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食事の注意点
- がん治療中も栄養や水分を十分に摂取することは重要です。
- 食品を取り扱う際には最低限のルールを遵守しましょう。
- 特に好中球減少期は、食事にも注意しましょう。
がん治療中の体調を維持するためには、栄養や水分を十分に摂取することが重要です。健康な食事とは体に必要な栄養素を含む様々な食品や飲料を摂取することです。(がんと食事のページ参照)
がん薬物療法による白血球減少や、高度に抵抗力を落とすような免疫抑制剤治療中のがん患者さんは、病原微生物に汚染された食事によって感染症にかかるリスクが高まります。このため、特にがん治療中は食品の取り扱いや調理に注意が必要です。(以下の「好中球減少時の食事の注意点)参照)具体的な例として、好中球数が1000立方メートル/μL以下となった場合や好中球減少が原因で化学療法が延期された場合などが挙げられます。また、造血幹細胞移植を受けた場合には好中球数が十分あっても高度な免疫抑制となっている場合もあり、担当医にご相談ください。
しかし、がん患者さんであっても、高度な免疫抑制がない状態であれば、食事内容について過度に心配する必要はないでしょう。そのような場合でも一般的な推奨(以下の「食品を取り扱うためのルール」参照)として、調理の際には手や調理器具を清潔に保ち、食品は安全な温度で保管され、適切な調理方法を用いる必要があります。
参考となるサイト
・米国国立がん研究所 [英語のサイト]
Nutrition During Cancer Treatment
https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/side-effects/nutrition
Eating Hints
https://www.cancer.gov/publications/patient-education/eating-hints

食品を取り扱うためのルール
適切な衛生管理、調理、温度管理が重要
2006年に世界保健機関(WHO)が発表した『食品をより安全にするための5つの鍵マニュアル』では、以下の5項目が挙げられています。(国立保健医療科学院ホームページ:リンク先でPDFが開きます)

1.手や調理器具を清潔に保つ。
- 食品を取り扱う前だけでなく調理中も頻繁に手を洗いましょう。
- 調理器具及び食品と接触する面は洗浄、消毒しましょう。
2.生の食品と加熱済み食品とを分けて保管・調理する。
- 生の肉類や魚介類を他の食材と分けて取り扱いましょう。
- 生の食品を扱う包丁やまな板などの調理器具や台所器具は、加熱済み食品に使用する器具と分けて使用しましょう。

3.食品は十分に加熱する。
- 食品、特に肉類、卵及び魚介類はよく加熱しましょう。

4.細菌が増殖しないよう安全な温度に保つ。
- 調理済み食品は室温に2時間以上放置しないようにしましょう。
- 調理済みの食品及び生鮮食品を保存するときは素早く冷却しましょう。(理想的には5℃以下)
- 冷蔵庫内でも食品を長期間保存しないようにしましょう。
5.安全な水と食材を使用する。
- 安全な水を使用しましょう。
- 新鮮で良質な食品を選びましょう。
- 果物や野菜を、特に生で食べる場合にはよく洗いましょう。
好中球減少時の食事の注意点
がん薬物療法や放射線治療、免疫療法などは免疫システムに影響を与えることがあります。がん治療中には、白血球の一種で、特に感染症から体を守る際に重要な働きをする好中球が正常値より少なくなることがあります。このような好中球減少時には感染症にかかりやすくなり、かかった際には重症化しやすくなる危険性があります。
このため、普段より食事の内容に注意が必要となり、病院では好中球減少患者さん向けの食事が提供されることもあります。しかし、このような食事の感染症予防効果は示されておらず、必要性に関して議論されているところです。現時点において、好中球減少期には以下のような点が推奨されます。
好中球減少時に気をつける点
レストランで食事をしたり、惣菜などの食品の購入には注意が必要です。
- ビュッフェやサラダバーの利用は避けましょう。
- 肉はよく焼いて調理してもらうよう頼みましょう。
- 買い物中の試食・試飲は避けましょう。
- 露天や屋台の食事も避けることが無難です。
避けるべき食品
- 生肉や加熱不足の肉や魚介類、卵
- 肉や魚のパテ(しっかりと加熱調理されていたり、密封された低温殺菌製品は可)
- 燻製のみで火の通っていない肉製品(サラミなど)
- 非殺菌乳製品および非殺菌ジュース
- 洗っていない生の果物や生野菜 (ブロッコリーやカリフラワーのように形状が複雑で十分に水で簡単に洗えない生の農産物は避ける)
- カットフルーツや惣菜の生野菜サラダ(果物や野菜は自宅で洗ってからカットされたものが勧められます。)
- スプラウト(もやし、ブロッコリースプラウト、アルファルファなど)
- 生のナッツ類や種子、ドライフルーツ
- 惣菜として販売されているドレッシングやサルサソース、自家製マヨネーズなど
- 未殺菌の蜂蜜
- 未検査、未煮沸の井戸水や湧き水
- 室温で2時間以上置かれた、腐りやすい食品
- 消費期限切れの食材、惣菜や冷蔵庫で3日以上保存した残り物
- レストランでの調味料は新しいボトルや個包装のものを依頼する
参考となるサイト
・Fred Hutchinson Cancer Centerのホームページ [英語のサイト]
https://www.fredhutch.org/content/dam/www/research/patient-treatment-and-support/ltfu/Diet_for_Immunosuppressed_Patients.pdf (リンク先でPDFが開きます)
https://eatrightnebraska.org/wp-content/uploads/2023/04/Nebraska-4.3.23-Final.pdf
(リンク先でPDFが開きます)
・Memorial Sloan Kettering Cancer Centerのホームページ [英語のサイト]
https://www.mskcc.org/experience/patient-support/nutrition-cancer/diet-plans-cancer/neutropenic-diet
・MD Anderson Cancer Centerのホームページ [英語のサイト]
https://www.mdanderson.org/cancerwise/neutropenic-diets--what-cancer-patients-should-know.h00-159542112.html
・ York and Scarboroug Teaching Hospitals NHS Foundation Trustのホームページ [英語のサイト]
https://www.yorkhospitals.nhs.uk/seecmsfile/?id=7752 (リンク先でPDFが開きます)
https://www.cancer.org.au/cancer-information/causes-and-prevention/sun-safety/about-sunscreen












