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国立がん研究センター 東病院

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荘内病院×国立がん研究センター東病院 医療連載「つながる医療 がん治最前線」第4回 頭頸部がんをより良く治すには

2021年8月28日
国立がん研究センター東病院 頭頸部外科 科長 松浦 一登

脳と目を除いた首から上すべての領域にできるがんを頭頸部(とうけいぶ)がんと言います。頭頸部がんは、できた部位によって鼻腔・副鼻腔がん、口腔がん(舌がんを含みます)、喉頭がん、唾液腺がん、咽頭がん、甲状腺がん、頸部の食道がんなどに分けられます。(図1)

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頭頸部領域とは(図1)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会HP(外部サイトにリンクします)より引用

これらのがんに対して、健康診断や人間ドックでは検査項目に入っていません。初期段階では自覚症状に乏しく、見落とされやすい傾向にあります。チェックリスト(表1)をご覧になり、どれか1つでも当てはまる項目や気になる項目がある場合は、ためらわずに耳鼻咽喉科・頭頸部外科を受診してください。

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セルフチェックリスト(表1)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会HP(外部サイトにリンクします)より引用

この領域には飲むこと、食べること、話すことなど生活を営む上で非常に大切な機能が集まっているので、治療においては生命予後の向上のみならず、治療後のQOL(Quality of lif:生活の質)を如何に保つかが重要です。

当科は開院以来、「機能温存」を旗印に治療の開発を行って参りました。代表的な術式として、放射線療法後の再発声門癌に対する喉頭部分切除術や、下咽頭がんに対する喉頭温存・喉頭下咽頭部分切除術が挙げられます。また、下口唇や下顎骨を割らずに口腔咽頭がんの切除を行うことや、保存的頸部郭清術も開発してきました。こうした努力により、喉頭・下咽頭がんに対する根治手術では、他施設に比して音声が温存される症例が多くあります。近年、早期の咽喉頭がんに対しては内視鏡を利用した経口的切除症例が増加しており、体への負担の少ない低侵襲手術が定着しています。また、甲状腺がんに対しても内視鏡手術を導入し、症例に応じて「首に傷をつけない」手術を行っています。

新たに導入した治療としてイルミノックス療法(光免疫療法)があります。本治療は2020年末に保険収載され、指定された国内施設において世界に先駆けて治療できるようになりました。当科は本治療におけるトップランナーですが、荘内病院においてもその適応の是非について相談いただくことが可能です。

また世界最速で高齢社会に突入し、75歳以上の後期高齢頭頸部がん患者も増加しています。身体的、精神的、社会的にハンディキャップを背負っている方も少なくなく、診療における大きな課題となっています。こうした方々に適切な治療を提供するため、高齢者機能評価の開発研究も進めています。

頭頸部がん治療は手術技術の向上、放射線治療の技術革新、薬物療法の開発とともに、治療完遂のための支持療法の重要性も認識され、新しいチーム医療の時代に入ってきました。当科は頭頸部がん治療に対する陣容を整えておりますが、東病院・荘内病院医療連携を基に山形の皆様方にも新しいがん遠隔医療診療を提供できればと思います。

執筆者

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  • 松浦一登(まつうら・かずと)
  • 1990年東北大学医学部卒。東北大学耳鼻咽喉科に入局し、国立がん研究センター東病院頭頸科、宮城県立がんセンター副院長を経て、2019年より現職。