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国立がん研究センター 東病院

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インフルエンザについて

インフルエンザとは?

インフルエンザウイルスによって発熱、高度な倦怠感、咳、鼻水、頭痛や筋肉痛などの症状が出現する病気です。ここでは冬期に流行する季節性インフルエンザについてご説明します。

抵抗力の落ちた人にとってのインフルエンザはあなどれない 

若い健康な人の場合重症化することは稀ですが、高齢者をはじめとした体の抵抗力の落ちた方の場合には注意が必要です。欧州ではインフルエンザによる死亡者の約9割を高齢者が占めることが示されています。

参考文献

参考:インフルエンザによる死亡割合(米国のデータ(外部サイトにリンクします)

年齢

10万人当たりの死亡割合

85歳以上

43.3人

75歳-84歳

8.7人

65歳-74歳

2.2人

25歳-34歳

0.1人

 がん患者さんは特に危険!

海外の研究では、がん患者がインフルエンザにかかった場合には1割弱の方が亡くなるという報告が複数あります。また、インフルエンザに罹患(りかん)した人のうち、がん患者さんでは死亡した人が3.1倍多かったという過去の研究のまとめ(メタ解析)があります。

参考文献

白血病などの血液がんの治療中や、造血幹(ぞうけつかん)細胞移植治療後の患者さんは、肺炎にかかったり、死亡したりする危険性がより高いことも知られています。

 予防が重要

予防で特に重要なのは日々の手洗い、うがいです。最近では夏場にもインフルエンザと診断される場合や、夏場に流行するウイルス(パラインフルエンザウイルスなど)もありますので、一年中、手洗いやうがいをしっかりと行う必要があります。また、体調のすぐれない人との接触もなるべく避けましょう。

 インフルエンザワクチンについて

過去の研究でインフルエンザワクチンの効果は調べられています。例えば65歳以上の高齢者を対象とした研究のまとめ(メタ解析)では、インフルエンザにかかる割合を半分以下に減らしてくれることが示されています。

参考文献

がん患者さんを対象に、インフルエンザワクチンがどの程度、インフルエンザを減らしたかについて調べた研究が行われており、ワクチンを接種することによって死亡割合を減らしたり、重症化を防いだりする可能性があることが示されています。

例えばBlanchetteらの26000人を超えるがん患者さんを対象とした研究では、ワクチン効果(注)が21%、入院予防効果が20%と報告されています。この報告の中では血液腫瘍の患者さんは8%と低いワクチン効果でした。血液腫瘍のようにワクチンの効果が乏しいことが予測される場合は、患者さんの周囲の方(家族やお世話をされる方)もインフルエンザワクチンを接種しインフルエンザにかからないようにすることで、間接的に患者さんを守ることも重要となります。

(注)ワクチン効果21%とは、ワクチンを打たなかった200人のうち100人がインフルエンザに罹ったと仮定した場合、この200人にワクチンを接種するとかかる人が79人(100-21)に減少するという意味です。

参考文献

一方、健康な人よりも副反応(副作用)が多くなるという心配はなく、ワクチン接種によるがんの増悪、重篤な副反応の出現もないとされています。もし何らかのアレルギーがあるようでしたら、接種時に必ず申告してください。

ワクチンを接種することで副反応としてワクチン由来のインフルエンザにかかる危険性はありません。しかしワクチンの効果は100%ではないので、ワクチン接種後でもインフルエンザにかかる可能性はありますのでご注意ください。

免疫チェックポイント阻害剤の投与を受けた場合には免疫反応の副作用が強く発現する可能性が危惧されました。しかし、最近の報告ではインフルエンザワクチンを接種しても免疫反応の頻度は増加しないという報告も増えてきています。
また通常の抗がん剤治療の患者さんよりも免疫チェックポイント阻害剤治療を受けている患者さんのほうがワクチンの効果(有効抗体価獲得割合)が高いという報告もあります。専門家の意見として接種を推奨するガイドラインはありますが、十分なデータに基づいた推奨ではありません。

参考文献

インフルエンザワクチンの注意点

リツキシマブ(リツキサン®)やオファツムマブ(アーゼラ®)、オビヌツズマブ(カザイバ®)など一部の抗がん剤の投与を受けた場合、最低半年の間はワクチンの効果が期待できないとされるものがあります。また、免疫抑制剤を内服している患者さんなども効果が期待できない場合があります。現在抗がん剤治療中の方や、心配がある場合には主治医にワクチン接種ができるか確認しましょう。インフルエンザワクチンは10月の終わりごろまでに1回接種することが勧められます。

参考文献

抗がん剤治療中のがん患者さんは、ワクチンの効果がやや落ちる可能性が知られています。このため、普段一緒に生活している家族もなるべくインフルエンザワクチンを接種し、家庭内にインフルエンザを持ち込まないようにして間接的に患者を守る工夫も重要です。

インフルエンザにかかった(もしくは疑わしい)場合は

抗がん剤治療中のがん患者さんがインフルエンザにかかった場合は命にかかわる場合もあります。速やかにかかりつけの病院もしくは、お近くの内科を受診する必要があります。かかりつけ医以外の医療機関を受診する場合には、ご自身ががん患者であることや、現在受けているがん治療、内服中の薬剤などをしっかりと伝えるようにしましょう。

もし受診が困難な場合は、担当医へ電話で相談するようにしましょう。

お問い合わせ

国立がん研究センター東病院 医療安全管理部門 感染制御室
電話番号:04-7133-1111(代表)
受付時間:平日8時30分から17時(土曜日、日曜日、祝日、年末年始を除く)