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国立がん研究センター 東病院

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消化管内科 医長 設楽紘平の論文(筆頭著者)がNatureに掲載されました

2022年3月24日
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国立がん研究センター東病院 消化管内科 医長 設楽紘平が筆頭著者の論文が、世界的科学雑誌「Nature」に2022年3月24日(日本時間)付けで掲載されました。

当院では、切除不能胃がん(胃腺がん・胃食道接合部腺がん・食道腺がん)に対して、免疫チェックポイント阻害剤(注1)の一つである抗PD-1抗体ニボルマブと化学療法の併用あるいはニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用を標準的一次化学療法を比較する「CheckMate 649試験」に参加しました。
患者さんが最後に登録されてから1年の時点における解析において、化学療法とニボルマブの併用は、化学療法のみと比較して有意に生存期間を延長したことが報告され、切除不能胃がんの治療薬として2021年11月に国内で承認されました(注2)。
今回さらに、1年長期に経過を追跡した段階における有効性の解析と、ニボルマブとイピリムマブの併用の有効性について報告しました。

解析の結果、ニボルマブと化学療法の併用は、化学療法単独と比較して、臨床的に意義のある長期生存延長効果と許容可能な安全性を示していることが確認されました。本研究の結果は、前治療歴のない切除不能胃がん患者さんにおける標準的な初回治療として、本治療法を使用することをさらに支持するものと考えられます。

注1:ニボルマブ、イピリムマブ
免疫チェックポイント阻害薬はがんに対する免疫を抑制する物質である免疫チェックポイント分子(PD-1、PD-L1、CTLA-4など)をブロックして、がんに対するリンパ球の免疫を高める薬です。代表であるニボルマブ(一般名:オプジーボ)はPD-1分子をブロックする抗体薬で、悪性黒色腫や非小細胞がんなど様々ながん種に承認されています。イピリムマブ(一般名:ヤーボイ)は、CTLA-4分子をブロックする抗体薬です。

注2:2021年11月25日小野薬品工業株式会社プレスリリース
オプジーボ®点滴静注、二つの効能又は効果並びに用法及び用量の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得(外部サイトにリンクします)

筆頭著者 設楽 紘平からのコメント

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「胃癌に対するニボルマブと化学療法との併用はすでに本邦で承認され、お勧めされる一次治療となっていますが、今回長期経過における有効性を再確認し、PD-L1 CPSやMSIといったバイオマーカーの重要性が示唆されました。ニボルマブとイピリムマブについては十分な生存延長効果を認めませんでしたが、今後の研究につながる重要な結果であると思います。胃癌の標準治療を変えた臨床試験の結果をNature誌に報告できて光栄に思っています」

論文情報

  • 雑誌名: Nature
  • タイトル: Nivolumab plus chemotherapy or ipilimumab in gastroesophageal cancer
  • 著者:Kohei Shitara, Jaffer A. Ajani, Markus Moehler, Marcelo Garrido, Carlos Gallardo, Lin Shen, Kensei Yamaguchi, Lucjan Wyrwicz, Tomasz Skoczylas, Arinilda Campos Bragagnoli, Tianshu Liu, Mustapha Tehfe, Elena Elimova, Ricardo Bruges, Thomas Zander, Sergio de Azevedo, Ruben Kowalyszyn, Roberto Pazo-Cid, Michael Schenker, James M. Cleary, Patricio Yanez, Kynan Feeney, Michalis V Karamouzis, Valerie Poulart, Ming Lei, Hong Xiao, Kaoru Kondo, Mingshun Li, and Yelena Y. Janjigian
  • DOI: 10.1038/s41586-022-04508-4
  • URL: https://www.nature.com/articles/s41586-022-04508-4
  • 掲載日: 2022年3月24日(日本時間)

本試験(CheckMate 649試験)の結果

CheckMate 649試験はBristol Myers SquibbとOno Pharmaceutical Co., Ltdのサポートによる企業主導治験です。国立がん研究センター東病院 消化管内科長の設楽紘平, Jaffer A. Ajani (The University of Texas MD Anderson Cancer Center, Houston, TX, USA), Markus Moehler (Johannes-Gutenberg University Clinic, Mainz, Germany.), Yelena Y. Janjigian (Memorial Sloan Kettering Cancer Center and Weill Cornell Medical College, New York, NY, USA) とBristol Myers Squibbが共同でコンセプトや試験計画を立案し、世界29か国・175施設の協力のもと実施されました。

ポイント1

化学療法と抗PD-1抗体ニボルマブの併用は、化学療法のみと比較して、持続的な生存延長効果を示すことが長期追跡の結果で示されました。

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図1 (左)PD-L1 CPS≧5 集団における生存期間 (右)全体集団における生存期間

ポイント2

化学療法とニボルマブの併用効果は、PD-L1 CPS(注3)が高いと生存効果が高くみられましたが、CPS 10以上ではさらなる効果の向上はみられませんでした。腫瘍縮小効果は、PD-L1 CPSに関わらず、併用群で良好な結果でした。

注3:CPS
がん組織における PD-L1 を発現した腫瘍細胞及び免疫細胞マクロファージ及びリンパ球の数を総腫瘍胞数で除し、100 を乗じた数値です。

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図2 (上)生存期間 (下)奏効割合

ポイント3

ニボルマブとイピリムマブの併用については、有意な生存延長効果が示されませんでした。

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図3 (左)PD-L1 CPS≧5 集団における生存期間 (右)全体集団における生存期間

 

上記の詳細は、掲載論文(外部サイトにリンクします)をご覧ください。