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中咽頭・下咽頭・喉頭、口腔を原発とする頭頸部がん
標準治療はステージにより異なります。進行症例では切除可能性や喉頭温存希望の有無により治療方針を分けます(図2)。
切除可能で喉頭温存機能がない場合
術後病理で高リスク因子(断端陽性、節外浸潤)を有する場合、術後補助療法としてシスプラチン+放射線治療を行います。JCOGの比較試験では、3週に一回シスプラチン(100mg/m2)を投与の方と比較して、週1回のシスプラチン(40mg/m2)投与の方が毒性が軽く、生存も非劣性(劣っていない)であることが示されています(Kiyota N et al., J Clin Oncol. 2022)。
当院での治療
再発高リスク因子がある場合、術後補助療法として週1回シスプラチン+放射線治療を行っています。
切除可能かつ喉頭温存希望の場合
導入化学療法+化学放射線療法が選択肢です。TPF療法は有効性が高いものの毒性も強く、当院では実施せず、シスプラチン+放射線治療を選択しています。
当院での治療
喉頭温存希望例では、外科切除も含め治療選択肢を検討し、患者の希望と晩期毒性を考慮して治療方針を決定します。
根治切除不能な場合
化学放射線療法または導入化学療法+化学放射線療法を行います。多施設で実施した臨床試験ではPCE療法が他レジメンに比べて毒性が軽く、2年無再発生存率55.1%、全生存率83.5%が報告されています(Enokida T et al., Cancer Med. 2020)。
当院での治療
通常は、シスプラチン+放射線治療を実施しますが、遠隔転移リスクが高い患者(頸部リンパ節が多発、6cm以上のリンパ節転移)に対しPCEを導入化学療法として選択しています。
化学放射線療法の問題点
急性期毒性(骨髄抑制、粘膜炎、口腔乾燥)と晩期毒性(誤嚥性肺炎など)に注意が必要で、支持療法が重要です(図3)。

当院での対応
2001年から予防的胃瘻造設を実施しており、口腔ケア、疼痛管理、栄養管理の体制を整えています。重篤な晩期毒性に対しては歯科や放射線治療科と連携しています。