コンテンツにジャンプ

トップページ > 診療科・共通部門 > 外科系 > 呼吸器外科 > 肺がんと手術について > 術後合併症について

術後合併症について

肺がんの手術に特徴的な合併症について、以下に示します。

痛み

術後、創部が完全に閉鎖するまでは疼痛(とうつう)が持続します。痛みの種類は創部、または肋間神経による痛みがあります。肋間神経痛は手術後しばらくしてから現れることもあり、天候の悪い日や季節の変わり目などに痛みが強くなる場合があります。また長期にわたって神経痛が残ることもありますが、日常生活をする上では特に支障が無い程度であることが大半です。

肺瘻(ろう)

肺を切った場所から空気が漏れることで全ての合併症の中で最も頻度が高いです。特に喫煙の影響で肺がもろくなっている患者さんに起こりやすいです。自然閉鎖、もしくは胸膜癒着術(きょうまくゆちゃくじゅつ:薬を用いて空気漏れをとめる)により治癒することが多いですが、稀に再手術が必要になる場合があります。

肺炎

術後は痰が増加し、また免疫が一時的に低下します。そのため、肺炎が起こりやすく、場合によっては重症化する可能性があるため、予防のための離床が重要となります。肺炎が起こった場合は、抗生剤で治療をすることが多いです。

気管支断端瘻(きかんしだんたんろう)

手術イラスト

一般的な肺切除の場合、気管支を切断します。自動縫合器もしくは針で空気が漏れないように縫合しますが、術後に気管支断端(気管支を切ったところ)から空気が漏れることがあります。非常に稀ではありますが、最も重篤な合併症の一つであり、入院期間が数か月になることがあります。

膿胸(のうきょう)

胸腔(きょうくう)内に膿がたまる病気です。胸腔内は無菌状態ですが、気管支断端瘻や肺瘻、肺の外側で細菌感染が起こって化膿したりすると、膿がたまり熱がでます。治すには胸腔内から膿をだし無菌状態にする必要があり、治療・回復に長期間かかったり、再手術が必要になることもあります。

肺塞栓

術中や術後しばらくは動かないために血流が悪くなり、足の静脈の血液が固まって血栓が生じやすくなります。その血栓が血管から剥がれることにより血流に乗って肺動脈に到達し、肺動脈に詰まると肺塞栓(いわゆるエコノミークラス症候群)となります。突然呼吸困難などの症状が出現し、発生頻度は低い合併症ですが、発生すると命に関わる病気です。

嗄声(させい)

声のかすれを指します。声帯をコントロールしている反回神経の麻痺によって起こります。特に、左の肺の手術をしたときに生じやすい合併症で、ひどくなると誤嚥(むせること)が生じる事もあります。数ヶ月は持続することが多く、時間が経ってもかすれたままの場合もあります。

更新日:2020年6月22日