トップページ > 研究組織一覧 > 分野・独立ユニットグループ > 生物情報学分野 > コラム

生物情報学分野コラム

コラム 1:バイオインフォマティクスとは?

ちょっと古いですが、研究室主宰者が2015 年にまとめた「バイオインフォマティクス とは?」もご参考に。動画も公開されているようです(動画 サイト:外部 ICR臨床研究入門 https://www.icrweb.jp/course/view.php?id=278 へリンクします)。

コラム 2:バイオインフォマティクス専門家の不足

産業界に、バイオインフォマティクスを専門とするポジションがあまりないことが問題だと考えています。産業界に無ければ、学生も志望しませんし、専門知識をせっかく取得しても別の出口に出ざるをえません。産業界にポジションがないことの不利益は、機会損失という見えにくい形で現れると考えています。研究室主宰者はそれをがんゲノム医療実現・実践の過程で、いくつか経験してきました。たとえば、バイオインフォマティクスの技術開発が国内では出来ないから、海外に頼る、あるいは初めから諦めて、海外のものを輸入するだけにする、という機会損失の形です。これはあたかも、国内に自動車の開発能力が無いから、自動車は輸入だけする、という形態に近いと思います。最近新しく登場してきたがんゲノム医療が、生物情報学者のアカデミア(学術界)からインダストリ(産業界)への流れを作る千載一遇のチャンスだと考えています。

コラム 3:臨床実用の視点

臨床実用の視点を常に念頭に置いておくことは意味があります。それによって基礎研究でさえ、新たな視点で生まれ変わることがあるからです。たとえば当研究室が作ったcisCall やtugHall といったソフトウェアはその様な視点で開発・適用され(研究プロジェクト)、従来とは違った価値が与えられたものです。このように臨床応用を常に意識したバイオインフォマティクスの研究室は―そもそも日本ではバイオインフォマティクスの研究室自体が少ないのですが―、本邦では珍しいと思います。

コラム 4:新しい技術

最新の実験技術や情報解析技術は時代と共に変わります。研究室主宰者は、西暦2000 年辺りのキャリアから様々な実験技術や解析技術の栄枯盛衰を見てきました。たとえば執筆時点で流行っている技術は、実験技術ではロングリード・シークエンサー、解析技術では深層学習でしょうか。技術呼称を広い意味で取るか狭い意味で取るかにもよりますが、生き残る技術は少ないです。望遠鏡の登場によって地動説が確立されニュートン力学へとつながっていき、顕微鏡の登場によって細菌が発見され感染症病原体が確立されたように、新しい技術は新しい視野を与えてくれます。また、流行とそれに伴う職も作ってくれる功もあります。またざっくばらんに言えば、新技術ベースの研究は取っ掛かりやすいです。一方、「技術に乗せられてしまう」罪もあると考えています。経験上、1)目的よりも技術(手段)に惑わされてしまう、2)技術の性能限界を微妙に超えた研究に知らずに足を踏み入れてしまう、といった危険性があります。その2点に留意しながら、最新の実験技術や解析技術をどんどん取り入れていきたいと考えています。