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ルタテラについて
ルタテラ
薬剤の正式名称は「ルテチウム オキソドトレオチド」ですが、商品名であるルタテラと呼ばれることが多いため、本ページではルタテラと表記します
目次
- ルタテラについて
- ルタテラの対象となる患者さん
- 治療の流れ
- ルタテラの治療病室について
- ルタテラによる副作用
- 投与後の生活について
- ルタテラの有効性について
- 国立がん研究センター東病院でのルタテラの診療について
ソマトスタチン受容体について
人間の身体のなかには、生命を維持していくための環境のバランスを保つために様々なホルモンが存在しています。ソマトスタチンとは、もともと脳の一部(視床下部)や膵臓などから分泌されるホルモンの一種です。このソマトスタチンはソマトスタチン受容体というタンパク質と結合することで作用し、主に他のホルモンの働きにブレーキをかける作用があります。
このソマトスタチン受容体は、神経内分泌腫瘍の細胞の表面に高い頻度で異常に多く発現していることが知られています。ソマトスタチンが腫瘍細胞上のソマトスタチン受容体に結合すると、腫瘍細胞の増殖を抑える働きがあることが分かっていましたが、ソマトスタチンは生体内ですぐに分解されてしまうために効果を失ってしまう特徴があります。そこで、より長く効果が持続するソマトスタチンによく似た人工タンパク質であるソマトスタチンアナログが開発されるようになり、神経内分泌腫瘍による症状や、腫瘍の進行を遅らせるために用いられてきました。
ルタテラのしくみ
ルタテラは、ソマトスタチンアナログにルテチウム-177が結合した薬品であり、点滴によって投与されるとソマトスタチン受容体に結合することでルテチウム-177が腫瘍に取り込まれます。ルテチウム-177は放射性同位元素と呼ばれ、放射線を放出することで、腫瘍細胞の増殖を抑え、腫瘍が大きくなるのを抑えます。

放射線と聞くと、被ばくなどの危険なイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし、ルタテラに用いられるルテチウム-177が放出する放射線の多くは治療に有用なβ線(ベータ線)であり、体内では最大2.2mm程度(平均1mm未満)の範囲しか届かないという特徴があります。このため、腫瘍に取り込まれたルテチウム-177が放出するβ線は、腫瘍細胞を攻撃すると同時に、腫瘍の周りの正常細胞に与えるダメージが少ない利点があります。さらに、ルテチウム-177は一部でγ線(ガンマ線)という種類の放射線も放出するため、腫瘍に集まった薬剤を画像で描出することができる利点もあります。また、ルタテラが体内に投与されると大半が尿によって速やかに排泄されるため、大半の患者さんは投与の翌日には身体から放出される放射線量が定められた基準値よりも低下し、退院して日常生活を過ごして頂くことが可能となります。