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足元確認システム“フットサイトモニター”の開発秘話
医療現場の現状・課題
医療機関の手術現場では多種多様の電気デバイス(電気メス、超音波凝固切開装置など)が使用されています。各デバイスは手術ベッド下に置かれるフットスイッチを足で操作してON/OFF動作されます。その結果、医師の足元(手術ベッド下)には多種多様のデバイスに対応する多種多様のフットスイッチが置かれることになり、医師は各スイッチをデバイスごとに認識して踏み分けなければなりません。このスイッチの踏み分け時にはスイッチを視認する必要があり、医師は術野(内視鏡手術の場合には内視鏡モニター)から目を離すことになります。とくに覆布に隠れている足元(手術ベッド下)を見るために身体を動かさなくてはならない場合には手術に用いる器具(鉗子)の先端がブレてしまいます。このように足元に置かれる多種多様のフットスイッチの踏み分けは、医師にとって円滑な手技動作の妨げとなるので課題でした。
内視鏡モニターから目が離せない医師
足元に置かれる多種多様なフットスイッチ
医師の提案(医療現場ニーズ)
上記課題解決のために、医師からフットスイッチ切替デバイス(デバイスセレクター)が提案されました。デバイスセレクターは各エネルギーデバイスに接続されフットスイッチを1つに集約するものです。デバイスセレクターを用いれば、医師はリモコン操作によりエネルギーデバイスを選択して1つのフットモニターで操作できます。
しかしながら、各エネルギーデバイスが異なる企業により製造販売されるので規格・仕様などの点で一括に集約することは困難でした。また、薬機法上の観点からも、デバイスセレクターの開発は困難なものでした。
医師からの提案(要望)「デバイスセレクター」
発想の転換
林栄精器株式会社の開発者は「医師が術野から目を離さずに円滑な手技動作を維持する」という臨床ニーズの本質に着目して、「足元のスイッチを1つに集約して操作を容易にする」デバイスセレクターの発想を「足元のスイッチを術野近傍に映せばよいのでは?」という発想に転換しました。この新たなる「医師が術野から目を離さない」ことに着目した着想に基づいて、足元確認システムが提案されました。
「医師が術野から目を離さない」ことに着目した開発者のアイデア(イメージ)
開発・製品化プロセス
国立がん研究センターと林栄精器株式会社との間での共同研究契約を締結して、共同研究開発を開始しました。
林栄精器株式会社が試作機を製作して、試作機を試用した国立がん研究センター東病院の医師の意見を収集しました。この試用は、手術トレーニング器具とノートパソコンとハンディビデオカメラから構成される簡便な試作機が用いて行われました。その結果、「足元が見える」ことの優位性が確認されるとともに、サイズ、配線、モニター画面(足元)の暗さ等に関する問題点が指摘されました。このような結果に基づき改良を重ねて、以下の通り、足元確認システム“フットサイトモニター”が製品化されました。
足元確認システム試作初号
足元確認システム“フットサイトモニター”
- 内視鏡モニタ横に配置できるので、ほぼ同一視野下で手術を行うことができ円滑な手技動作を維持できます。
- スタンドタイプの照明にフットスイッチ撮像用カメラを組み込み一体化したので、暗い足元を明るくモニタ表示できます。
- その他、フットスイッチとの電気接続がないのでエネルギーデバイスのメーカーを問わず使用でき、100Vで動作できます。
- 商標登録済み、特許出願済み。
- 製品詳細(販売会社:ハヤシレピック株式会社)はこちらをご確認ください。(外部サイトにリンクします)
足元確認システム”フットサイトモニター”
同一視野下の内視鏡モニターと”フットサイトモニター”
明るい足元