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再発・転移唾液腺がん
唾液腺がんは組織型により治療方針が大きく異なります。アンドロゲン受容体(AR)やHER2の発現、NTRK融合遺伝子などのバイオマーカーの有無を確認した上で、治療方針を検討しています(図5)
当院での治療
腺様嚢胞がん(ACC)は、症状や腫瘍の増大が認められない場合には経過観察が選択されることがあります。急速な腫瘍増大や症状を伴う場合には、殺細胞性抗がん薬の使用が検討されますが、標準化された治療法は確立されていません。治療選択の一環として、がん遺伝子パネル検査を実施することもありますが、治療標的となる遺伝子異常の検出率は高くありません。
非腺様嚢胞がん(Non-ACC)では、臨床的判断によりARおよびHER2の免疫染色を行い、以下のような治療を選択する場合があります:
- HER2陽性:ドセタキセル+トラスツズマブの併用療法
- AR陽性:アンドロゲン受容体阻害薬+LH-RHアナログによるホルモン療法
- NTRK融合遺伝子陽性:TRK阻害薬(ラロトレクチニブまたはエヌトレクチニブ)
- MSI high/TMB high(非常に稀):ペムブロリズマブによる治療
注意:治療方針は、患者さんの状態と希望を踏まえて、担当医が総合的に判断します。