センター東病院の大津院長による
    がん医療の連携に関する協定の締結式=2020年7月8日、荘内病院

当院の外科や内視鏡科専門医を中心に、荘内病院の先生方と直接意見交換を行うともに、鶴岡市のご支援により荘内病院の電子カルテやCT、内視鏡など各種画像が当院でオンタイムに参照できるシステムが間もなく導入されます。これにより当院の専門スタッフが相談を受けることや当院で治療を受けた患者さんのフォローアップ体制が整います。さらに、当院で開発を進めているIT・AIを駆使した手術画像共有・支援システムの導入も計画しており、荘内病院での手術をきめ細かくサポートできる体制を作っていきたいと考えています。

今、コロナ感染拡大下で医療や地域連携など大きな影響を受けています。一方でIT技術を駆使したオンライン診療基盤も各方面で急速に整備されつつありますが、新しいがん医療連携モデルの成功のためには何よりもお互いの信頼関係構築が重要と考えております。荘内病院の皆さまや鶴岡市の熱意とご支援は大変ありがたく、当地を訪れた当院スタッフもみな積極的な連携構築を口にしており、私自身も東北の地には思い入れがあります。双方の固い信頼関係の下で、新しい時代のがん医療連携モデルをぜひ成功させたいと心より願っております。

執筆者

大津敦
  • 大津 敦(おおつ・あつし)
  • 茨城県出身。1983年東北大学医学部卒。いわき市医療センター勤務などを経て1992年より国立がん研究センター東病院消化器内科、2008年同先端医療開発センター長。2016年より現職。

医療連携で実現できること

昨年の7月に国立がん研究センター東病院(以下、国がん東病院)と医療連携協定を締結しました。この連携は、以下の三つの柱を中心に進めていきます。

一つ目は、昨年11月開設の「がん相談外来」。遠方の病院に出掛けなくてもセカンドオピニオンが受けられる外来です。二つ目は、遠隔診療の導入。テレビ会議システムを使って、居ながらに国がん東病院の専門医とつながり、通院の負担軽減を図ります。現在システムの導入に向け、両病院間で調整中です。三つ目は、職員の人事交流。看護師や研修医の見学ツアーなど、がん診療の最先端をじかに目にしてさらなるレベルアップを図ります。

今回の連載では、世界最高レベルの国がん東病院のがん医療について、専門医がわかりやすく解説してくれます。最新医療を理解することで、受ける医療の選択の幅が広がります。何よりもまず、国がん東病院の担当医のことをみなさんに良く知ってもらい、より身近に感じていただきたい。そのうえで、がん治療の先々に不安を抱えていらっしゃる方には、この連載が「がん相談外来」を受診する一つのきっかけになればと思っています。

鶴岡市立荘内病院 院長 鈴木 聡