コンテンツにジャンプ
国立がん研究センター 東病院

トップページ > 共通部門のご案内 > 医療安全管理部門 > 感染制御室 > 新型コロナウイルス感染症について > 新型コロナウイルスワクチンについて

新型コロナウイルスワクチンについて

がん患者さんへの新型コロナワクチンについて

お知らせ 2021年5月13日「当院通院中のがん患者さんへの新型コロナワクチンについて」

 

がん患者さんへの新型コロナワクチンの接種は国内外で推奨されています。(がん患者さんへの新型コロナワクチン接種Q & Aの1をご参照ください。) 本内容は2022年2月7日時点の内容となります。

  • ワクチン未接種のがん患者さんはmRNAワクチンを接種されることをお勧めします。(抗がん剤治療中、もしくは治療後間もない患者さんは接種時期を担当の先生にご相談ください。)
  • ワクチン2回接種後6か月を経過した患者さんもmRNAワクチンの接種をお勧めします。(抗がん剤治療中、もしくは治療後間もない患者さんは接種時期を担当の先生にご相談ください。)
  • がん患者さん(特に血液腫瘍患者さん)は健常人と比較するとワクチンの効果が弱いことが知られていますが、重症化予防などの効果が期待されます。
  • がん患者さんへのワクチン接種において、副反応の増加は見られていません。
  • がん患者さんのご家族など周囲の方がワクチンを接種することで間接的に、ワクチン効果の弱いがん患者さんを守ることができる可能性があり、お勧めします。

がん患者さんもワクチン接種による抗体産生が可能

がん患者さんが新型コロナウイルスに罹患した場合、92%の症例で抗体を産生できていることが示されています。固形腫瘍患者さんは94%、血液腫瘍患者さんは82%と、血液腫瘍患者さんの方がやや割合は低く報告されています(参考文献1)。2回のmRNAワクチンを接種したがん患者さんでも94%と同程度の割合で抗体を産生できることが示されており、固形腫瘍患者さんで98%、血液腫瘍患者さんで77%でした。(参考文献2)

しかし、がん患者さんにワクチンを2回接種した場合に産生される抗体量は健康な人の4分の1から20分の1程度と報告されています(参考文献3)。また、健康な人よりも抗体価減衰のスピードが速い可能性も指摘されています。(参考文献4)。しかし、免疫不全の患者さんにおいてもワクチン接種は新型コロナウイルス感染症による入院や重症化の割合を下げてくれることが米国の大規模データからも示されており(参考文献5)、接種が推奨されます。

固形腫瘍患者さんは、抗がん剤治療中でもワクチン接種によって産生される抗体量は大きく減少はしないという報告があります(参考文献6)。1年以内の抗がん剤治療(従来から行われてきた殺細胞性抗がん剤治療治療)を受けた場合には産生抗体量が減少するという報告もありますが、その減少幅は小さいものでした(参考文献7)

特に血液腫瘍患者さんへの一部の抗がん剤治療ではワクチンの効果が著しく落ちるものがある

血液腫瘍患者さんが産生できる抗体量は固形腫瘍患者さんよりもさらに低く、特にリツキシマブやオビヌツズマブなどの抗CD20抗体薬を治療で使っている場合に抗体産生量が低く、治療後1年程度は十分な抗体産生ができない可能性が示されています(参考文献3、8)。また、多発性骨髄腫などで用いるプロテアソーム阻害剤や白血病治療で用いるべネトクラクスなど他にもワクチンの抗体産生量を低下させる可能性のある薬剤が複数指摘されています(参考文献8)。同種造血幹細胞移植後も1年以内は抗体産生能力が低下する可能性が指摘されています(参考文献9)

がん患者さんにおいて特に副反応が多いという報告もない

がん患者さんに特有なワクチンの副反応の存在や、副反応の割合が増えるということも報告されていません(参考文献6、10)。免疫チェックポイント阻害剤による治療中は免疫関連有害事象(irAE)が増加することが懸念されましたが、現時点では大きな問題はないだろうと考えられています。(参考文献11)なお、国内の健常人のデータでは副反応の程度とワクチンの効果との間に相関性はないという報告がありますが、(参考文献12)、がん患者さんにおいては副反応が強いと抗体産生能が高くなるという報告もがあります(参考文献7)

がん患者さんは2回のワクチン接種の効果が落ちるのも早い可能性があり、3回目の接種が推奨される

健常人では2回のワクチン接種後4-5か月でワクチン効果が減衰してくることが知られていますが(参考文献13)、上記の通り、がん患者さんではより早く減衰する可能性が指摘されています。このため6か月を過ぎたところでの速やかな3回目のワクチン接種が勧められます。

がん患者さんへの3回目のワクチン接種は抗体価を上昇させるという報告が複数あり、2回目の接種後に十分な抗体産生が得られなかった患者さんや、血液腫瘍患者さんでも効果があったという報告も複数あります。(参考文献14、15)

ワクチン接種後の抗体価が高いがん患者さんほど、多くの変異株に対する抗体価を有するという報告もあります(参考文献16)。また、3回目の接種はオミクロン株に対する抗体価も上昇させることが複数の研究で示されています(参考文献17、18)。(ファイザー/ビオンテック社製ワクチンの3回目接種で、オミクロン株への中和抗体価検出率が固形腫瘍患者さんで37%→90%へ増加、血液腫瘍患者さんで19%→56%へ増加。文献17)

がん患者さんへの1、2回目のワクチンに関し、モデルナ社製のワクチン(mRNA1273)の方がファイザー/ビオンテック社製のワクチン(BNT162b2)より抗体産生能力に優れることが複数の研究で示されています(参考文献7、19)が、3回目の接種でいずれのワクチンの抗体産生能力が優れるのかについては十分なデータはまだありません。このため、2022年2月時点では、接種できるmRANワクチンを早期に接種されることをお勧めいたします。

ご家族などのがん患者さんの周囲の方もワクチンを接種し、間接的にがん患者さんを守ることが推奨される

ワクチンを接種できないお子さんがいる家庭において、両親がワクチンを接種すると子供への新型コロナウイルス感染リスクを大きく減らすという報告があります(参考文献20)。このように、周囲の方がワクチンを接種し、新型コロナウイルス感染症にかからないようにすることで、ワクチンで十分に守られていない方を守ることができると考えられます。がん患者さんはワクチンの効果が弱い可能性があり、ご家族も一緒にワクチンを接種することで、がん患者さんを守ることができる可能性があり、ご家族もワクチン接種が推奨されます。

【参考文献】

  1. Thakkar Aらの報告(Nature Cancer. 2021)(外部サイトにリンクします) 
  2. Addeo Aらの報告(Cancer Cell. 2021)(外部サイトにリンクします)
  3. Barriere J らの報告(Eur J Cancer. 2021)(外部サイトにリンクします)
  4. Grinshpun A らの報告(ESMO Open. 2021)(外部サイトにリンクします)
  5. Sun Jらの報告(JAMA Intern Med. 2022)(外部サイトにリンクします)
  6. Oosting F らの報告(Lancet Oncol. 2021(外部サイトにリンクします) 
  7. Naranbhai Vらの報告(J Clin Oncol. 2022)(外部サイトにリンクします) 
  8. Maneikis K らの報告(Lancet Haematol. 2021)(外部サイトにリンクします) 
  9. Maillard Aらの報告(Blood 2022)(外部サイトにリンクします)
  10. Tran Sらの報告(Eur J Cancer 2021)(外部サイトにリンクします)
  11. Ma Yらの報告(J Immunother Cancer. 2021)(外部サイトにリンクします)
  12. Maeda K らの報告(Sci Rep. 2021)(外部サイトにリンクします)
  13. Chemaitelly Hらの報告(NEJM. 2021)(外部サイトにリンクします)
  14. Fendler Aらの報告(Cancer Cell. 2021)(外部サイトにリンクします)
  15. Shapiro LCらの報告(Cancer. Cell 2022)(外部サイトにリンクします)
  16. Naranbhai Vらの報告(Cancer. Cell 2022)(外部サイトにリンクします)
  17. Fendler Aらの報告(Lancet 2022)(外部サイトにリンクします)
  18. Zengらの報告(Cancer. Cell 2021)(外部サイトにリンクします)
  19. Thakkar Aらの報告(Cancer Cell. 2021)(外部サイトにリンクします)
  20. Hayek Sらの報告(Science 2022)(外部サイトにリンクします)

 

COVID-19_NCCHE.png