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国立がん研究センター 東病院

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がん患者さんへの新型コロナワクチン接種Q & A

最終更新日:2022年9月30日

1.がん患者さんや、がんサバイバーは新型コロナワクチンを接種すべきですか?

  1. がん患者さんは、新型コロナウイルス感染症に罹患しやすいことや、重症化しやすいことが示されています。 -特に治療中や治療後数年以内のがん患者さん、血液がんや肺がん患者さんなど。
  2. がん患者さんにおけるワクチン効果は低いことが知られています。 -米国におけるがん患者のワクチン効果(注1)は固形がんで66%、血液がんで19%という報告がありますが、mRNAワクチンに限定した研究では固形がんで79%、血液がんで74%という報告もあります。(参考 [外部サイトにリンクします])
    -9月よりオミクロン株に対応した2価ワクチン(従来株とオミクロン株系統のそれぞれのスパイクタンパク質の設計図となるmRNAを有効成分として含んだワクチン)の接種が開始されますが、従来のワクチンよりBA.5をはじめとした変異株への効果が高いことが示されています。(参考 [外部サイトにリンクします] がん患者さんを対象とした研究ではありません。)
  3. がん患者さんにおける副反応のデータも限られていますが、現在までのところがん患者さんに特有の副反応は報告されていません。 -mRNAワクチン接種後はわきのリンパ節が腫脹することがあり、CTなどの画像検査によるがんの病勢評価の前の接種には注意が必要です。

以上から、がん患者さんやがんサバイバーは新型コロナワクチンの接種が推奨されています。接種する場合はワクチン効果が高いmRNAワクチンが推奨されます。

しかし、健康な人より効果が劣ることが懸念されるため、接種後も屋内や人ごみでのマスクの着用や手洗い、換気をしっかりと行うなどの感染対策の継続が必要です。

ワクチン2回もしくは3回接種後5か月(今後追加接種までの期間が前回の接種から3か月以降へと変更されることが検討されています。)を経過した患者さんもmRNAワクチンの追加接種をお勧めします。(抗がん剤治療中、もしくは治療後間もない患者さんは接種時期を担当の先生にご相談ください。)

注1:ワクチン効果:ワクチン未接種のがん患者さん1万人が研究期間中に100人COVID-19に罹患し、ワクチンを2回接種したがん患者さんでは1万人中10人罹患した場合のワクチン効果は90%となります。(100人罹患するところ、90人の罹患を予防したという意味。)

2.ワクチンを接種してはいけないがん患者さんはいますか?

ワクチンの成分に重度のアレルギー(アナフィラキシーなど)がある場合は接種できません。また、接種当日に体調が悪い方も接種できません。
これ以外には接種していけない条件というものはありませんが、現在受けている治療の内容によってはワクチンの効果が弱まってしまう場合等があります。詳しくは以下の3、4をご参照ください。

3.がん治療中の場合接種できますか?

がん治療中の患者さんにおける最適な接種時期はまだ分かっていません。一般的な抗がん剤治療中や放射線治療中の場合は接種できるときに接種することが望ましいと考えられます。しかし白血球が減少するような治療を受けている場合は、白血球数が回復してからの接種が勧められます。また、抗CD20抗体(リツキシマブやオビヌツズマブなど)治療後半年以内はワクチンの効果が乏しいことが示されています。

同様にその他にもワクチンの効果の減弱が懸念される治療(ブルトンキナーゼ阻害剤やBCL-2阻害剤など)もありますので、抗がん剤治療中の患者さんは、接種時期について担当医にご相談ください。(受診が数ヶ月に1回のように安定されているがん患者さんのほとんどは、担当医にご相談せずとも接種可能なときの接種で良いと考えられます。)

造血幹細胞移植患者さんやCAR-T療法後の患者さんも具体的な接種時期は担当医とご相談ください。

表 血液がんへの治療がワクチンの抗体産生に与える影響(メタ解析)

  研究対象患者数 抗体産生できた人の割合
抗がん剤治療中 1228 35%
抗がん剤非治療中 1034 76%
1年以内の抗CD20抗体治療 321 15%
抗CD20抗体治療1年以降 388 59%
ブルトンキナーゼ阻害剤 636 23%
BCL-2阻害剤 155 26%

参考(外部サイトにリンクします)

4.手術を予定している場合の推奨される接種時期は?

以下は日本麻酔科学会の推奨となります。(参考外部サイトにリンクし、pdfが開きます。

コロナワクチン接種後の手術時期

14日開けることが推奨されていますが、急ぐ場合は、ワクチン接種後の副反応が落ち着いていれば、接種後3日目(48時間経過後)に手術は可能とされています。(ただし、ワクチンによる抗体産生効果が低下するリスクあり。)

手術後のコロナワクチン接種時期

手術後の免疫機能の回復に1-2週間要することから、2週間あけることが推奨されています。

5.ワクチン接種後に抗体価を測定すべきですか?

現在のところワクチン接種後の抗体価とワクチン効果の関連性は未解明であり、研究目的以外での測定は推奨されていません

6.新型コロナウイルス感染症にかかった患者さんや抗体薬治療後の患者さんへの接種は?

新型コロナウイルス感染症にかかった患者さんもワクチン接種が推奨されています。最低限、感染隔離解除基準を満たしてからの接種が推奨されます。厚生労働省のホームページでは感染3ヶ月後に接種することを一つの目安としていますが、感染流行期などは必ずしもこの期間を空ける必要性もないことも記載しています。
抗体治療後も特定の間隔をあける必要はないとされています。しかし米国ではエバシェルド®︎(チキサゲビマブ及びシルガビマブ)の投与後は2週間の間隔をあけることが推奨されています。(参考:厚生労働省[外部サイトにリンクします]NIH [アメリカ国立衛生研究所のホームページにリンクし、PDFが開きます]

7.エバシェルド®︎(チキサゲビマブ及びシルガビマブ)について

2022年8月に新しい予防薬として中和抗体薬が承認されました。ワクチンに対して十分な効果を示すことができない患者さんにおいて感染予防効果が期待されていますが、がん患者さんに対する十分なデータはまだありません。米国ではワクチン接種後に投与する場合は最低2週間の間隔を開けることが推奨されています。エバシェルドにはmRNAワクチンなどにも含まれる成分(ポリソルベート)が含まれており、mRNAワクチンへの重篤なアレルギーがある方がエバシェルド®投与を受ける場合には担当医とよくご相談ください。[参考 CDCのホームページ]

2022年9月の時点では、12歳以上のワクチンによる予防効果が期待しづらい、以下のような患者さんが投与の対象となっています。(詳しくは担当医へご相談ください。)

  • 抗体産生不全あるいは複合免疫不全を呈する原発性免疫不全症の患者
  • B細胞枯渇療法(リツキシマブ等)を受けてから1年以内の患者
  • ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬を投与されている患者
  • キメラ抗原受容体T細胞レシピエント
  • 慢性移植片対宿主病を患っている,又は別の適応症のために免疫抑制薬を服用している造血細胞移植後のレシピエント
  • 積極的な治療を受けている血液悪性がんの患者
  • 肺移植レシピエント
  • 固形臓器移植(肺移植以外)を受けてから1年以内の患者
  • 急性拒絶反応でT細胞又はB細胞枯渇剤による治療を最近受けた固形臓器移植レシピエント
  • CD4Tリンパ球細胞数が50cells/μl未満の未治療のHIV患者

8.患者さんの家族はワクチンを接種すべきですか?

がん患者さんのワクチン効果が低い可能性が懸念されています。このため患者さんの周りの人(家族や介護者、医療従事者など)がワクチンを接種して新型コロナウイルス感染症にかからないように注意し、間接的に患者さんを守ることが推奨されています。3回目もしくは4回目の接種も推奨されます。

9.がん患者さんは3回目・4回目の接種(追加接種)が必要ですか?

現在1、2回目のワクチン接種をした18歳以上の全ての方にmRNAワクチンの3回目・4回目接種(追加接種)が望ましいとされています。特に接種が推奨される対象にがん患者さんを含む基礎疾患を有する方が含まれています。なお、1、2回目と3回目、4回目のmRNAワクチンは異なる会社のものでも問題ありません。

ファイザー/ビオンテック社製の場合は12歳以上、モデルナ社製では18歳以上のがん患者を含む免疫不全者への接種が可能です。

10.その他のワクチンとの接種間隔について

インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチン、帯状疱疹ワクチンを接種する際には新型コロナワクチンと2週間の間隔をとることが推奨されています。ただし、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンはこの間隔は不要で、同時接種も可能です。(参考 厚生労働省 [外部サイトへリンクします]

 参考資料

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