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神経内分泌腫瘍
目次
1. 神経内分泌腫瘍(しんけいないぶんぴつしゅよう)について
体内には「神経内分泌細胞」と呼ばれる細胞が存在し、様々なホルモンを分泌して生体のバランスを保っています。例えば血糖値のコントロールに重要なホルモンであるインスリンは、膵臓に存在するβ(ベータ)細胞と呼ばれる神経内分泌細胞から分泌され、血糖値を下げる働きを担っています。
神経内分泌腫瘍とは、この神経内分泌系の細胞が似た形への変化(分化)を示す腫瘍で、膵臓のほか、胃や小腸などの消化管や肺などの様々な臓器に発生します。これまで神経内分泌腫瘍は発生臓器ごとに分けて検討されることが多かったのですが、臓器が異なっても様々な特徴を共有することから、近年は神経内分泌腫瘍と総称されています。
神経内分泌腫瘍は一般的に他の悪性腫瘍に比べてゆっくりと進行することが多く、以前は「カルチノイド(がんもどき)」などと呼ばれていました。しかし、実際には腫瘍の分化度(腫瘍の分化の成熟の度合い)や増殖能(腫瘍細胞が分裂し増殖する能力)によって悪性度に幅があり、進行の速さが異なることが分かってきています1。
さらに近年では、神経内分泌腫瘍のなかでも分化度が高く増殖能が比較的低い腫瘍を「NET(ネット:Neuroendocrine tumor)」、分化度が低く増殖能が高い腫瘍を「NEC(ネック:Neuroendocrine carcinoma)」と呼ぶようになり、両者は遺伝子のパターンも病態も異なる疾患であることが明らかになってきました2,3。
図NETの病理組織像(ヘマトキシリン・エオジン染色)
腫瘍細胞が、リボンのようなパターンで配列したり、小さな巣を形成するように集まって(これを胞巣と言います)、増殖しています。
図NETの腫瘍増殖能(Ki-67染色)
腫瘍細胞の増殖能を示すマーカーであるKi-67の染色では、わずかに陽性の細胞(↓)が認められます(全体の1%)。
図NECの病理組織像(ヘマトキシリン・エオジン染色)
濃い核をもつ腫瘍細胞が、壊死物質のなかに散らばるように存在しています。
図 NECの腫瘍増殖能(Ki-67染色)
腫瘍細胞の増殖能を示すマーカーであるKi-67の染色では、陽性の細胞が多数認められます(全体の50%以上)