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先進医療

先進医療は、医療技術ごとに、実施者、治療対象、治療法とその実績、医療安全など、厚労省の基準を満たし、かつ、実施承認を受けた医療機関でのみ行われる医療です。

先進医療は、厚生労働省が定める「評価療養」に該当します。
治療としては確立していても、保険診療として認められていない先進的な医療技術に対して、将来的に保険診療の対象にすべきかどうか、検討される段階にある医療です。

先進医療による治療を受ける場合、患者さんが支払う費用は、次の 1 と 2 を合算した金額です。

  1. 先進医療の医療技術料は、全額自己負担です。
    (現時点で、保険診療に認められていないため。)
  2. 通常の治療と共通する部分(診察、検査、入院料等)は、保険診療が適用されます。
    (各種保険制度における一部負担金がお支払額となります)

なお、お支払額については

  • 先進医療の技術料は、各種保険制度における「高額療養費制度」の対象とはなりません。
  • 先進医療の技術料、各種保険制度における一部負担金は、ともに所得税法上の医療費控除の対象となります。

国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院では、次の先進医療を実施しています。
先進医療に関するお問い合わせは、がん相談支援センター窓口(電話番号:03-3547-5293、平日9時から16時。がん相談支援センター)まで。

初発膠芽腫(悪性脳腫瘍)に対する、がん幹細胞を標的としたメトホルミン併用テモゾロミド療法

対象 担当診療科 概要
外来通院可能な初発膠芽腫の患者 脳脊髄腫瘍科 メトホルミン(商品名メトグルコ)は一般に広く使われている糖尿病治療薬ですが、我々はメトホルミンを膠芽腫細胞に投与すると、がん幹細胞を非がん幹細胞に分化させて、その腫瘍形成能を喪失させ、再発を抑制することを明らかにしてきました。外来通院可能な膠芽腫患者さんを対象に、メトホルミンの安全性と有効性を確かめるために、標準治療薬テモゾロミドにメトホルミンを同時に投与します。

経皮的乳がんラジオ波焼灼療法(平成29年11月登録終了)

対象 担当診療科 概要
早期乳がん患者 (長径が1.5センチメートル以下のものに限る。) 乳腺外科 早期の乳がん患者さんを対象に非切除治療であるラジオ波焼灼療法(RFA)を実施します。腫瘍に超音波画像をガイドとして電極針を刺入して誘電加熱により腫瘍を焼灼します。治療時間は5分から10分です。ラジオ波焼灼療法(RFA)施行後、数週間後より通常の放射線療法を追加します。本治療が標準治療である手術に比べて治療成績が劣らないこと、整容性が優れているかどうかを5年間、評価していきます。

インターフェロンα皮下投与およびジドブジン経口投与の併用療法

対象 担当診療科 概要
成人T細胞白血病リンパ腫患者 (症候を有するくすぶり型又は予後不良因子を有さない慢性型に限る。) 血液腫瘍科

IFNα/AZT療法は、IFNα(スミフェロン(R)注DS300万~600万単位)を連日皮下注射し、AZT(レトロビル(R)カプセル400~600mg)を連日経口内服します。海外ではすでに標準治療の一つとして広く行われており、後ろ向き調査(疫学調査の方法の1つ)ですが有用であると報告されています。

術前のS-1内服投与、シスプラチン静脈内投与及びトラスツズマブ静脈内投与の併用療法

対象 担当診療科 概要
切除が可能な高度リンパ節転移を伴う胃がん(HER2が陽性のものに限る。)

胃外科
消化器内科

トラスツズマブは、切除不能または再発されたHER2陽性の胃癌患者さんに対して有効であることが確認されています。また、切除可能ではあるが高度なリンパ節転移を伴う胃癌患者さんには、術前補助化学療法としてS-1内服とシスプラチン静脈内投与の良好な成績が報告されており、現在の標準治療とされています。この臨床試験では、HER2陽性の高度なリンパ節転移を伴う切除可能な胃癌患者さんの治療成績向上を目的として、現在の術前補助化学療法の標準治療であるS-1内服とシスプラチン静脈内投与の2剤併用療法とそれにトラスツズマブ静脈内投与を加えた3剤併用療法を比較します。

テモゾロミド用量強化療法

対象 担当診療科 概要
膠芽腫(初発時の初期治療後に再発又は増悪したものに限る。) 脳脊髄腫瘍科 初回再発膠芽腫に対する標準治療であるベバシズマブを単独で使う治療方法と、用量強化テモゾロミド療法を行った後にベバシズマブを使う治療方法を比較して、全生存期間が改善されるかどうかを検証する試験です。

術後のカペシタビン内服投与及びオキサリプラチン静脈内投与の併用療法

対象 担当診療科 概要
小腸腺癌(手術所見および病理学的所見から完全に切除されたと判断され、病理学的病期がI-III期のものに限る。)

大腸外科
肝胆膵外科
消化器内科

完全切除された小腸腺癌(ファーター乳頭部癌を除く十二指腸原発腺癌・空腸腺癌・回腸腺癌)のうち、病理学的病期がI-III期の患者さんを対象に、術後化学療法としてのカペシタビン+オキサリプラチン(CAPOX)療法が、標準治療である手術単独に比べ、治療成績を改善させるかどうかを検証する臨床試験です。

陽子線治療

対象 担当診療科 概要
根治切除が可能な肝細胞がん(初発のものであり、単独で発生したものであって、その長径が三センチメートルを超え、かつ、十二センチメートル未満のものに限る。) 肝胆膵外科 根治切除可能な初発・単発・結節型肝細胞癌患者を対象として、標準治療である外科的切除に対して、試験治療である陽子線治療が全生存期間で劣っていないことを非ランダム化同時対照試験により検証する臨床試験です。 当院では、外科的切除を実施しておりますが、陽子線治療は行っておりません。陽子線治療は、国内の限られた医療機関でしか行われていないため、陽子線治療をご希望されたり、陽子線治療についての説明をお聞きになりたい場合には、当院から陽子線治療実施医療機関にご紹介いたします。

術後のアスピリン経口投与療法

対象 担当診療科 概要
下部直腸を除く大腸がん(ステージがIII期であって、肉眼による観察及び病理学的見地から完全に切除されたと判断されたものに限る。) 大腸外科
消化管内科
Stage III大腸癌治癒切除後の患者さんを対象として、標準治療である術後補助化学療法にアスピリンを併用することで治療成績が改善するかどうかを検証する臨床試験です。

シクロホスファミド静脈内投与療法

対象 担当診療科 概要

成人T細胞白血病(末梢血幹細胞の非血縁者間移植が行われたものに限る。)

造血幹細胞移植科 本先進医療は、成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia/lymphoma:ATL)に対する移植後シクロフォスファミド(post-transplant cyclophosphamide:PTCY)を用いた非血縁のヒト白血球抗原(human leukocyte antigen:HLA)適合または1から2アリル不適合ドナーからの末梢血幹細胞移植について、安全性と有効性を検討するための第II相試験である。

プローブ型共焦点レーザー顕微内視鏡による胃上皮性病変の診断

対象 担当診療科 概要

胃上皮性病変

内視鏡科 本試験は、先進医療Bの制度下で多施設共同前向き臨床試験にて胃上皮性病変に対するpCLEの診断能を評価し、pCLEの有用性とフルオレセイン静脈投与の適応拡大につながるエビデンスを構築することを目的とする。本試験の適応は、上部消化管内視鏡検査にて組織学的に早期胃癌と診断または疑われる(生検にてGroup4または5)、または、早期胃癌に対して内視鏡治療後(EMRまたはESD)後、40週以上経過している、のずれかを満たす患者である。

イマチニブ経口投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法

対象 担当診療科 概要

進行期悪性黒色腫(KIT遺伝子変異を有するものであって、従来の治療法に抵抗性を有するものに限る。)

皮膚腫瘍科 KIT 遺伝子変異を有する進行期悪性黒色腫患者のうち、既存治療に抵抗性を示す患者に対してKIT 阻害薬(イマチニブ )、抗PD-1 抗体(ペムブロリズマブ)を併用した治療を行い、ペムブロリズマブ投与量を固定した際のイマチニブ の用量を検討し、推奨用量を決定する(第I 相試験)。さらに、推奨用量の併用療法の症例集積を継続し、その有効性と安全性を検討する(第II 相試験)。22 例を対象とした単群・オープン試験である。なお、無効でない症例に関しては継続投与を許容する。

周術期デュルバルマブ静脈内投与療法

対象 担当診療科 概要

肺尖部胸壁浸潤がん(化学放射線療法後のものであって、同側肺門リンパ節・縦隔リンパ節転移、同一肺葉内・同側の異なる肺葉内の肺内転移及び遠隔転移のないものに限る。)

呼吸器外科
呼吸器内科
放射線治療科
肺尖部胸壁浸潤癌(superior sulcus tumor:SST)に対する術前化学放射線療法後の術前後デュルバルマブ療法および手術不能例のデュルバルマブ維持療法の集学的治療の安全性と有効性を検証する。現在の標準治療では、SST の半数以上の患者において増悪が認められる。しかし、SSTが稀少な疾患であるため、積極的な治療開発が行われてこなかった。本試験では、術前後にデュルバルマブを追加することにより、治療成績の向上を期待するものである。

マルチプレックス遺伝子パネル検査

対象 担当診療科 概要

進行再発固形がん(非小細胞肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、膵がん又は胆道がんに限る。)

先端医療科
呼吸器内科
消化管内科
臨床検査科
進行期または再発の悪性腫瘍病変を有し、薬物療法の対象となる非小細胞肺癌、胃癌、大腸癌、乳癌、膵癌、胆道癌の患者を対象として、初回治療時に包括的ゲノムプロファイル検査(OncoGuide TM NCC オンコパネルシステム)を行うことの臨床的有用性を評価する。

メトホルミン経口投与及びテモゾロミド経口投与の併用療法

対象 担当診療科 概要

膠芽腫(初発のものであって、テモゾロミド経口投与及び放射線治療の併用療法後のものに限る。)

脳脊髄腫瘍科 初発膠芽腫に対する開頭腫瘍摘出術後の初期治療であるテモゾロミド併用放射線治療終了後のテモゾロミド維持治療にメトホルミンを併用する。メトホルミン併用テモゾロミド維持治療6コース施行後、メトホルミン単独治療をメトホルミン投与開始から365日まで継続する。本試験はphase I部分でメトホルミンの推奨用量を決定し、phase II部分ではphase Iで決定された推奨用量で症例数を重ね、安全性と有効性のデータを収集する。

アスピリン経口投与療法

対象 担当診療科 概要

家族性大腸腺腫症

内視鏡科 本試験は家族性大腸腺腫症患者を対象にして、有効な大腸がんの発症抑制法の実用化に繋がるエビデンス構築を目的とする。多施設単一介入臨床試験にて、低用量アスピリン腸溶錠(100 mg/day)を2年間投与することによる大腸ポリープ発生割合の減少に対する有効性と安全性を検証する。

ラメルテオン経口投与療法

対象 担当診療科 概要

悪性腫瘍(六十五歳以上の患者に係るものに限る。)

精神腫瘍科

高齢がん患者の術後せん妄の発症抑制に対するラメルテオンの内服の有効性と安全性について、プラセボを対照とする二重盲検ランダム化比較試験にて検証する。

 試験薬(被験薬もしくは対照薬)を1日1回1錠(8mg)、手術4-8日前から術後4日目まで就寝前に経口もしくは経鼻胃管から投与する。手術後1日目から5日目まで毎日、精神腫瘍医がDSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders-5)を用いてせん妄の有無を評価する。

術前のゲムシタビン静脈内投与及びナブ―パクリタキセル静脈内投与の併用療法

対象 担当診療科 概要

切除が可能な膵臓がん(七十歳以上八十歳未満の患者に係るものに限る。)

肝胆膵内科
肝胆膵外科

70歳以上79歳以下の切除可能膵癌患者を対象に、標準治療である術前ゲムシタビン+S-1併用療法(GS療法)に対する、術前ゲムシタビン+ナブ―パクリタキセル療法(GnP療法)の優越性をランダム化第III相試験において検証する。

主要評価項目:全生存期間

副次評価項目:無増悪生存期間、術前治療の奏効割合、病理学的奏効割合、非切除割合、R0切除割合、有害事象発生割合(術前、術中、術後)、IADL非悪化割合

予定登録数:400人