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がんのリハビリテーションとは

がんとがんリハビリテーションの必要性

日本では、2人に1人ががんに罹患する時代になっています。ただ早期発見と治療の進歩によって、がん全体の死亡率は減少し、がん生存者数(がんサバイバー)は明らかな増加傾向にあります。がんの患者さんはがんそのもの、手術、化学療法や放射線療法などの治療過程で、運動麻痺、筋力低下、拘縮、バランス機能障害、認知機能障害、嚥下障害、発声障害、排泄障害や浮腫など様々な機能障害、痛みや倦怠感といった身体症状や精神症状を呈する可能性があり、それらの障害や症状によって歩行、動作能力や日常生活動作能力に制限を生じた結果、生活の質(Quality of Life;QoL)を低下すると言われています。そのため、増加するがん患者さんの機能障害や症状など療養生活に関わる対策は喫緊の重要な課題であり、がんリハビリテーションはその一翼を担うことができます。

がんリハビリテーションと日本の現状

がんリハビリテーションは、「がん治療の連続した過程の中で統合されるべき医療であり、リハビリテーション専門職種が患者の身体的、心理的、認知機能障害をアセスメントし、機能維持・回復、症状軽減、日常生活動作の自立化、さらにはQoL向上を図ること」と定義されており、療養の質向上に直接的に寄与できる介入手段であることがみてとれます。

日本におけるがんリハビリテーションの現状をみてみると、入院中は97。4%の施設でがんリハビリテーションが実施されており、実施率は高い状況にあります(図1)。
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がんリハビリテーションの介入可能な時期は、がんと診断されたときから、治療中(手術、化学療法、放射線療法)、さらには機能維持や症状緩和が必要な時期においても切れ目なく対応可能であることが特徴であり、実際に全国のがん診療連携拠点病院でも様々な病期でがんリハビリテーションが行われています(図2)。
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さらに具体的な実施内容をみてみますと、歩行練習、筋力増強練習や基本動作・日常生活動作練習が多く行われていますが、手術前の呼吸練習や摂食嚥下(食事や飲み込み)練習、リンパ浮腫や認知機能面に対する対応も実施されており、多岐に渡っていると言えます(図3)。
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このようにがんリハビリテーションは多くのがんの患者さんに適応可能であり、有効性も「がんのリハビリテーションガイドライン」にまとめられています。

当院では理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、義肢装具士が在籍しており、実際の診療内容をお伝えいたします。