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再発・転移を有する頭頸部扁平上皮がん

ステージ3以上の局所進行頭頸部扁平上皮がんは、外科切除あるいは化学放射線療法などの根治を目指す治療を行っても、約50%は再発・転移をきたします(図9)。

再発・転移を有する頭頸部扁平上皮がん

再発・転移巣が、切除可能であれば救済手術が検討されますが、切除不能なことも多く、また、救済手術後に根治切除不能な再発をきたすことも多いです。根治切除不能になった場合は薬物療法が検討されます。
再発・転移に対する代表的薬剤(キードラッグ)が、シスプラチンなどのプラチナ製剤であったことから、プラチナ感受性ある場合は、一次治療として、プラチナ抵抗性である場合は、二次治療として、薬物療法の開発が行われてきました。
臨床試験の結果、頭頸部扁平上皮がんにも免疫チェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブ、ニボルマブが使用可能です。
人の体には、外部からの異物やがん細胞を認識して、これを排除しようとする免疫機能が備わっています。がん細胞の表面上にはがん細胞に特有のタンパク質(がん抗原)があり、がん抗原を認識したリンパ球が活性化することで、同じがん抗原を持つがん細胞を選択的に攻撃するようになります。がん患者さんの体の中では免疫機能がさまざまな要因によって抑制され、十分に働かないことがわかっています。その要因の一つに、PD-1という免疫機能の低下に関係するタンパク質が知られています。PD-1は、がん細胞の表面上にあるPD-Lというタンパク質と結合すると、リンパ球の働きを低下させ、リンパ球ががん細胞を攻撃できない状況になります。
ペムブロリズマブ、ニボルマブともにPD-1と特異的に結合するタンパク質(抗体)です。これらの薬剤がPD-1と結合することによって、PD-1がPD-Lと結合することを防ぎます。これにより、これらの薬剤はリンパ球の働きが低下することを防ぎ、リンパ球はがん細胞を攻撃することができます。そのため、がんを小さくする効果を示すと考えられています。
CPSは、腫瘍のみならず、腫瘍周囲のリンパ球、マクロファージなどの免疫細胞のPD-L1発現も評価したものです。ペムブロリズマブは、CPS 1以上の患者に、よりベネフィットが大きいことが示されており、再発・転移頭頸部扁平上皮がんの一次治療としてペムブロリズマブ±PF療法の位置づけが、各ガイドラインが公表されています(図10)。

再発・転移を有する頭頸部扁平上皮がん 2

二次治療以降の薬物療法には限りがあります(図11)。利用可能な薬物療法が全て効果なくなった場合は、基本的に緩和ケアに移行します。

再発・転移を有する頭頸部扁平上皮がん 3

当院での治療

当院におけるプラチナ感受性の再発・転移の一次治療は、ペムブロリズマブ単剤、ペムブロリズマブ+カルボプラチンあるいはシスプラチン+5FU併用療法、タキソール+カルボプラチン+セツキシマブ併用療法(PCE)が治療選択肢になります。治療を決めるために、まず腫瘍検体のCPSを測定しますが、治療を急ぐ場合は結果を待たずに治療を開始することもあります。急速増大、腫瘍に起因する症状の有無、合併症、臓器機能障害、患者の好みを加味した上で治療を決定します(図12)。ニボルマブは、プラチナ感受性のない二次治療として、使用可能です。ニボルマブは、PD-L1の発現の有無にかかわらず生存のベネフィットを示したことから、PD-L1の発現を精査することなく、使用することもあります。

再発・転移を有する頭頸部扁平上皮がん 4

一次治療が効果なくなった場合は、二次治療の適応を検討します。一次治療がペムブロリズマブ単剤の場合は、PCEまたはタキソール+セツキシマブ併用療法のいずれかを二次治療として検討します。カルボプラチンを併用するかは患者さんのプラチナ治療歴と全身状態を考慮して決めます。一次治療がペムブロリズマブ+カルボプラチンあるいはシスプラチン+5FU併用療法の場合には、タキソール+セツキシマブ併用療法を検討します。
免疫チェックポイント阻害薬後に、タキソール+セツキシマブを含んだ治療を行うことで、良好な治療成績が得られています(図13)。
利用可能な薬物療法が全て効果なくなった場合は、基本的に緩和ケアに移行します。ただし、全身状態・臓器機能が良好であり、新薬の治験参加を希望する場合は、治験参加を検討します。

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更新日:2023年11月29日