コンテンツにジャンプ

トップページ > NEWS > 2021年度 > 中心静脈カテーテル抜去後の空気塞栓症の発生事例について

中心静脈カテーテル抜去後の空気塞栓症の発生事例について

2021年4月30日

この度、当院入院患者様において標記の事例が発生しましたことを報告申し上げます。

2021年4月8日夜、当院入院患者様に留置されていた中心静脈カテーテルを抜去したところ、約10分後に患者様の意識レベルが低下し、ただちに当院が連携している脳血管外科専門医のいる病院に画像コンサルトを行った上で転院しましたが、患者様の左半身及び右上肢に麻痺が残ってしまう事例が発生しました。

転院先の専門医の考察を踏まえ、検査結果等を検討したところ、中心静脈カテーテルの抜去に伴う空気塞栓症により脳梗塞を発症し身体に麻痺が生じた可能性が極めて高いと判断しました。

本事例は、患者様の発熱の原因を探るため、夜間帯に中心静脈カテーテルの抜去を行いましたが、抜去に際しては介助者を付けることなく医師一人で実施したことにより安全な手順が実施できなかったことや中心静脈カテーテル抜去に伴う空気塞栓症の危険性の認識不足により、招いたものと判断しております。患者様並びにご家族の皆様に心からお詫び申し上げますとともに、これからも誠心誠意、治療を継続させていただきます。

本事例を受けて、当院の全ての医師に対し、中心静脈カテーテルの抜去時の空気塞栓症の危険性を十分認識させるため適切な抜去法の再教育を直ちに実施するとともに、危険性のある処置を行う時には必ず介助者が入るよう看護師をはじめ全ての医療従事者に指示したところであります。

がん治療の最高峰を目指す施設として、再び信頼を損ねる事がないよう、本事例の重大さを真摯に受け止め、病院を挙げて再発防止の徹底並びに医療安全対策に努めてまいります。

国立がん研究センター東病院
院長 大津 敦

更新日:2021年4月30日