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十二指腸の病気と治療について

消化管の1つである小腸は「十二指腸」、「空腸」、「回腸」の3つに分けられます。胃につながっていて最初にある小腸が十二指腸になります。十二指腸にできる腫瘍は胃の内視鏡検査で少し奥まで観察しないと発見しづらいという特徴があり、発生する腫瘍は「十二指腸がん」、「十二指腸GIST(ジスト:消化管間質腫瘍)」、「神経内分泌腫瘍」、「平滑(へいかつ)筋肉腫」、「神経鞘腫(しょうしゅ)」などがあります。
胆管と膵管が十二指腸につながる部位のところは「十二指腸乳頭部(にゅうとうぶ)」と呼ばれます。この部位にできた「がん」は「十二指腸乳頭部がん」といいます。「十二指腸乳頭部がん 」は、「胆道のがん」に分類されますので「胆道の病気と治療について 」をご覧ください。

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症状について

十二指腸にできた腫瘍は多くの場合、無症状です。十二指腸がんでも早期で小さなときは症状がないことがほとんどです。進行して大きな腫瘍になってくると食事が通りにくくなり、腹痛や腹部膨満感(ふくぶぼうまんかん)、悪心・嘔吐などの自覚症状がでることがあります。また食事が通るときに腫瘍と擦(こす)れて少し出血することで、気付かないうちに少しずつ貧血がすすんでいることもあります。胆汁が流れ出る十二指腸乳頭部(にゅうとうぶ)を十二指腸がんが塞(ふさ)いでしまうと黄疸(おうだん)がでることもあります。

診断について

十二指腸の腫瘍に対しては、胃の内視鏡検査により直接観察することが可能で、組織も採取して診断します。その他、CT、MRI、超音波内視鏡検査などの精密検査などを行って他に転移がないかどうかなど詳しく調べます。

十二指腸がんに対する治療について

第一選択となる治療は外科的切除です。切除が根治の可能性(がんが治る可能性のこと)のある唯一の治療法になります。
十二指腸がんも他の消化管がんと同じようにリンパ節に転移する性質がありますので、見つかった十二指腸の原発巣のみを切除するのではなく、原発巣を含めた少し広い範囲のリンパ節も切除する必要があるため、標準術式として「膵頭十二指腸切除術」 という手術を行います。数週間の入院を要し、患者さんの負担が大きな治療となりますが、手術で取り除くことができれば、根治の可能性が高くなります。がんの進行度やお体の状態により手術が不可能と判断される場合は、全身化学療法(抗がん剤)を行います。

進行十二指腸がんへの取り組み

進行十二指腸がんの場合、切除をした後も再発する危険性があります。再発する危険性を少しでも下げ、根治する確率をより高めるために、複数の抗がん剤を組み合わせた「CAPOX(カポックス)療法」という治療(「術後補助化学療法」とも言います)を手術後半年間行う臨床試験を、他施設と協力して行っています。
また、はじめは切除不能と判断された患者さんでも、抗がん剤治療を受けていただいた後、腫瘍が縮小し手術を行うことが出来た方もいらっしゃいます。私たちは進行した十二指腸がんの治療に関しても消化管内科と協力しながら精力的に取り組んでいます。

縮小手術(臓器温存手術)について

十二指腸GIST(消化管間質腫瘍)、内視鏡的切除の難しい早期十二指腸がんといったリンパ節転移頻度のかなり低い悪性腫瘍や、十二指腸腺腫や神経鞘腫といった良性腫瘍に対しては、臓器機能の温存目的に、膵頭十二指腸切除術のような大きい手術ではなく、切除範囲を最小限にとどめた縮小手術も積極的に行っています。
国立がん研究センター東病院ではこういった患者さんに対しては多くの場合、十二指腸の部分的な切除で腫瘍を摘出できています。病変が広範囲に及んでいても「膵温存十二指腸切除」という膵臓や胆管は温存し、十二指腸のみを切除する手術術式も行っています。

私たちは腫瘍の性質を考慮して根治性は損なわないようにしつつ、最大限、患者さんの臓器機能が保たれるような術式を考えながら診療しています。このような病気で治療法、手術術式についてお悩みの方は遠慮なくセカンドオピニオン を受診してください。

受診をご希望の方へ

東病院肝胆膵外科への外来受診についてはこちらをご確認ください。

更新日:2020年8月25日