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国立がん研究センター 東病院

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肺炎球菌感染症(はいえんきゅうきんかんせんしょう)について

肺炎球菌とは?

肺炎球菌は、一般の人がかかる肺炎の原因となる病原体、第1位の細菌です。肺炎以外にも、侵襲性(しんしゅうせい)肺炎球菌感染症とよばれる髄膜炎(ずいまくえん)や血流感染症(血液中に肺炎球菌が入り、全身を回る病態)などの、より重篤な感染症を引き起こします。

侵襲性肺炎球菌感染症は高齢者やがん患者でリスクが高い

国内の研究では、侵襲性肺炎球菌感染症による死亡率は19%と高く、患者さんの69%を65歳以上の高齢者が占めることが知られています。がん患者さんのような免疫力の落ちた人でも頻度が多いことが知られています。

参考文献

参考:米国のデータ Kyaw MHらの報告(J Infect Dis. 2005)(外部サイトにリンクします)

 10万人当たりの発症割合
健常人 8.8人
糖尿病 46.2人
がん患者 300.4-503.1人

脾臓(ひぞう)を手術で切除したり、脾臓に放射線治療を行った患者さんは最も危険性が高い

胃がんや肝臓がん、腹部のけがなどに対する手術で脾臓を切除した患者さんや、血液がんなどで脾臓への放射線治療を受けた方は、重症感染症の危険性が高くなります。この重症感染症の多くを、侵襲性肺炎球菌感染症が占めます。

脾臓を切除した患者さんは一般の健康な人と比較して、重症感染症による入院の危険性が約6倍となることがスウェーデンの研究で発表されています。さらにこの研究では脾臓のないがん患者さんでは一般の健康な人と比較して、重症感染症による死亡のリスクが3倍(固形がん)から25倍(血液がん)と非常に高いことが報告されました。

参考文献

脾臓を切除した場合は、重症感染症の危険性が一生涯続く

重症感染症の過半数は脾臓手術後2年以内に起こりますが、残りはそれ以降に起こるため、長期にわたる予防対策が必要となります。また、1度発症しても、繰り返す可能性のあることが知られています。

参考文献

予防の重要性について

肺炎球菌を予防するワクチンにはポリサッカライドワクチン(ニューモバックス®)と結合型ワクチン(プレベナー13®)の2種類があります。

いずれのワクチンも高齢者に対する肺炎や、侵襲性肺炎球菌感染症を予防する効果が示されています。

参考文献

ワクチンを接種することで副反応(副作用)としてワクチン由来の肺炎球菌にかかる危険性はありません。しかしワクチンの効果は100%ではないので、ワクチン接種後でも肺炎球菌感染症にかかる危険性はありますのでご注意ください。どのワクチンを接種するかは担当医へご相談ください。

その他の予防対策

脾臓を切除した患者さんは、特に侵襲性肺炎球菌感染症に注意が必要となります。侵襲性肺炎球菌感染症は症状悪化のスピードが非常に速く、かかった場合には迅速に受診をする必要があります。このため、受診に時間がかかる場合には担当医からあらかじめ抗菌薬を処方してもらっておき、その薬を内服後受診する必要がありますので担当医へご相談ください。(たとえ抗菌薬を内服したとしても、速やかに病院を受診する必要があることには変わりはありません。)

緊急避難的にかかりつけ医以外の医療機関を受診する場合には、必ず脾臓を切除したことを申告してください。

お問い合わせ

国立がん研究センター東病院 医療安全管理部門 感染制御室
電話番号:04-7133-1111(代表)
受付時間:平日8時30分から17時(土曜日、日曜日、祝日、年末年始を除く)